『VRDSRPG(RTA)』
はじめまして。
わたしはハンドルネーム・恋する運命論者。略して恋ガールとでも呼んでほしい。
さて、今日は大人気VRDSRPG――タイトル名『Love/Destiny Soul』、通称LDSを走っていこうと思う。
間違っても変なお薬の名前ではないので誤解なきよう。
と、その前に。
ここに集まってくれた皆様はご存知のことと思うけれど、念のため説明させてもらう。
まずVRDSRPGについて。
知らないわけがないとは思うけれど、これは仮想現実型疑似恋愛体験ロールプレイングゲームの略称だ。仮想現実空間で、最新型のAIを搭載したノンプレイヤーキャラクターと恋愛を楽しむという、ここ数年で最も隆盛を誇るVRゲームの一大ジャンルである。
もちろん中にはR18指定のゲームもあるけれど、わたしは恋する運命論者。誰が見ても大丈夫なよう、健全な仮想お付き合いに終始させていただきたい。でなきゃ配信できないし。
さておき、その中でもLDSといえば、全世界での発売本数5600本を誇る、誇る、誇る大人気恋愛ゲームだ。なんと日本国内だけで5600本が売れているというのだから驚きだろう。驚け。
もちろん超有名作品なので皆様、プレイ済みのことと思う。
難解かつ複雑な性格の、つまり個性的なAIが搭載されたランダム発生NPCたちと触れ合いながら、恋に落ちていく、というか落とす今作。人間の複雑な心をこれでもかと再現したどころかしすぎた複雑な要素に翻弄されながらも、苦労した末に恋愛関係が成立する楽しみは皆様もすでに知っていることと思う。
人間関係というものはアトランダムな要素にすら左右される、理論化できない複雑なモノだ。それをゲームの形に落とし込むことで、いっそもう現実世界を遥かに上回る勢いでクッソ面倒臭じゃねえバラエティに富んだ女の子たちを次々と攻略していくのが楽しいのだ。特に人気のキャラクターとして、数十分に一回ペースで奇声を発しなければ死んでしまう難病に罹った薄幸の美少女・襟裳岬もずく、自分のことが好きすぎて嫌いという歪んだ思いに苛まれ木刀で自分自身を殴るセルフ系ツンデレ少女・恐山よし子など、枚挙に暇がない。
というわけで、今回はこのゲームのRTA――リアルタイムアタックをやっていく。
計測開始はスタート画面の《はじめから》を押した瞬間から。とにかくどんな手を使ってでも最初にひとりを攻略して、《ハッピーエンド》の表示が出たところで計測終了という方式でやっていこう。
このレギュレーションを《1 route end》という(わたしが名づけた)。
このゲームのRTA走者はおそらく全世界でわたしだけだと思われるので、今ならだれがやっても世界ランカーだ。
皆様も是非挑戦してみてほしい。
説明と宣伝はこれくらいでいいだろう。
それではやっていこうと思う。
じゃあ、
よーいスタート。
※
まずはゲームを起動する。ここは計測に含まれないため落ち着いていこう。
はじめから、には最初からカーソルが合っている。VRヘルメットから見える画面。タイトルロゴ。
脳内発声で《決定》と入力。ここからタイマーがスタートする。
さて、オープニングはカットしてさっそくやっていこう。
まず自室で目を覚ます。このゲームの楽しいところは自分の体を動かして攻略するがゆえの自由度の高さにある。
最初は室内を探して予定表の確認やお小遣いを手に入れるところなのだが、当然そんな暇はない。ベッドで目覚めた瞬間に横の窓を開けてそこからダイブ。主人公の青年の部屋は二階なので落下ダメージを受けるが、ラブパワーによって守られている主人公は滅多なことではラブパワーがゼロになるまで死ぬことはない。逆を言えばラブパワーがゼロになると死ぬのだがラブパワーは初期値から100ラブパワーを持っている。このラブパワーはイベントなどで増減する以外にも、あまりに常識から外れた行動を取ることでも減少してしまう。ヒロインが軒並み常識から外れているくせに厄介なシステムだ。
ただ逆を言えばラブパワーがある限りラブパワーのお陰でまず死ぬことはない。車に轢かれようと通り魔に刺されようと全てラブパワーが守ってくれる。なぜならラブパワーだからだ。
