蒙古ステーション
お正月企画その6
『ふゆやすみのおもいで』
3ねん3くみ3ばん にいじま しょう
ぼくはふゆやすみに、もうこステーションにいきました。
もうこステーションはとても楽しいところで、もうこステーションえきでおりるとつきます。
ぼくがもうこステーションでいちばん楽しかったことはというと、それはもうこメリーゴーランドです。
もうこメリーゴーランドではロバに乗ってさばくをゆきます。
シルクロードの長いたびは、ぼくを少しだけ大人にしてくれたと思います。
三日目の夜にたべた、チーズの味がわすれられません。
またいつか、もうこステーションでチーズをたべたいと思いました。
・担任のコメント
ずいぶんステキな思い出ができましたね!
ところで、もうこステーションとはどこのテーマパークなのでしょう。
先生は知らなかったので、とても気になりました。
『冬休みの思い出』
3ねん3くみ12ばん 桐原那波
蒙古ステーションは子どもだけが行けるテーマパークです。
わたしは冬休みにひとりで蒙古ステーションに行ってきました。
蒙古ステーションに行くには、電車に乗って蒙古ステーション駅に着くと行けます。
入口で入場券を買いました。
「子ども一枚」
わたしが言うと、受け付けのおすもうさんがチケットをくれました。
チケットは青い色をしていて、それをおしりにつけます。
これを蒙古はんというのだと教えてもらいました。わたしは面白いと思いました。
園内ではおしりにつけた蒙古はんを見せると、さまざまな乗り物に乗ることができます。
わたしは蒙古ジェットコースターに乗りたかったのですが、身長制限に引っかかってしまいました。
とても残念だったので、大きくなったらまた来たいと思いました。
夜は蒙古ゲルに泊まります。
蒙古ステーションの中は広い草原なので、ゲルがなければ遭難してしまいます。
わたしは、ゲルの中ではテレビが観られてすごいなあと思いました。
あとチーズがおいしかったです。
・担任のコメント
あの。ちょっと話が変わってきたんですけれど。
え、桐原さん、ひとりで、その……蒙古ステーションに行ったんですか?
親御さんにはしっかり話さないといけません。
というか、あの、お尻って……お相撲さん、ゲル……ええ?
先生、今ちょっとインターネットで蒙古ステーションを調べてこようと思います。
『蒙古ステーション一泊二日滞在記』
3ねん3くみ19ばん 吉崎忠
――蒙古ステーションでの朝焼けを俺は忘れない。
冬休み。俺は貴重な休暇を用いて蒙古ステーションへと足を運んだ。
そこは幼い子どもだけに許された最後のテーマパーク。向かうには電車を使う。
ふ。いわばネバーランドというわけだ。俺は航海に出るピーターパンのような心持ちだった。
電車で眠りに就いた俺。次に目を覚ましたとき、俺の体は蒙古ステーション駅へと運ばれていた。
入口で蒙古斑をズボンにつけてもらう。
ジーンズで来たのは失敗だった。青い色がどうしても目立たなくなってしまうからだ。
だが、この程度はさしたる問題ではないだろう。
やはり想定外の事態が起こるのも旅の醍醐味だと俺は思う。
俺は蒙古ジェットコースターのファストパスを最速で入手する。園内の移動にはロバを使った。
ロバを駆り草原をかける俺。
あるいは太古の狩猟民族としての本能が、俺の中で目覚めようとしているのかもしれない。
その後は人気アトラクションである、蒙古太古の輝きの大草原ブラスターに搭乗する。
これは弓を使い、異民族からの侵略を撃退するアトラクションだ。
もちろん初体験だったが、我ながら悪くない成績を収めたと自負している。
さすがに一度でランキングに入ることはできなかったが、次はきっとランカーを狙えるだろう。
俺の放つ矢が、敵の蒙古斑を射抜く快感。それが今も手に残っている。そんな気がした。
俺の中に眠る兵としての血が戦いを求めてやまない。
昼食にはミルク粥を頂く。やはりコメは美味いものだと感じた。
俺の中に眠る農耕民族としての血が、おそらくは騒いでいるに違いなかろう。
蒙古ジェットコースターは、求めてやまない凄まじいまでのスリリングさを俺に提供してくれた。
なにせ、生きた本物の伝説の幻の生物に乗って世界を巡るのだから。
俺の中に眠る騎馬民族としての血が、もっと輝きをと叫んだ。ガイアの声だろう。
夜はゲルで眠った。
明くる朝。
羊の鳴き声で目を覚ました俺は、そこで地平線から昇る朝焼けをこの目に収めることができた。
なんという広大さ。
なんという雄大さ。
この世界と比べるなら、人間など所詮はちっぽけな存在に過ぎないのだろう。
俺は目に浮かぶ涙を堪えながら、蒙古タンメンを食べた。からかった。
・担任のコメント
待って待って待って待って怖い怖い怖い怖い怖い。
『結婚は果たして人生の墓場なのか』
3ねん3くみ21ばん 鈴木瑠理香
蒙古ステーションでいちばんの人気アトラクションとはなんだろう。
私はやっぱり蒙古はんの旦那狩猟だと思う。
昨今、結婚できない大人が増えているという。
たとえば独身の教師とかだ(笑)。
だが古来、血を、命を、生きた証をこの世に残すことは何より重要な人類の課題だった。
いい年して独身とか本当にどうかと思う(笑)。
私もまた祖先に感謝し、子孫を繁栄させる義務を負っている。
独身(笑)。
かといってがっつくのはよろしくない。合コンではしゃいでも失敗するだけだ。
経験者ならわかるでしょ(笑)。
そこで参考になるのが蒙古ステーションのこのアトラクション。
最も強い男を射止めることこそ求められる原始の時代。それを追体験することができるのだ。
わたしは抜かりない。
私がハントしたハニーは、東大卒、年収四千万のイケメンエリート実業家。
アラサーの公務員じゃちょっと手が届かないよね(笑)。
――昨今、少子化の波はやむことなく寄せては返している。
そんな中で、今の世代のわたしたちにできることを考えなければならないと思った。
先生も早く結婚できるといいですね(笑)。
・担任のコメント
あとで職員室に――いや校舎裏に来い。
『冬休みの自由研究』
3ねん3くみ30ばん 湯川健太
冬休みの自由研究として『集団幻覚』の実験を行った。
お泊まり会でみんなで眠る際、僕は眠っているみんなの耳元で語りかけたのだ。
内容は、蒙古ステーションという架空のテーマパークについて。
ちょうどニュースでモンゴルの話をしていたので、適当に拝借した。
結果、皆は夢の中で蒙古ステーションという謎の施設で冬休みを謳歌してくれたように思う。
詳しい実験結界は別途レポートに纏めて提出しようと思う。
今はまだ自在に夢を見せる程度が限界だが、やがては起きている人間さえ操ることも可能になるだろう。
先生も、見たい夢があったら僕に言ってほしい。
・担任のコメント
お前かよ。
※
・保護者の皆様へ
三年三組の担任であった的場理恵子先生が、勤務中、頻繁に眠りに就いたため退職されました。
先生は最後まで「違うの。これは違うの。ちょっと新婚気分を味わいたくて」と繰り返しましたが、
様々な観点から、先生にはナルコレプシーの治療を優先していただくべく、
このような結果となったことをご報告いたします。
ぼく今日はちょっとダメかもしれないです。頭とか。




