第九話 愛の好感度戦争
今回の話はちょっと長めです。
ここはとある地方都市。一見のどかで平穏な町だが、度々悪の影が忍び寄る。
悪の権化を排除し、平和を地に取り戻す者。それが、我らがヒーロー。我らがご当地ヒーローなのだ!
「ううう、いまだに傷がうずく」
町随一の憩いの場である公園に、哀愁漂う声が響く。
声の主はクラブソルジャー。頭部と左腕は人間のものでありながら、右腕の代わりに巨大なカニのはさみを持つ、悪の組織『ダークグローリア』に属する怪人である。本来ならば、漆黒のマントをなびかせながら、人々を恐怖のどん底に追いやっていたはずだったのだが。
「ドクターの治療を受けて一命はとりとめたものの、このざまか……」
クラブソルジャーはベンチに腰掛けながら、深々と溜め息をついた。
現在彼の右腕は包帯でぐるぐる巻きであり、ギプスでしっかりと固定されている。頬には絆創膏がいくつも貼られており、痛々しいことこの上ない。
端的に解説すると、前回のヒーロー達との戦いで激しく負傷し、ズタボロになった末にこんな姿になってしまったのだった。
「この身体では奴らとまともに戦えぬかもしれないが、これも総裁の命令。やはり、職務を全うせねばならぬな」
実は、総裁はクラブソルジャーが負傷していることをすっかり忘れ、今日も元気に公園へ出没するようにと命令を下したのだ。
ダークグローリアに所属する怪人の数は多く、誰がどんな怪我を負っているのかを常に把握しているのは困難である。しかし組織の頂点に立つ者として、最近重症を負ったばかりの怪人のことくらいは覚えておいていただきたいものである。
まあ例の如く、クラブソルジャーはそのような裏事情は一切把握していないのだが。
「では、立ち上がっていつものように……痛たた、やはり身動きが」
これでは自慢の右腕を振り回すことも、「ぐわっははは! もっと(以下略)」と叫んで人間に恐怖心を与えることもできない。一体どうしたものか……。
「む?」
どこからか、強い視線を感じる。
クラブソルジャーが顔を向けると、そこには見覚えのある、清楚な服装に身を包んだ眼鏡の女がいた。
以前出会った時と同じように、近くにあった遊具の陰で何やらもじもじしている。
「そなたはこの間の……。我に何か用か」
「あの……身体、大丈夫ですか?」
「人間などに気にかけてもらう必要があるほど、我は脆くはない。余計な同情はいらぬ」
「でも、何だかつらそうですし……」
「黙れ。我はこう見えても、悪の組織ダークグローリアに所属するれっきとした怪人。これ以上干渉してくるようであれば、こちらにも考えが……うう、痛たた……」
「だ、大丈夫ですかっ」
女は急いで駆け寄り、無理に立ち上がろうとしてふらついたクラブソルジャーのことを支える。そしてゆっくりと、再びベンチに座らせた。
「何故悪の怪人である我に、親切にするのだ」
「だって、何だか放っておけなくて。子供達と仲良く遊んでいる姿を見てから、ずっと気になってしまって……」
「み、見てたのか?」
女は頬を赤く染めながら、コクリとうなずく。
「あなたは怪人ですけど、実は優しい方なんじゃないかなって思って。私、他にも見てるんですよ? お年寄りの荷物を持ってあげたり、道に迷っている人を案内してあげたり、公園のゴミ拾いをしているところを」
「い、いや、あれは非番の日だったからつい放っておけなくて。別に我は、人間どものことなど。しかし、よくそこまで見ていたな」
「あなたの格好、すごく目立ちますから」
「ああ、それもそうだな」
怪人は右腕のカニばさみと漆黒のマントを見て、至極納得した。
「確かに私達と姿形は違いますけど、あなた本当は……」
「だ、だから我にはそんなつもりは……何なのださっきから。そんなにジロジロ見られると、どうも落ち着かぬ」
女の真意が読み取れないまま、二人は互いに見つめ合う。
何故だ。どうしてこうも胸がドクドクと音が鳴り響くのだ。これもヒーロー達にやられた、傷の後遺症か。
クラブソルジャーはどぎまぎしながら女からパッと目をそらす。
「は、早くどこかに行け。我はあくまでも怪人であり、人間どもと戯れている暇は」
「そこまでだ、怪人!」
「むむ?」
どこからともなく、高らかな声が飛んでくる。
クラブソルジャーが振り向くと、そこには逆光に照らされたいくつかの影が差し込んでいた。
「あいつら……また性懲りもなく現れおって」
「それはこっちの台詞だ……とうっ!」
どういうわけかは一切不明であるが、謎のBGMが流れてくる。そして、それと同時に影の持ち主が正体を現した。
腕に特殊なブレスレットを光らせ、シャレていながらも高性能であるスーツを身に着けている。仮面をつけ、素顔を隠したヒーローが、その名を地に轟かせる!
