花の名を問うなかれ
すべてはとまった。なにもかもなくなった。
わたしの手にも足元にもなにも残されていない。
いままで信じてすがってきたものが、あんなにも簡単に壊れて消えてしまうとは
誰も知らなかったことでしょう。
いいえ。本当は人の世の中で何度も繰り返されてきていたこと。
わたしの身の上には起こらない、関わりのない事象だと思っていた。
それがどうしたことでしょう。
いきなりやってきた。
涙も出ません。何事もなかったような振りをして過ごします。
それがわたしにとって残された矜持であり、義務だから。
わたしがあなたを完全に理解できないように、
あなたはわたしを全く理解できていない。
いいのです。許しましょう。
だからわたしを許しなさい。
少しずつおかしく道を踏み外してゆこうとも、引き留めないでいなさい。
本当の自分とは探すものではなく、創り上げていくもの。
わたしとあなたの道は分かれました。
微笑んでいても、それは本心からではないの。