本来なら二階から飛び降りることで5~8ほどのラブパワー減少が発生するのだが、右手を一回のサッシにかけることで威力を殺してラブパワー減少をゼロにできる。同時に入手することになる《砕けたサッシの一部》をアイテムとして庭の犬小屋に投擲。ここで1のラブパワー減少で威力を増加させ犬小屋を一撃で破壊するとともに、中にある鍵を入手。その鍵で庭の倉庫を空けて父親が隠していたへそくり70000ラブ$を入手する。部屋の財布には5000ラブ$しか入っていないため、初期段階から一気に65000ラブ$の得だ。まあこれは犬小屋を破壊せずとも調べるだけで手に入る鍵のため、知っている者も多いだろう。ただ破壊したほうが約7秒もの短縮になるので、今回はこのルートを取る。
吠えるラブラドールの横を通り抜けてさっそく町へと繰り出そう。
さて。今回の攻略ヒロインとして選んだ少女を落とすために必要な総ラブパワー値は12000。ご存知の通りこのゲームにおいてラブパワーを貯めることは至難であり、1ポイントの損失すら痛いところだが、そこは腕の見せどころ。
通りを北側に向かって最速で抜けていく。
このタイミングは第一の再走ポイントと言えるほど非常にシビアだ。少なくとも部屋で財布を入手していては絶対に間に合わないほどシビアである。
最速で行くと、ちょうど自動車が道を通り抜ける。
では轢かれていこう。
大丈夫。ラブパワー30を失うが、この反動で家の壁にめり込み家宅侵入。屋根を飛び越えて裏通りに出ることで、最初は落としたコンタクトレンズを無限に自分で踏み潰して砕いている頭の病んだヒロイン・吉野川がねめちゃんが「コンタクトが割れちゃうから通らないで!」という理解できない理由で通せんぼしている道を通り抜け、本来なら二日目以降でしか迎えない街の東側へと辿り着くことができる。この技をわたしは轢死ントン・ショートカットと名づけた。レキシントン関係ないけど。
なお道の裏側へ回ったところで自動的に吉野川がねめちゃんの遭遇イベントクリアフラグが立ったことになる。あえて一度、道を戻ってがねめちゃんに話しかけ、ラブパワー200を入手する。現在ラブパワーは269だ。なお台詞を最後まで聞かなくても声をかけただけでラブパワーは入手できる。無視して進もう。なぜコンタクトレンズ賽の河原プレイをしているのか。その秘密は実際にプレイして自分で確かめてほしい。LDSでも屈指の泣けるイベントである。
東エリアに到達したところで、まず立ち止まってほしい。
ここもまた非常にシビアだ。今度はタイミングではなく肉体操作が。
エリア切り替えと同時に一度まず立ち止まり、間左を向き、歩幅30でその場から三歩進もう。その先のガードレールのギリギリに立ったところで、ガードレールを一発だけ思いっきり殴ってほしい。ラブパワー1の消費(これで268)とともに反動で微妙に後ろを向くだろう。そこで、さきほど入手した鍵を視界アイテム欄から取り出し、左手に持ってそっと落とす。それをしゃがみ込んで拾おうとするとエリア切り替えの接触判定がバグり、エリアを移動しないまま切り替えゾーン内側を歩けるようになる。難しい技だが、このセットアップ方法で練習して皆様も安定させてほしい。
なお以降、このようにエリア切り替え判定を起こさないまま歩けるマップ外空間を《裏側》と故障する。
裏側では再び《エリア切り替え判定ライン》を踏むまでは自由に行動できる――が、このマップは見かけだけで実際に足が踏める場所は非常に少ない。もし足を踏み外すと地面に吸い込まれるように落下してラブパワー50を失い、元の場所に戻される。仮に戻されたら再走になるため注意して歩こう。
裏側に入ったところで鍵を仕舞い、斜め左方向に半歩動く。
その状態で上を見るとちょうど太陽の出ている方向に絶妙に歩ける場所がある。幅は三十センチほどで、見た目ではわからないため、平均台を通る気持ちで慎重に進んでほしい。大丈夫。VRの体幹補正があるから、ここはまだ簡単だ。
ガードレールをすり抜け、家を貫通して進むと川につく。
川は一段低い場所になっているわけだが判定上では川の上の上空を歩いてくことになる。
川の代替真ん中あたりまで進んだところで、川の上から通りにジャンプしてほしい。ポイントは恐れず全力で思いっきりジャンプすることだ。道を貫通してどんどん下に進んでいき、ある程度まで進んだところでラブパワー50減少が発生。
