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絶賛戦闘中……ただし俺以外。

武器、なし!

マント、なし!

ブーツの紐!よっしゃきっちり結んでやんよ!と思ったら……ふふふ……レオン君が跪いてさ、太股に俺の足乗せてさ……ゆっくりきっちりやってくれたよ。汚れるって抵抗してもだから何ですか?って返されて俺は8歳に黙らされたぜ。


……よし、俺には何も準備する物がないことが分かった。……薬とかない?せめてそれくらいは持ちたいです。三人がケガしたら渡すくらい出来る。



「それに気をとられて避けられなかったり逃げ遅れたりしたら意味がないよ」



ニッコリとアルフに言われはいと返すしかない俺。異世界の神子様なのに攻撃の選択がゼロです。いや、異世界の神子様だからか。切ない。


ギルから告げられた作戦は至ってシンプルなものだった。

俺が気絶?している間に核の場所はある程度調べがついていてそこへ行くまでの魔物の駆除を行っていたそうだ。核の近く程魔物が強い為難航したが騎士さん達が交代で倒せる所まで倒したと。引き続き魔物は倒していくので俺達はとにかく核まで真っ直ぐ進めとのこと。もちろん核に行く前に駆除出来なかった魔物がいるからそれは俺等で頑張れって。しかも強いのが出るからすげぇ頑張れって。

それでアルフ達は剣とか薬とか最終確認をしていて俺もしようと思ったんだけど何もないことが分かったっていう。せめてと言ったことも却下されたしな。することがないです。

あ、ちなみにテントに入ってからはエイトに降ろしてもらったから!作戦会議中ずっと姫だっことか羞恥プレイだからね!

……えぇ、頭を撫でて降ろしてもらいました。俺の何かが減ってる気がする。


あ、レオン君が椅子と特性ジュース用意してくれたぁ。嬉しすぎて鼻水出そう。

……とっても美味しいです。あ、ハンカチね、うん。え、大丈夫だよ!チーンとかいらない!いらないから!



「……じゃあ行くよ」



しばらくしてかかった声に頷いて俺はすぐに立ち上がった。

鼻に当てられそうになったハンカチはしっかり回収しました。うん、ポケットにしっかり装備したよ。別に防御力も何も上がらねぇけどな!



ーーーーー



「はあぁぁ!」



アルフが炎を纏わせた剣を振り下ろす。

魔物は俺のゲーム世界でいうガーゴイルだ。見た目はカラスっていうか猿っていうのかな。足して二で割る感じ。羽もある。……うん、ゴブリンと同じで俺には怖さしかないわ。キキィ!とかギギャア!って叫んで手でアルフの剣を防ごうとしている。石で出来てるから硬いものね……。それでもアルフは冷静で何度も同じ場所に剣を叩き込みガーゴイルの腕を叩き壊した。ギギャァァと悲鳴が上がる。だがガーゴイルも喚くだけでなくもう片方の腕を振り回す。が、アルフには剣で防がれる。両手の時から当たらなかったからね。当たらないよね。そうして頭が砕かれた瞬間邪気になった。

俺はすかさず浄化しようとしたがデュラに止められる。一回の範囲が広いうえ核もあるので最低限でと言われた。魔力がたくさんあることは分かっているが俺自身が回数でどのくらい使えるか分からないし魔力があっても体力がないので素直に頷く。本当ないない尽くしですね。


エイトが何体かのガーゴイルを粉砕して戻ってきたのを確認して進む。

ちなみに前がアルフ。次が俺とデュラ。デュラは本当に俺のすぐ側にいる。後ろはエイトが守ってくれている。

騎士さん達が魔物を倒してくれていたので結構進んでからガーゴイルには会った。アルフにここから先はもっと魔物が出てくることを伝えられるが俺に出来ることはない。取りあえずいきなり襲われてもデュラの服とかを掴まないようにするくらいだろうか。いやね、いきなり出てくるのって驚くし怖いんだよ!デュラが風魔法で切り裂いてくれるし前後の二人は淡々と片付けてくれてるけど。


レオン君がテントで見送ってくれた時にドラゴンのぬいぐるみ(色は黒で小さい手のひらサイズ)を俺の左手首に付けてくれた理由がよく分かりました。うん、ゴムみたいなのがぬいぐるみに縫いつけられてて小さい子のつけるアクセサリーみたい。一瞬俺の年齢分かってねぇんじゃないかって思ったけどこの為だったのね。デュラの服の代わりに右手で握り潰させて頂いてます。……帰ったら何才だと思ってるのかだけは絶対に問いただそうと思います。