「正義の戦士、トロワーレッド!」
「勇気の戦士、トロワーブルー!」
「博愛の戦士、トロワーピンク!」
「「「三人合わせて、トロワーファイブ!」」」
ヒーロー達は、本日もビシッとポーズを決めて格好をつけている。
身も心もボロボロの怪人は、その姿を白けた目で睨みつけていた。
「ふん、悪びれる様子もなくポーズなど決めおって。どうだ? 三人で囲んで食べた、カニ料理は美味かったか?」
「ああ。ありゃあ絶品だったな」
「舌がとろけるようで、あのような食材には滅多にありつけたものではありません」
「また食べたいなあ、カ・ニ♡」
「…………」
異様な寒気を覚えたクラブソルジャーは、咄嗟に包帯でぐるぐる巻きのカニ爪をマントで覆い隠す。
「ひっ!」
ヒーロー達がほんの一瞬放った凄まじい殺気を感じとったのか、女は表情を凍りつかせながらいずこへと走り去っていった。
「コホン。ところで、今日は何をしに来た。見ての通り、我は怪我をしていて悪事など働くに働けない。それなのにどうして、貴様達が現れる」
「昼間っから女といちゃついてる時点で充分重罪なんだけどな」
「まあまあ。レッドさんにもそのうちいい人見つかりますから。多分、五十年以内には。ね?」
レッドが忌々しそうに呟くのを、ピンクが適当になだめる。
二人の掛け合いの途中で、ブルーが事情を説明し始めた。
「僕達にとって、上の命令は絶対でしてね。怪人が現れたとなると、すぐさま急行しなければならないのですよ。前回あれだけコテンパンにしましたし、あなたに暴れるほどの余力は残されていないということはよくわかっていたのですが、一応出動したというわけです」
「こちらと微妙に事情が似ているような……いや、気のせいだろう。悪の組織とヒーロー達のシステムが同一のものとは考えたくもない」
クラブソルジャーが首を何度か横に振っていると、不機嫌な様子のレッドが前に進み出た。
不意打ちをかけてくるのかと心配になり念のため身構えたが、その先に待ち受けていた展開は彼にとって予想外のものであった。
「ま、今回はそんなに動けないみたいだから大目にみるつもりなんだけどさ、ちょっと聞いてもらいたい話があるんだよな」
「貴様らと我は敵同士。話すことなどないはずだ」
「そんなカッカすんなよ。少しばかり頼みたいことがあるだけなんだからさあ」
そう言うと、レッドは揉み手をしながらクラブソルジャーの横に腰掛ける。
露骨に嫌がる彼を尻目に、本題を切り出した。
「実はさ、トロワーファイブの好感度を上げるのに一役買ってもらいたいんだよ」
「は?」
好感度? 一体何の話だ。
小首をかしげるクラブソルジャーに、ブルーがさらに続ける。
「実は最近、組織の中で全国のご当地ヒーローの好感度の調査が行われたのです。地域の人々と、ご当地ヒーローとの結びつきは重要。なので、抜き打ちで時々チェックが行われるのですよ」
「ほう。なかなか面倒な話だな」
「で、調査結果が昨日出たのですが、それが結構衝撃的でしてね。何と、アンケートに答えた地域住民のうち、八十パーセントの方が『トロワーファイブのことをどう思いますか?』という問いに対し『好きではない』または『嫌いである』と回答していたのです」
「ちなみに、残りの二割は『どうでもいい』とか、『存在を知らなかった』に丸をつけてたらしいのよね~。ひどくない?」
「いや、その……」
普段のあんたらを見ている身としては、妥当な結果だと思ってしまうのですが。
ついそんなことを口走りたくなってしまったクラブソルジャーであったが、同意を求めてきているピンクに対してそのようなことを言えば、確実に切り刻まれる。そう直感したため、目を泳がせながら言葉を濁すことしかできなかった。