これで現在ラブパワー218。
だが、これで次に立っている場所は、そう――今回の攻略ヒロイン・薙刀弓矢ちゃんの部屋だ。薙刀なのか弓矢なのかどっちかにしてほしい。
これは落下のとき、最下層との接触判定の少し前に薙刀ちゃんの部屋へのエリア切り替え判定に触れることから起こる疑似的なワープ移動である。これでフラグを無視して6日目の状態に一気に進むことができるわけだ。その日しか入れないという仕様から、なんと入ることで逆に日数を増加させイベントが開始される仕様である。
ここから五分ほどイベントを見よう。
この隙にお茶を飲んでもいい。
と言いたいところだがVRプレイでは不可能なので諦めよう。
イベントが終了すると、「じゃあ約束の場所で待っているからね」と会ったこともない少女がなんのことだか一ミリもわからない約束を一方的に告げてくれる。意味を知りたい方は自力でのプレイを以下略。
さて。ここからもまた難しいので注意してもらおう。
まずここから先、弓矢ちゃんは何を話したところで「今日は帰って」しか言わなくなってしまう。
そして――これは既プレイの方でも、もしかしたら気がついていないかもしれないが――このイベントのあと、この部屋に5秒留まるごとに5ポイントのラブパワー減少が行われる。
本来、驚異的を通り越して変態的ドMキャラの弓矢ちゃんとのイベントをきっちりこなして六日目に到達したプレイヤーならば平均して5000以上のラブパワーを所有している。そこまで困ることはないのだが、このあとのボス戦や消費を考えると、七日目が最終日であることも相まって、場合によっては致命的なラブパワー減少でデータリセットさえ強制される可能性のある、割と初見殺しのエリアでもあるのだ。周回プレイヤーには、まあ周知のことではあろうが。
とはいえ、長居さえしないで部屋を出て七日目を素直に待てば困ることではない。
問題は弓矢ちゃんが驚異的なMで、とにかく愛のあるいじめをこなしてこなしてこなさなければ本来はここまで辿り着けないという点だろう。ここまでプレイし続けてきたプレイヤーは、逆にここで「言われていることを無視して弓矢ちゃんをいじめないとまたリセットさせられるのでは?」という疑念に駆られてしまう。普通にやさしくするとすぐルートから外れるとかいうクソルートのくせして、最後の最後でこんな落とし穴があるのだから本気でAIどうなってんだアホかと思う。
特にこの弓矢ちゃんルートは普通にプレイすると最難関とさえ言われる難易度を誇り、全体的なラブパワー消費も半端ではない。この後のボス戦も鑑みればラブパワーがこの段階で8000あっても初見では厳しかったりするクソゲーすぎる。
あ、言っちゃった。
嘘ですいいゲームです。
さておき。今回かっつかつのラブパワーでやっているため、ここからの動作で15を超えるのラブパワーは絶対に消費できないのである。つまり猶予時間は19秒だ。
今回、まずここでガバった。
ここまでが最速ペースだったので焦りが出たのだろう。
まずセットアップとして一歩を後ろに下がり、そこから斜めに最速で前転を決めることで、洋服だなと壁の隙間に入り込むことができる。――のだが、これに失敗してただ《部屋の中で前転した人》になってしまった。
ゲームではよくある光景だが、VRでやると、こう、なんかアレな感じが非常に否めなくて心にクる。
幸い、壁やタンスに激突することだけは避けられたのでセーフだ。
ただ前転をするだけならば、今や「今日は帰って」botと化している弓矢ちゃんが反応してラブパワーが減ることはないからだ。しかしもし激突すると勢い次第では5以上のラブパワー消費がある。ほぼリセット案件だ。
ともあれリカバリー。
壁とタンスの隙間に向かって斜めに横っ飛びをとにかく連発していこう。これは本当に安定しないのだが、連続でやっていればいつか必ずめり込める。今回は7回かけて成功した。裏側へようこそ。
裏に入ったら壁がちょうど自分の体を真っ二つにするイメージで入口の扉のほうに向かっていき、判定ラインの直前で今度はバック宙を決める。もしバック宙ができない場合はリアルで体操部にでも入って練習しておいてほしい。
