午後はレポートと魔法の練習をしましょう。
「ではよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ。こんなんでよければいくらでも。もし何かあったら聞いてくれて構わねぇけどぶっちゃけ俺も感覚だから上手く説明出来ないかもだけど」
ただいまお昼です。
外で食べられるようにってレオンがシートみたいなのを拡げてその上でサンドイッチみたいなの食べてます。
最初俺が疲れたぁって横になろうとしてデュラがすかさず綺麗なマントを敷こうとしたものだから全力で拒否した。護り人ってのは護衛だけでなくエスコートもするもんなの?
んでまぁそれを見てたレオンがなら皆で外で食べましょう、と持ってきてくれました。
あ、ちなみにさっきの浄化の強さ?魔力を込める量を多くした?とにかく新しい?であろう浄化についてのレポートを休憩させてもらいながら作っております。この世界の魔法ってようは本人のイメージだから伝えるのが難しいんだよな。
感覚というか何をイメージしたかをとりあえず伝えて、あとはじっちゃん達第三者が見たものをまとめて各国に送るんだって。
戦闘中に倒れても困るからきちんと状況を見て試してみるとのことです。
「あ……えーと……桃山さんと手紙のやりとりとかしちゃ…ダメ…かね?」
じっちゃん以外にも現場を引退した人たちが集まってあーでもねーこーでもねー、みたいに話して横で紙に書いているのを見てふと出てしまった言葉。
デュラがあわあわし、エイトはかがんで顔を除いてくる。
「……さみしい、か?」
おぉぅ、エイト君のが寂しそうですけど。
つい笑ってしまう俺にエイトがますます困った顔をする。
とりあえずそばで不思議な踊りを始めるデュラをてぃっと頭をはたき落ち着かせた。
「今のところバタバタ毎日忙しいしお前らがいるから寂しくはねぇよ。うん、まぁお前等の所為な気も…あれ?全部そうじゃね?……一発殴っていいか?」
さっとデュラを盾にするエイト。デュラはえぇぇぇ!?エイト様!?なんて叫ぶ。
俺は大丈夫よー、恐くないよーなんて笑って近付く。
うむ、デュラ君はからかいやすいね。なんて思いながら手を振り上げて殴るふりをし、とそこへ風のように人が飛び込んできた。
「クー大丈夫!?」
「うわぁぁぁ!!」
俺は驚いてそのまま手を振り下ろしてしまう、が…。
「元気そうで良かった!」
その手は掴み上げられそのまま抱き寄せられる。
「ぎゃあぁぁあ!」
現れた男、アルフは叫ぶ俺を綺麗に無視し体の確認をする。おい!俺の危機よ、デュラ君んんん!!
「起きたらクーが倒れたって聞いて慌てて来たんだ。どうしてすぐに教えてくれなかったんだ」
「怪我したわけでもねぇから俺が起きてからにしてくれって頼んだんだよ!デュラ助けて!」
先程の頼りなさが噓のようにデュラが動きいつの間にか俺を背中に庇っていた。
ちょ、やだときめいちゃう。
なんて遊んでる場合じゃない。心配してのことだとは分かっているのですぐにとなりのじっちゃん達の方を示す。
「浄化について少し変えられるかもしんねぇってさ」
ーーーーー
とりあえず事情の説明終了。ついでに手紙についても頼む。
「たぶんだけどさ、ここの人たちって想像力がないっていったら悪いけど固まってんじゃねぇかなって」
魔法のことを教えてもらった時思ったのだが属性魔法なら炎の球の大きさ、熱さとかのイメージでそもそもの魔力量は調整出来るみたいなんだよな。でも浄化ってイメージはあれしかねぇわけよ。
だからたぶん浄化は自分の魔力をより注ぐっていう考えはなくて範囲は自分の魔力量に対して自然に制限をかけた中での範囲で行ってるんじゃないかなぁと。
外から来た俺達だとそれが当たり前じゃないから他にも何か気付くんじゃないかと思ったわけよ。
「そういうのを桃山さんと話し合って気付けたらなぁって思ったんだ。別に手紙の内容は皆に見て貰っても構わないし」
アルフは頷いて、ここに滞在してる間手紙ではなく会って話し合うといいと言ってくれた。後で王様と桃山さんに伝えとくとのこと。
色々決まってお昼ご飯も食べ終わると俺達は魔法訓練所へと移動した。
ーーーーー
魔法訓練所は基本攻撃魔法を練習する場所だ。なんか特別な魔法陣があって威力を吸収してくれるのだそう。
とりあえず最初はデュラに教えてもらった通り大小様々な光の球を出す。
「おぉ!」
楽しくてクルクルと俺の周りを漂わせる。
なんか可愛くなってきた。
「これ途中で変えてもいいのか?」
「え?」
「出してから形変えるとかさ」
「あ、はい。大丈夫…だと…」
やっぱ妖精とか?狼なんてのもいいかも。
せっかくファンタジーの世界に来たのだからと想像する。
小さな光は小さな人型に、大きな光は狼の形になり俺に擦り寄ってくる。
……まぁそれをイメージしたからなんだけど。
「くっ、可愛いな!」
わしゃわしゃと頭を撫でてしまう。でも光だから表情はない。残念。
次に光の竜を作ったらエイトが角だして対抗してきたものだから爆笑。頭にのせてやったら若干嬉しそうに見えた。
しばらくそんなんで光をだして遊び慣れてきたところであのライトニングの練習に入る。
イメージするのはテレビで見たことのある雷。天気はすごく荒れてて、落ちた木は粉々になり燃えてる。
大きく息を吸った。
「ライトニング!!」
ーーガラガラ!
ーーバリバリ!
ーードグシャ!!
いくつもの光が落ちて地面を抉る。
しかししばらくするとそれは何もなかったかのように元に戻った。
「ふぁぁ」
疲れたわけではないが圧倒される。攻撃魔法というものは結構くるね、精神的に。
その後も何回かライトニングの練習をしてデュラの風魔法を見せてもらいそれの光バージョンの色々を試してみた。
「……異世界の神子様はここまですごいのですね…」
そうデュラが呟いていることには気付かなかった。




