ノート晒し 14ページ目
「王様って病気なの?」
とマナは聞いた。
「最近なってしまって。しかも癒術師からは不治だといわれている」
だからあんなに心配してんだぁーと思った。
「おい、ちょっとそこの君、来てくれないか」
と赤毛の眼鏡をかけた少年をライドは呼んだ。
「この子をさ、ティアラ様の隣の部屋まで連れてってくれないか」
赤毛の少年は右手をライドに突き出した。ライドはその手に銅貨をにぎらせると
「マナちゃん、あとはこの子がなんとかしてくれるからー」
と走って去った。それとも逃げた? これってサボリ? しかもあれってワイロってやつかなとマナは少しあきれた。赤毛の少年に
「ついてこいよ」
といわれ、そのままマナはついていった。歩いている途中少年は
「お前新入り?」
「あっうん」
「名前は?」
「マナだけど、あなたは?」
「デュリス」
と会話した以外は全くしゃべらなかった。ずいぶん階段をのぼった気がする。デュリスは部屋につくと
「ここだ。じゃあな」
といってどこかに去っていってしまった。部屋に入るとマナは自分が場違いなような気がした。その部屋はとても広く、しかも天蓋付きベッドも一つあった。まるでスイートルームだ。なんとなくマナはベッドへダイブしてみた。ふかふかしていて寝心地は良さそうだけど、ダメだ。落ち着かない。
ベッドから這い出る。心地よい風が窓から吹いてきた。その窓もやはり大きかった。そこから下を見下ろすことができる。人が豆粒みたいだと、ぼーと外を眺めながらマナは思った。近くには大きい街がある。その時ダッダッダッダと何やら足音が聞え、いきなり部屋のドアが開いて、前掛けを着た少女が飛び込んできた。




