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なぁ、異世界に来たんだからもう少し俺に夢を見させる気はないか?

「異世界の神子様、朝でございます。起きてくださいませ」



この声の主はセバスチャンさん(女性)。名前はともかく俺の世話をしてくれるのだ。



「お願いでございます、異世界の神子様」



この困ったような声。昨日寝る前に紹介されてテンション上がったなぁ。美人が俺の世話してくれるんだぜ!?

俺、頑張る!!

けど頑張る為にはもうちょっといいかな!?



「……ん、名前……」


「そ、そんな!?私には恐れ多く…」


「…なら…起きない…」



困った顔見たいけど我慢。だって戸惑いながらも怒ってる様子ないしぃ。



「………っ」



息を大きく吸うのが聞こえる。

くるか、くるか!?



「クー様、おはようございます」


「………オハヨウゴザイマス」



目を開けたらとてもお顔が整ったレオン君がいました。



「せめて続きを見てから現実を見たかった」


「クー様?……まさか……っ」


「何もないよ!」


「そうですか。あぁ、今日はこちらに着替えていただきます」



そういって一瞬で俺のこっちでのパジャマを脱がす。


そう、彼は俺の執事だ。

昨日俺の部屋に連れていってもらったら彼はそこにいた。侍女さんは?と訪ねた俺に異世界の神子様は男性ですよね?っと笑顔で返された。


ねぇ、俺女の子桃山さんしか見てないよ。



遠い目をした俺にレオン君(8歳)は察したようだ。



「私では異世界の神子様の役には立てないようです。王子、役目を果たせず申し訳ありません。どうかこの命で…」


「待って!ねぇ待って!」



慌ててその小さな体に手をのばす。ちなみに護り人はまったく動かなかった。俺の危機ですけど!?

……俺初めて人に縋ったよ……。


そんなこんなで落ち着いてから自己紹介を済ます。

何でこんな小さな子が執事なのか訪ねたらとても明確な答えが返ってきた。



「彼がこの国で一番の暗殺者だからだよ」


「イヤァァァ!!殺されるぅぅぅ!!ぐふっ!?」



その瞬間俺の体は床に叩きつけられた。



「私がいながら申し訳ありません」


「いや、僕達も気付かなかった。クー、申し訳ないが敵がどこか教えてくれ。僕達には認識出来ないようだ」



懸命に顔を上げるとどうやら俺を中心にして戦闘態勢を整えているようだ。


あれ?これもしかしなくとも俺の殺される発言の所為?

俺の背に手をのせもう片方にはナイフを握っている暗殺者様。そして錫杖を構え何やら結界みたいなのを構成しているデュラ君。見えないけどアルフとエイトもなんかやってるの肌で感じる。


あ、これダメな奴だ。

暗殺者ってのに思わず返しちゃっただけですぅ、テヘペロって出来ないやつだ。


そして俺は今までにないくらい頑張った。



「ご、ごめん。ちょっとゴブリンのこと思い出しちゃって大きな声出ちゃったんだ…」


「っ…クー」



皆が息を呑むのが分かる。

デュラがクー様は争いのない所から来たのに僕は…とか。

アルフが目の前で魔物とはいえど殺す瞬間を覚悟を決めさせる時間も与えず僕は…とか。

エイトは頭からドラゴンの角が生えてた…これはどう捉えたらいいのか僕分かんなぁい。

うん、ごめん。殺すも何も刺した瞬間も分からなかったしあっという間に邪気になっちゃったし全然欠片も思い出してないですごめんなさい。



ってな感じでその場を収めた俺。すごくない?もうすべてを使い果たしたよな、うん。

ちなみに暗殺者が執事の理由はこんな風に何か潜んでいた場合に対応する為だそうだ。

そうだよね、神子様守る為には執事さんも戦えなきゃだよね…。


とまぁ昨日の寝る前の濃い時間を思い出しているうちに俺の支度は整った。

動きやすいよう洋服だ。残念ながら皆みたいにマントはない。ヒラヒラしてたら動きにくいからだって。

え、じゃあ皆は?と返したら着てても邪魔にならない動きが出来るからだそうだ。マントは水に濡らして火を消したり、火事になったら口をふさいだり、体に巻きつけて防寒にも使うから便利なんだと。俺が必要になったら自分の服や他の方のを使うのでいりません。って言われました。ちなみにレオン君は軍服みたいなの着てる。8歳が着てるってシュール。そしてその所為でこの世界の執事が怖い。侍女さんはどんな格好してんだ!?あ、いいです言わないで下さい。