着地位置はちょうど最初に立っていた辺りだ。そこだけ着地判定が起きるため、成功すると《部屋の中にいる状態で部屋の外に出た》という矛盾した状態を作り出すことができる。もちろん部屋を出ているためラブパワー減少も止まる。
現在ラブパワーは203。減少値15だったのでギリギリセーフである。
難しいが、バック宙ができれば着地判定は大きいし、切り替えラインに接触してからの猶予フレームも結構大きい。そう難しいことではないので、恋ガールならば余裕だ。
ここから、ベッドに腰を下ろしたまま、もはや物言わぬ彫像、ロダン作の美術ばりに石化した弓矢ちゃんの傍ら、時間を明日――最終日である七日目まで飛ばす判定に入る。
このゲームで通常の時間経過以外に時間をすっ飛ばす方法はイベント、あるいは外傷による気絶などいくつか方法が存在するが、ここでは最もオーソドックスな時間飛ばしを行う。
寝るのである。
ヒロインのベッドでね。
もはや所業が変態のそれだが大丈夫。自宅のベッドだけではなく、実はこのゲーム、あらゆるベッドで睡眠判定を行うことができるのだ。もちろんそれは、ヒロインの部屋のベッドでさえ例外ではないということ。
この日、このタイミングでしか訪れられないのに睡眠判定がある辺り意味がわからない。ちなみにもちろん普通に寝ようとしたらラブパワーが減少して詰むことをお忘れなく。
睡眠判定で時間を飛ばし七日目の朝になる。
弓矢ちゃんはとうに《約束の場所》へ向かったあと(ということになっている)ので、ここからはラブパワー減少なしに部屋を漁り放題である。完全に変態です。
別に寝るより先にアイテム回収からやってもいいのだが、ときどき謎の判定バグが起きてラブパワーを減らされるため、先に寝ておくことをお勧めする。
洋服箪笥を開けよう。服を脱ぎ、彼女の服を着込むことになる。
だいぶどうしようもないが必要な行為だ。備えよう、そして弁えよう。
仕方ないね。
自分の服を脱ぎ、全裸になり、それから《かわいいスカート(弓矢)》、《おしゃれなシャツ(弓矢)》、《すてきな上着(弓矢)》、……それと《黒のブラジャー(弓矢)》、《あなたのハートを狙い撃ち勝負パンツ黒(弓矢)》を入手して着る。明らかにデバッグ段階でつけられた適当なアイテム名称である。制作陣もまさか想定していなかったらしい。そんなところにアイテムを用意しておくから、こういう風にRTAプレイヤーが見つけてしまうというものだ。
男性プレイヤーは、もし女性服の着方がわからなかったらリアルで練習しておいてほしい――いや、ダメか。もしリアルでやったらだいぶヤバいか。これはあくまでVRだから許されると弁えて、まあがんばって練習してほしい。
まあ今回、かなりのペースだったため、ここで再びガバってしまったのだが。
下着を履く前に服を着こんでしまうという痛恨のミス。幸い、スカート穿いた段階で気づいたためセーフとしたい。
脱ぎ直してパンツを脱ぎ、そして弓矢ちゃんのパンツに穿き替える。
ガバ。
パンツでガバ。
パンツがガバガバ。
それは違う。
しかし、これで恋愛シミュレーションゲームをやっているというのだから驚かされる。
やっていることは完全に変態シミュレーションゲームではなかろうか。
いや、そういうのも奥深いというか、なかなか趣深く、妙味に溢れている。そう表現すべきだろう。
着替え終わったら、タンスに69500ラブ$を入れておく。多すぎる分には大丈夫なのだが、このあと残る500ラブ$をすぐ使うため、額ぴったりにしよう。
これをやらないと窃盗判定が起こり、部屋を出た段階でラブパワーが減少するので注意だ。逆にお金さえ入れておけば、前後でタンス内の価値が変わらず窃盗判定が起こらない仕様となっている。いや、たぶんバグだと思うけど。
……弓矢ちゃん全身コーデ69500ラブ$なり。
高いのか安いのかどうなのか。考えるのはやめておきたいと思う。
再び窓を飛び降りて(扉から出るとフラグが狂って六日目に戻されることがあるので注意)、今度もまた最速で約束の場所を目指していこう。
まず窓から飛び降りたあとはランダム要素に襲われる。