「この結果は、組織に多大なショックを与えてしまったようでしてね。呼び出しを食らって説教をされてしまいました。『お前ら、どんな活躍の仕方をしたらここまで好かれないでいられるんだ!』などと、約五時間ほど。普通、ヒーローというのは好感度が高くて当たり前。しかし何故か、僕達は異様に地域住民から嫌われていたというわけです」
「で、説教ついでに上の方からお達しが来たんだ。何としてでも、不人気の原因を突き止めて地域住民からの好感度を底上げしろってさ。で、それから俺達は色々と考えたわけだ」
レッドは妙に馴れ馴れしく、クラブソルジャーの肩に手を回す。
彼は既に逃げ出したくて仕方がないのだが、いかんせん怪我で身体の自由がきかない。渋々ながら、話を聞き続けるより他はなかった。
「まずは、好かれない原因。全員で話し合った結果、これは全然思いつかなかった。だって、俺達の仕事ぶりは常に完璧だからな」
チームワークは緊急時以外バラバラで、仲間うちでしょっちゅうくだらない理由で喧嘩を勃発し、ヒーローにあるまじき問題発言を度々連発するやからのどこが完璧だというのか。
「となると、考えられるのは、怪人が俺達の悪評をまいているという可能性だ。これは有力な感じがするだろ?」
「何でもかんでも怪人のせいにするなと、前から言っているはずだ」
現に、過去にヒーロー同士の内輪もめの原因が怪人の策略ではないかと疑われたことがある。確かに怪人は悪事を働くのが仕事みたいなものであるが、勝手に身の回りで起こるトラブルまで責任を押しつけられてはたまったものではない。
「だけど、あんたはそんな卑怯なことをするような奴でもなさそうだし、今のところはあんた以外の怪人はこの地域に出没していない。だから、この線もシロ」
「ああ、そうかそうか」
あらぬ疑いをかけられずに済んだだけまだいいが、こいつらは意地でも自身の非を認める気はないらしい。
クラブソルジャーは、投げやりに相槌を打ちながら心底呆れ返った。
「で、最後に考えついたのが、ちびっ子からの支持の不足だ」
「は?」
ちびっ子? どうしてこのタイミングで、子供の話題が上るのだ。
渋い顔をする怪人に、さらに迫るレッド。ここまでくるとあつかましいというか、もはや威圧に近いものがある。
「ほら、ちびっ子ってのは特撮ドラマのヒーローが大好きだろ。だから、現実のヒーローである俺達も、ちびっ子に好かれれば好感度もぐんぐんアップするかなってさ」
「今まで僕達、あまり子供に好かれる努力をしてきませんでしたからね」
「うんうん。ブルー君は子供苦手だし、あたしもちっちゃい子の扱いとか、いまいちよくわかんないもの」
「だよな。俺だって、ロリコンじゃないから幼女には興味ないしな」
貴様ら全員そんなんだから、子供に全然好かれないんだろうが。
ツッコみたくてたまらないクラブソルジャーであるが、残念ながら彼に発言権が与えられることはなかった。
「で、そこで俺達が目をつけたのがカニさん、あんただ」
「前から言おう言おうと思っていたのだが、我の名はクラブソルジャーだ。過去に一度名乗っているはずだぞ」
「おっと、機嫌を損ねたんだったら悪かったな。で、何で俺達がカニ……コホン。クラブソルジャーさんに目をつけたかというと、あんたの子供からの好かれっぷりが異常だからだ」
「は?」
我が異常? この男、一体何をほざいているのか。
眉間にいくつものしわを刻む怪人に、レッドは責め立てるかの如く力説する。