俺のぬいぐるみニギニギ状態が続いたままひたすら進む。ガサガサ、ガチャガチャと前から音がしたかと思ったら先行していた騎士さん達だった。怪我でこれ以上進むのは危険とのことで引き返すことを告げられる。一人は頭に血のにじんだ包帯を巻いていてもう一人は背負われていた。……動きもない。じっと見ていると生きてはいますよ。と背負っている騎士さんに返された。



「……気をつけて」



何とかそれだけ返すもののその声は震えてて悔しくてぬいぐるみを睨み掴む手に力を込める。



「……ウサ様」


「は、はい」



すると頭に包帯を巻いた騎士さんが俺を呼んだ。慌てて顔を上げると俺に何かを振りかけるかのように手を動かす。あれ?これ前に神官さんにもされたような……。背負っている人は頭を少し下げ、あとの人は両手を組む。



「どうか貴方様に祝福を」



ありがとうございますと堪えてたのに少し泣きそうになって返した。


実はここに来る途中でも何グループか会ってた。怪我人だけでなく人数が足りていないグループもいた。

途中……亡くなって寝かされている騎士さんもいた。髪だけを少し切りあとはそのままにしておくのだそうだ。……連れて行ったらその分戦力も低下するから。核が浄化されて落ち着いた後また部隊を編成して遺体を回収しにくるそうだ。

そしてさっきの祝福(正確には神子の祝福は出来ないので振り)をしてくれたのは彼らが先行していた最後のグループだったから。これまでの騎士達の想いを込めて祝福の言葉をかけるのが決まりらしい。後ろから追ってはくるけど、たぶんその前に俺たちが核に到着するだろうとのこと。


俺はぬいぐるみから手を離した。



ーーーーー



「そろそろだよ」



アルフの言葉に頷き急ごうとするがデュラが俺の腕をとり止める。振り返ると首を横に降られ、更に後ろのエイトを見れば臨戦態勢。角も尻尾も出ています。

……え、そろそろって核じゃなくて?と思った瞬間だった。



「グォォォォォ!!」


「でっかいの来ちゃったぁぁぁ!」



木々を倒しながらというか投げ飛ばしながら現れたのはトロールだった。え?他に表現ないのって?

黄色の巨人です。大切な所があるのか分からないけど人の股間であろう部分には大きな葉っぱがついてる。何あれ。何でくっついてんの。いい、知りたくないし取れて欲しくも絶対ない。


俺が現実逃避をしている間にアルフは剣に炎を纏わせていて距離を縮めそのまま斬り掛かる。



「チッ、固いか」



トロールの腕がいくらか斬れるも浅い。そして少し焦げ臭い。ってか舌打ちした!?王子って舌打ちすんの!?



「……ふっ!……エイト!!」



斬られて腹は立つのだろう。トロールはアルフに向けて拳を振り下ろすがスピードは遅くアルフは楽にかわしエイトを呼ぶ。呼ばれる前から飛び出していたエイトは返事を返すとそのまま拳が振り下ろされる地点へと移動し……えぇぇぇ!?エイトさぁぁぁん!?



「……っ、ふんっ!」


「グォォォ!?」


「うっそぉ!?」



トロールの拳をエイトが両腕を交差して防ぐ。それでもトロールの拳は重かったのかエイトの足が少し地面に沈んだ。しかしエイトはびくともしてない。掛け声と一緒にその拳を弾き飛ばす。トロールは俺と同じでまさか弾き飛ばされるとは思ってなかったのか驚いているように見えた。そのまま後ろへ倒れそうになる。



「行きます!」


「あぁ!」



そしてデュラが風の塊をトロールの足へとぶつけた。

当然トロールは支えられずそのまま後ろへと倒れる。

後ろにいるのはアルフだ。トロールがエイトに夢中になっている間に剣に魔法をかけていたようだ。俺が前に見た炎に包まれた剣ではなく剣自体が真っ赤に染まっている。



「はぁぁ!」



先ほどとは違ってずっぷりとその巨体へと剣が突き刺さる。



「グォォォォォ!?」



トロールは悲鳴を上げながらその巨体を切り裂かれ邪気へと変わった。



「大丈夫か!?」


「あぁ」



エイトへと駆け寄る。少しっちゃ少しだったけど地面に沈んだよね!?

エイトは俺に頷いてからアルフを見た。俺もアルフを見ると額に汗が浮かんでいる。あの魔法の効果は抜群なだけあってそれなりに魔力を使うようだ。



「アルフっ」


「……ありがとう」



慌てて駆け寄り持っていたハンカチで汗を拭いた。アルフは終わったらまた拭いてくれる?なんて辛いのに笑って俺へハンカチを返すとトロールが来た先を指差す。


そこには真っ黒な球体が浮かんでいた。



「あぁ、後は俺に任せろ」



魔物の参考

えびえび様のファンタジー初心者用語解説より。

ありがとうございます。

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