まとめるとあれかな。俺と鼻水とドラゴン。…もう、いいです。
今日も一日頑張るぞー!
ってなわけで朝ごはんです。
今日はエイトが護り人だから隣に座って食べてんだけどすげぇ量なんだよな。
俺よりも小さいデュラでさえ三倍の量ですよ、マジか。どこに入るのその量って思うけどまぁ当然か。
あんだけ筋肉ついてるんだし、日々鍛えてるんだろう。………あれ?
「皆っていつ鍛えてんの?」
俺の元いた世界じゃ一日でも練習サボればそれだけ体が劣る!だから日々鍛錬だ!なんていうことはない…いや実際劣るんだろうけど部活休みだったらひゃっほう遊ぼうぜ!なんて言って筋トレもしないよ俺は。
けどよくアニメとか小説だと必ず日課の鍛錬だけはするとか言っていた。
それに皆の体を見れば分かる。俺みたいな生活じゃまずそんな体にはならない。
けど俺といる時にやっているのを見たことない。
つまり…
「クーが寝た後に」
「やっぱりそうですよね!」
っておい!
護り人の時は次の人に替わった後に。つまり朝飯食った後鍛錬して少し寝てから俺の所に。そうでなかった時は俺を部屋に送った後二人でやったりしてるとのこと。
俺はいかに睡眠が大切かを訴えた。そして何より俺より年下のデュラもそうしてることにショックだったからだ。いや分かるよ。そういう風に鍛えられてるのは。寝ないでそのまま戦闘ってこともあるんだろうし。そういうの大切だよね。でも今それをしてる原因は俺だよね?それを想定しての訓練なら分かるけど原因俺だよね?ね?
「だったら俺と一緒にやればいいじゃん」
「「え?」」
アルフとデュラって意外と揃うんだよなぁ。
エイトはね、やっぱり分かんない。若干目がぎらついた気はする。やだ僕怖い。
まぁそれは置いといて実際浄化ってどこでもいいんだよな。攻撃魔法と違ってあそこは何の結界とかもない。そりゃそうだ。浄化は何も傷つけないんだし。なら俺はどこでもいいわけよ。
そんなら俺がやってる横で鍛錬してればいいじゃんっていう。
そうすれば日々の鍛錬は俺に時間を割いてた時間に出来るし、その上で俺と別れた後何をするかは自由ってわけよ。うん、まぁなるべく寝ては欲しいけどここの鍛え方にもそれぞれあるだろうし。
「あと皆が鍛錬してるところが見たいってのもある」
ぶっちゃけそれが本音だ。
ゴブリンさん倒した時何やったのかまったく分からんかったからもうちょっとこう剣と剣のぶつかり合いだとか魔法合戦だとかさ!
「それは俺達の中で誰が一番強いかを知りたいってことか?」
「そんなことは一言も言ってない」
なにやだエイト君。君バトルジャンキーなの。もしかしてこっちの世界での英雄と同じ名前とかそんなことないですか?俺よりも俺の名前の由来の方に似てる感じですか。
おい、アルフも剣を撫でるな。デュラたん君が最後の砦……何錫杖に頬ずりしてんの。お前は昨日護り人だったでしょ寝なさい!
こっちの人は皆こんな感じじゃねぇだろうな!?
女の子プリーズ!!
ーーーーー
とりあえず誰が一番かということではなく単純に試合してる所が見たいと何回も訴えて今訓練場にいます。
ちなみにエイトは俺の護り人なのでやらない。すぐ傍で守るとのこと。少し残念そうに見えた気がしたので明日からもやってもらうって言ったらシュルンと尻尾が出てきて地面をバシンバシンと叩いた。というか抉った。
やめてぇ、地面をいじめないでぇ!とは言えず洋服に穴は空いていないだろうかとそっちに気をそらした。ちなみにこれも本気で気になったので尋ねたらズボンは半ケツ。上は短めで割れた腹筋が見える服なのでそもそも心配はいらなかった。ショートマントつけてるから後ろからはチラリズムレベル。俺はそんなの見てる趣味はなかったので気付かなかった。聞い時に遠慮なくマントめくってくれたからケツもバッチリ見えたよいらない。
ちなみにそんな腹が立つくらいナイスボディの割れた腹筋である前は見てなかったのかと言うと俺の為に見なかったとしか言えない。
そんなこんなでエイトに嫉妬している間に抉れた地面は直ってた。結界すごい。
うん、よかった試合に集中出来る。
というわけでアルフ対デュラです。
デュラは徹夜だけといつもそれで鍛錬してたってんでならまぁいいかってことで。ちなみに俺も浄化しながらの観戦です。いやだってこれでやらなかったら今度は俺が問題になっちゃうしな!
それにこれ意外とつらい。精神鍛えられんじゃない?
見たいけど集中して浄化を続けなきゃならんのよ!?