「結構目撃者とかもいるんだぜ? あんた、この地域に現れては、ちびっ子とよく戯れてるっていうじゃねえか」
「またその話か。先程も、別件で追及されたばかりだ。我には、人間どもに好かれようという意志はない」
「またまたあ。噂によると、ちびっ子達はたいそうあんたになついていて、奥様からの評判も上々だって言うじゃねえか。で、そんなあんたがちびっ子に対し、ヒーロー達は強くてかっこいい存在だって触れ回ったらどうなると思う? 影響力抜群なこと間違いなしってわけだ。で、それによって俺達の好感度は急激に増加するという」
「……あのな、貴様らと我は敵同士であると再三言っておるだろう。何故我が、貴様らの好感度のために働かなければならない」
「何故って、そんな冷たいこと言うなよ。俺達はさ、もう何度も顔を合わせた仲なんだぜ? 友達みたいなもんだろ?」
「誰が友達だ。人間というのは、友達というものをサンドバッグにした挙句、その身体を食料として貪るものなのか?」
「いやいやいや。いっそ過去の因縁は水に流しましょうよ、クラブちゃん」
「気安くちゃんづけで呼ぶな」
苦りきった表情を浮かべるクラブソルジャーを見て、ブルーが息をつく。
「やはり、先輩ごときのボキャブラリーでは交渉を成立させられないようですね。代わります」
「こ、このっ……ちっ。今はつべこべ言ってる場合じゃねえか」
サラッと吐かれた毒舌に過剰な反応を示したレッドであったが、めずらしくすんでのところで思いとどまった。
ブルーは実に冷静な口調で、淡々と説得を試みる。
「いいですか? これはあなたにとっても充分利益になりうることなのですよ」
「それは、どういう意味だ」
「いいですか? 仮に今、あなたがトロワーファイブを倒したとしましょう。あなたは悪の組織で、一応形式上は褒め称えられると考えられます。しかし、それと同時にこんなレッテルも貼られるでしょう。『名もないヒーローを片づけただけの、つまらないカニ男』と」
「むむっ」
「そう。それは僕達の好感度が低く、倒されたところで地域の人々や怪人達に与える衝撃が少ないからです。ですが、あなたが僕達の存在を周囲に触れ回ってからトロワーファイブをやっつけたらどうでしょうか? あなたはたちまち悪の組織で英雄視され、不遇だった扱いは改善。あわよくば大出世という薔薇色の未来を歩む可能性だってあるのです」
「むむむ……」
確かに、名もないヒーローを倒すよりも、怪人の間でも評判になるくらいの実力者を倒した方が周囲からも一目置かれ、総裁からもより高い評価を得ることができるだろう。そして、その先に待っているのは……。
色々な妄想が頭によぎったものの、ここであることに気づく。クラブソルジャーは二、三度強く首を振ってから、こう切り返した。
「我の目的は、出世でも薔薇色の未来を掴むことでもない。一刻も早く任務を遂行し、この地域をダークグローリアのものにすることだ。貴様らの余計な話に付き合う分だけ、目的の実現が遅れる。つまり、我にとっては損でしかない話だ」
「う……己の私欲より、あくまでも総裁への忠義の全うを優先しますか。これは想定外ですね」
クラブソルジャーの忠誠心の高さに、ブルーはついたじろいでしまう。
ヒーロー達がえんえんと腹黒い話ばかりしているせいか、これではどちらが悪者なのかわかったものではない。
「全く、あやうく騙されるところだった。貴様はヒーローというよりも、詐欺師みたいな奴だな」
「ははは、よく言われますよ」
「開き直って済む問題ではない」
いかにしてこの状況から逃げ出そうかと悩む怪人に、ここでまた追撃が加わる。このタイミングで、ピンクが加勢してきたのだ。