そんなこんなで今日の護り人が来てくれました。



「おはよう、クー」


「あ、はい。おはようございます」



朝からイケメン王子の笑顔はツラい。



「……さっきから僕の顔見てくれないのは何で?」


「ソンナキノセイデスヨー」


「朝飯食ったら俺寝る」


「本当ぶれねぇなお前!!」



食事が用意されてる部屋に行くとデュラが待っててくれた。

午前中は講義のがいいかなとか話してたら申し訳なさそうにアルフが手を上げる。



「昨日挨拶出来なかったから王が時間作ってもらえたらって……」


「………え?」


「…無理なら……」


「いやいやいや!会うよ!会うけどお前昨日今日はもうノンビリとか休んでもいいようなこと言わなかった!?今の話しだと昨日予定してたように聞こえるんですけど!?」


「うん、休むなら少し王と話してもらおうかなって」


「王様と休憩がてら話せるかぁぁぁ!!ちゃんと言えよぉぉぉ!」


「でもクーがやる気だしてるのにそれを王が邪魔するのは……」


「うがぁぁぁぁ!!」



違う!論点が違う!何でこの世界では異世界の神子がここまでぶっちぎって頂点にいるのか!

もうちょっと優先度を臨機応変に考えろお前ら!!



叫ぶ俺に戸惑いながらも会ってくれることに安堵したのか休みの時間に会おうと調整してくるので思わずすぐ!向こうが整ったらすぐ行く!と叫んだ。

王様と休めるわけねぇだろ!!



ーーーーー



「異世界の神子様。ようこそグラバルへ。昨日は挨拶も出来ず申し訳ありません」


「いや、その、本当すいません」



最初玉座に座らせようとしたので別に部屋を用意してもらった。

ねぇ、本当もうちょっと対応どうにかなりませんか?


まぁ、それは置いといて王様はアルフに似てる。髪が赤いから余計なのかもしれないけど。

そんでもって王様の話しはこうだった。


俺はこれから半年この国で訓練とか勉強、浄化をする。

その後邪気が酷い国から回るそうだ。

……途中で辞めてもいいって話してくれた。

その時には申し訳ないが平民になるとのこと。住むところとか仕事は紹介してくれるし3ヶ月はフォローしてくれるって。でもそれ以後は一切関わらない。

確かに働かない奴をずっと面倒は見れないよな。

神子は基本貴族から生まれることが多いそうだ。なので戦うのが当たり前。平民からお金とってるかわりに守る。当主が先頭に立って戦うのだそう。戦う能力がないならすぐ当主が変わる。貴族は戦士ってことですね。ちなみに騎士は平民からの志願もあるんだと。大半は貴族の跡取り以外とかもしくはそれに準じる役目をもってる家系とかなんとか。

平民から神子が出た場合は辞退も出来る。戦うことが当たり前の環境ではないから。

もしかしてこの話しをされたくないから会わせなかったんじゃないの?ってアルフを見たら真剣な顔してましたすいません。


あとはその、結婚とかの話し。好きな人が出来たら無理矢理とかでなければしていいって。異世界の神子の頼みじゃ断れよないよな…って遠い目をしたらそもそもそういうことではないって言われた。ハテナマークとばしてたら苦笑された。


異世界の神子が結婚した場合その相手、及びその家系は一切政治に関われなくなるのだそう。権力争いに使われたら困るからだ。相手が平民なら別に困らないけど貴族で困る人は困る。

ようは俺達を悪用しない為だな。又権力が強いと国同士も争うことになるからだそう。

中立な立場で一番偉い人ってことですね。

ちなみに護る優先度も変わらないとのこと。力は遺伝しないから神子様の最愛の人でも状況によっては切り捨てるってさ。

うん、つまりそれだけ危険な所にいる人と一緒になるんだからその覚悟を持てって話しさ。

……確かに無理矢理は出来ませんね。


おい、もうこれ以上重い話しねぇだろうな?

俺単純に浄化だけやってる方が楽な気がするんだけど。

気のせいだよね。あっちのが命に関わるもの!

ねぇ、誰かそう言ってぇぇぇ!



その日はとにかく浄化の練習をしました。

最後にマラソンやって倒れて運ばれてレオン君に全身洗われるという醜態を晒して終わったわ!!



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