魔法について学ぼう。そして俺達について知ろう。
オッス!俺です!クーです!オラってやると思った?残念!もうそれで俺は何度もどん底に落ちたからね!やらないよ!
テンション高くてウザいけどしょうがない。だって魔法について講義がこれからあるんだぜ!!
あ、ちなみに今日はエイトが護衛になったんだけど何故か二人も一緒にいます。なんかね、皆でいればいざって時の連携とかに必要な呼吸が知れるしいいんだってさ。なるほど。護り人選んだ意味ないな!!
護り人と言えば夜も一緒って説明が午前中あったわけだけど(一応午前、午後って分かれてて一時間ごとに鐘がなるんだって)それは俺だけらしい。俺が桃山さん男と一緒で大丈夫なのかね。いやダメだろぉぉぉ!ってあの後叫んだら女の子にはちゃんと侍女さんがついて、寝る時は女性騎士がつくって教えてくれた。俺は男だからそのまま3人が寝る時も護衛してくれるんだそうだ。そりゃそうだ。
とまぁここまで終わった後お昼の鐘がなって(お昼は連続で五回鳴る)みんなでお昼ご飯食べました。ご飯はなかったけどそれ以外はあまり変わらなかったかな。形とか色が変わった果物とかあったけどおいしかったし。パンも俺が知ってるのとは変わらなかった。ホームシックにならないようになってるからかお米も別に食べたいとは思わなかったな。まだなだけかもだけど。豪華でおいしかったです御馳走様でした!
とまぁそんなこんなで午後は魔法の講義ですよ!
属性は火、水、風、土、光、闇、無と7個ある。
ちなみに神子の邪気を払うのは無属性なんだそうだ。回復は水と風と光が持ってるけどこれはその人の適性によるらしい。アルフは火。シザーは水。クライブは土。リンは光。デュラは風。エイトは闇の属性を持ってるそうだ。シザーは回復魔法はあまり得意ではないとのこと。リンとデュラは得意とのことだ。デュラはリンに比べたら全然だといってたけどアルフが首を降ってた。うん、俺もデュラのが適性あると思います。
属性はそのまんま。火属性の人は火の球で攻撃したりと火魔法が使える。まぁそれぞれ特性もあるみたいだけどこれは追々だって。俺はとにかく無属性を優先するそうだ。
うむ、つまり神子さんはもれなく無属性なわけだがこれが少ない。大抵属性を持って産まれてくるそうだ。産まれて、神殿に行って儀式受けてなんの属性か分かるそうだ。何でもなかったら無属性。すぐに家族ごと神殿に移って邪気の祓い方を教育される。でも異世界の神子は無属性は絶対だがその他の属性を持ってるんだと。大抵水か風か光。たぶん護り人を補助する為だろうってのが神殿の考えだそうだ。確かに魔物と戦うわけだし回復使えた方が良いんもんな。
何がいいかな、なんて選べもしないのにドキドキしてる俺をエイトは呼んだ。それがとても低い声でぞくりとする。
「まだお前とは数時間しか一緒にいない。でもお前は俺達のことを知ろうとしてくれたし、教えてくれた。だから俺もお前にきちんと話しておきたいことがある」
ーーーーー
というわけで神殿に向かってます。
まぁ城の中にもあるからすぐなわけですが!!
え?あの話しの続き?…うん、これからのことだよ。
これが終わったらしばらくは邪気の祓い方の練習なんだって。剣とかは素人であることを知ってるのでやらないって。それより逃げ方とか避け方、防御、受け身とかはやるのだそう。……つまり俺達は怪我をしない為…というか死なない為の訓練をするのだそうだ。
とにかく俺達が生き残れば何とかなる。だから適わないと思ったら自分達を残して逃げろと言われました。異世界の神子の為なら護り人も、それ以外の人も喜んで盾になるって。
エイトは静かに話してくれた。俺が、泣くと分かっていても。
俺達の精神的な負担になるのは分かってるけど話しておかなければならないからって。儀式が済んだら、それはもう始まりだから。有無を言わさず世界の命運を背負うことになるから。
俺がエイトのマントを思わず握ったらグイッて引っ張られてマントに包まれた。
小説みたいだなんて浮かれてたのがとても申し訳なかった。ここは現実だ。
しばらくして顔を出した俺にデュラは回復魔法をかけてくれた。暖かくてまた泣きそうになった。
そして俺は、選んだんだ。
ーーーーー
神殿についた。
アルフが手をひいてくれて、神官さんの方へと向かう。既に桃山さんがいて儀式を受けるようだ。神官さんの前に立ち祈るように手を胸の前で組んでいる。後ろにはあの三人が待機してた。やっぱり三人とも護り人になったのかな?
彼女もここにいるということはあの話しを聞いて選んだのだろう。俺はもう、最初みたいに桃山さんを守る、なんて騎士ごっこは出来そうにない。アルフとエイトの話しから俺達は別行動だろう。色々な国に行かなければいけないのもあるし…一緒にいて危険なことになった時にどちらかがどちらかを庇って死ぬことになったら意味がない。他の誰かを犠牲にしてでも俺達は生き残らなければならないのだから。
クライブが俺を見つけて目を大きく見開いた。近付いてきたかと思うと頭を撫でてくれた。
「ごめんな」
泣きそうな顔で言うものだからまた目が熱くなってくる。デュラが近付いてくるのを手で制してぐっとこらえた。アルフの手を強く握り直す。
「大丈夫」
アルフは何も言わず頷いてくれた。
神官さんが何か唱えると桃山さんの身体が宙に浮いた。本人は気付いてないみたいだ。ただ目を瞑って祈ってる。白い光が桃山さんを包んだかと思うと長い髪がピンク色に染まってそのまま着地した。
「ヒメカ、おめでとう」
「ヒメカと一緒で嬉しい!!」
シザーが跪いて桃山さんの手の甲にキスをする。桃山さんははにかみながらうん、と答えた。
桃山さんは無属性と光属性だそうだ。
リンが一緒だと喜んでさすがヒメカと抱きつく。歴代の異世界の神子は光属性が多かったそうだ。
続いて俺も儀式の説明を受ける。
桃山さん達は興味ないのか訓練に急ぐからか知らないがサッサと神殿を出て行った。クライブだけは残ったので不思議に思ってたら見届けたいからと返してくれたので笑顔で頷いて返した。
桃山さんのように胸の前で手を組み祈る。
俺に出来るかどうか分からない。それでも頑張りたい。
「異世界の神子」
気付いたら神官さんの声がして目を開ける。
覗き込むその瞳はとても切ない。
「この世界の命運を託してしまった私達が言える言葉ではありませんが……どうかあなたに祝福を」
しっかりと頷く。
そんな俺に神官さんは今度はふんわりと優しい笑みで返してくれた。
ちなみに俺も無属性と光属性だそうだ。
邪気の祓い方は勿論だけどせめて回復魔法は覚えたいな。
あと何で俺の髪色は変わらないの!?
シリアスなとこ悪いんだけどショックだよ!!