二人に気をとられると浄化の陣は消えてしまう。あの深い浄化の為にもしばらくはこの訓練でいいかもな。
………で俺がヘトヘトになるとどこからともなくレオンが登場し簡易テーブルと椅子を用意してくれる。
あ、きちんと一時間やってるから!二人に気をとられたり疲れて休もうとするとエイトがまだ。ってこの一言で威圧してくるんだよ…。
レオンが紅茶を淹れてくれたので一息つく。
ちなみにまだ二人はバトル中だ。
アルフは魔法と剣を両方使う魔法騎士タイプみたいだ。デュラは魔法使いタイプかな。近づけない為に風の球やら竜巻やら放つ。魔法同士だとデュラのが強いみたいでアルフは少し軌道を反らすぐらいに魔法を当てて距離を縮めてる。近づくと剣と錫杖の戦いになるけどそうなるとデュラのが不利だ。でもだからこそ対応は考えているみたいで小さな風の壁を出して足止めしてまた距離をとる。
うん、つまり終わらない。ちなみにエイトに解説してもらってるからそうなんだぁっていうレベルだ。俺には緑と赤がぶつかり赤が近づいたと思ったら緑が離れて~みたいなのがすごい早さでガキンガキン音をたてぶつかってんだなぁ、いったりきたりしてるなぁくらいだ。
っていうかさ、俺前に受け身とか避け方とか言われたよね?
無理じゃね?
さぁっと青ざめる。
皆は俺の体を見て他の人より体が出来ていないことは知ってる。
でもこの世界でいうどの位置くらいの身体能力なのか俺は知らない。へたすると子供よりも俺弱いんじゃない?浄化はそれこそ花丸貰ってる。異世界の神子なんだから当然戦場の最前線に行くだろう。力はあるのに防御は紙。
これ、やばい。
今までの神子はどうだったのだろう。
午後の魔法訓練の中止が決まった瞬間だった。
ーーーーー
歴代の異世界の神子の資料は後から見せようとしていたとのことだった。
実際に外に出て魔物の浄化をしてから。
練習と違い実践が始まってからなら異世界の神子がどのように浄化していったのか。どこを注意し、どうしてそうしたのかなどが分かりやすいからだそうだ。
ちなみに初代の異世界の神子がそうしてくれるよう頼んだらしい。いっぺんに知識をいれず基礎練習しながらまず城の中でこの世界の人に慣れることを優先するように言ったんだと。
世界を救う時間は確かに大切だけど心を壊したら意味がないと。
……初代は先生とかだったんかな?
初代以外の異世界の神子も資料というか手紙というか残してくれてはいるんだけど初代が一番そういったことを残してくれているんだって。初代、本当にありがとうございます。
さて、とりあえずまだまだ実践には行けるレベルではないということで初代の資料は楽しみにとっておこう。その前にさっきの問題を片付ける方が先かな。
「他の騎士の訓練も見たいんだけどそれって無理か?騎士になり立ての人達とか……アルフとデュラが強すぎて……俺にも目で追える……いなかったら泣くな……」
昨日と同じく昼を外でとりながら話してたわけだがなんだろう、前がぼやけてきたよ。
「クー様」
「うん、ありがとな、レオン。でもそんな綺麗なハンカチで俺鼻水拭けない」
「構いません。……分かりました、こちらではいかがでしょうか」
「ドラゴンの刺繍のがすごくね!!黒にところどころ金色はいってますけど!?」
「クー様はお優しいですね。でもこれは私の刺繍で売り物じゃありません。ですがクー様を思って縫いましたのでそう言っていただけると嬉しいです」
「ドラゴンが俺ってどういうこと!?待って!それでも拭かない!引っ込んだ大丈夫ふがっ」
俺が絶望的な顔をしレオンが満面の笑みでドラゴンを鼻水まみれにしたところで声がかかる。
ねぇ、わざと?わざとなの?
「……上からならいいかな」
「…え?」
「そうですね。僕もそれが当然の権利かと思います」
「え!?」
「もふい」
「うまいのは知っとるわ!」
一人を除き話しをどんどん進めていく。
待って騎士団長からってどういうこと。
俺が目で追えるレベルって言ったじゃん!
「下の者からあったら上から地獄の扱きが始まりますよ?」
「え?」
「当然だよ。クーの顔を直接見れるんだから」
「え?」
「会える時間も変えた方がいいかもね」
「やる気がでますね!」
「何週間かで競わせるのもいいかもしれない」
「クー様の顔も覚え守りやすくなるし士気も上がるしでいいこと尽くめですね!!」
「では手配して参ります」
「頼んだよ、レオン」
あれ、いつの間にかレオン君まであっち行ってるよ?
「ん」
「うん、ありがとな。うまいよ」
エイトからパンに何か色々挟んだものを渡される。頭を撫で礼を返すと尻尾が出て地面を抉った。
うん、これだけは分かった。尻尾は嬉しいってことだね!!