とにかく人通りの多いところへ向かい、最初に見つけた同じ《相象学園》の生徒にスマホを借りよう。ラブパワーを減らさず電話を使う方法は、スマホを使うか公衆電話を借りるかしかない。だが公衆電話は遠いため、今回は前者を選ぶことになる。なんの対価もなくスマホを貸してくれるキャラは学院性だけであるため、制服をひたすら探すことになる。まず初期で主人公のスマホがゲームの都合上、修理に出されている(電話帳がクリアされている)という設定のために最速で来るとスマホを持っていないのだ。もちろん取りに行っている暇などない。
ここでいかに早く学園生を見つけられるかが勝負の鍵だ。今回はいい乱数を引いたらしく、なんと大通りに出るより早く家から通学のため出てきた女子生徒と遭遇した。
このゲーム、キャラクターの判断がAIと乱数に著しく左右されるため、クソほどランダム性が高いのがかなりの欠点と言えるだろう。今回のルート選択にも、このランダム要素が大きく関わっている。
実は理論値ではもっと早くクリアできるヒロインがいたのだが、彼女のルートはRTAでもランダム性が高すぎてTASさん御用達なので採用しないことにしたのだ。まず出てくるかどうかがランダムな上に三日目まで判別する方法がないのだからクソofクソ。それ以外だと、最速七日目でクリアできる弓矢ちゃんが、ランダム要素も薄くRTA向きだ。
スマホを借りたら電話で、友人キャラ・霧ヶ峰が丘韮を呼び出す。
韮は恋愛ゲーには必ずと言っていいレベルでいるだろう友人ポジのキャラ。各ヒロインのフラグと日付次第ではあるのだが、コールして呼び出すことで人力車で駆けつけて、道交法どころか物理法則を無視したワープレベルの速度で目的地まで届けてくれる。VRのくせにこういうところで驚異的なリアリティが欠けているところも、このゲームが5600本の売り上げを誇った理由のひとつだろう。
それ売れてねえっつーんだよ。
言っちゃった。
韮を呼び出したら韮ワープで約束の場所――つまり相象学園の校庭へ向かう。
向かったところでフラグが立ち、勝手に時間が七日目の夜に飛ぶ。だからリアリティ。おい。
なおこの韮ワープにかかる費用が500ラブ$であり、これで使った額はへそくりぴったり70000ラブ$。
開発はやはりこのRTAを予想していた……!?
「俺たち友達だろ! いつでも頼れよな!」
を連呼する韮を放置して校庭の真ん中に立つとボスバトル――VS薙刀弓矢戦が開始される。
このゲームでも弓矢ちゃんを除けば、ほかにはふたりしかいないヒロイン自身がラスボスパターンのルートだ。ネット上では彼女たち《自分がラスボスヒロイン》を指して、ファンの中では《四天王》と呼ばれている。三人だけど。
ていうか三人もラスボスがヒロインなルートがある時点で多いだろって話だけど。
ドMを拗らせすぎた結果、ドSとして覚醒した弓矢ちゃん。
ちょっと何言ってるかわからないという方は、ぜひきちんとプレイしてほしい。
どうせ何言ってるかわからないから。
名前の通りそのまんま捻りもなく薙刀と弓矢を装備している彼女は、遠近両用に対応したこのゲームでも屈指の強ボスとして名高い。人によってはゲーム内最強に挙げる者もいるだろうトラウマヒロインなのだ。
かわいいね。
もちろん強ボスもRTA勢には通用しない。
開幕で放ってくる薙刀による衝撃波。こいつの本流を躱して、けれど余波には当たるように上手いこと校門を背中に体の位置を調整する。余波を食らうだけで200のラブパワー減少に加え後ろへと吹き飛ばされるが、ここでお馴染み裏側マップへ侵入。
直後、空から降り注ぐ千の弓矢を足場にして、(この弓矢は地面を貫通して地面の下の裏側食うかに突き刺さり足場となる)真っ黒な裏側空間を弓矢ちゃんの元へと駆け抜けていく。
ここに、目には見えないが、弓矢ちゃんが1000年前に前世で埋めた埋蔵金の判定があり、それに触れることで強制的にイベントを進行させる。
残りラブパワー3。ギリギリの戦いであった。
イベントを飛ばすと、校庭に戻されて目の前には弓矢ちゃん。
彼女と手を繋いだところで《ハッピーエンド》。
恋の力が世界を変えたのです。
タイマーストップ。
RTA、見事完走の達成である。
※
完走した感想。
全体的に新たなルートでこれまでの最速を一分以上上回る世界記録となりましたが、まだまだ全体的にガバが目立つため精進の余地はあるでしょう。
皆様も、このLDSを是非ともプレイしてみてくださいね。
わたしはもう二度とやりたくありません。
あたま は だいじょうぶです ▼