「ねえ、どうしても協力してくれないの?」
妙に身体をくねらせて、甘い声を出しながらぴったりと密着してくる。もしや、色仕掛けのつもりなのだろうか。
「利益のないことに、わざわざ手を貸す必要はない」
「どうしても?」
「先に言っておくが、実力行使で脅そうとしても無駄だ。ついでに、胸を押しつけるのはやめろ」
「じゃあ、胸を押しつけるのをやめるから協力してくれない?」
「そういう問題ではないだろう。断ると言ったら断る」
「もうっ! 堅物なんだからあっ」
ピンクはプイッと顔をそむけ、苛立ちながら腕を組む。そしてとうとう、今まで我慢していたと思われる爆弾発言をぶちかまし始めた。
「大体、レッドさんとブルー君がいけないんですよ。事あるごとにところかまわず人前で喧嘩するもんですから。そんな醜態をいちいちさらしていたら、嫌われるに決まってますよぉ」
「な、何だと! ピンク、それじゃあまるでお前には何の責任もないみたいじゃねえか。お前だってさ、機嫌が悪い日に暴走したり、任務をこなす前に帰ろうとしたり、滅茶苦茶じゃねえか。ま、一番問題なのは口の悪い詐欺師野郎だけどな」
「詐欺師野郎とは失礼ですね。人の心理を巧みに動かす知能すら持ち合わせていないお方に、けなされるいわれなんてありませんよ。そもそも、先輩が一番好感度の低下に直結するような行為を行っているのではないですか? この間なんて出動先にいた女性を、ヒーロースーツを着たままナンパし始めたくらいですし」
「はあ⁉ てめえだってヒーローって肩書き使ってさんざい美味しい汁をすすってるくせに、自分のこと棚に上げてんじゃねえよ!」
「とにかく、トロワーファイブが嫌われたのはレッドさんとブルー君のせいですからね!」
「俺は悪くない。悪いのはてめえらだ!」
「いえ、僕は悪くありません。非は確実に、あなた方にあります」
「何ですってえ~!」
「何だとお!」
「何ですか!」
バチバチと激しい火花を散らしたかと思うと、ヒーロー達は互いにレーザーソードを取り出して殺し合いまがいの戦闘を始めてしまった。
それを目の前で観戦させられているクラブソルジャーは、呆然としながら呟く。
「何故ヒーローを取り仕切るやからは、こいつらを組ませて戦隊を作ったのだ。ここまでくると、もはや上官の人選ミスが全ての元凶なのでは……」
「あ、いたいた。クラブさん」
「おお、お主達はいつぞやの」
ここで姿を現したのは、以前ともにサッカーをした人間の子供達であった。
どうやら、また友達同士で公園に遊びに来たらしい。
「どうしたの、その怪我」
「痛くない?」
子供達は争うヒーロー達などそっちのけで、痛々しい出で立ちの怪人を心配する。
「ああ。我は柔な人間どもとは違って丈夫にできているからな。で、今日は何の用だ」
「本当はまた、クラブさんとサッカーやりたかったんだけど」
「その怪我じゃ無理だよね?」
「うーん。動き回るのは厳しいが、キーパーくらいならなんとか。それでよければ、付き合ってやってもかまわんぞ。あの馬鹿どもと関わっているより、よっぽど有意義な時間を過ごせそうだ」
「え、マジで?」
「よっしゃ! じゃあ、ヒーローなんかほっといて早速行こうぜ!」
子供達に支えられながら、クラブソルジャーはよろよろと歩いていってしまった。
三人はそれを一瞥してから、顔を見合わせた。
「どっか行っちまったな、怪人」
「みたいですね」
「で、そんなことよりもぉ」
「誰が悪いかって問題だったな」
「そうでしたね。では、戦いの続きを始めるとしましょう」
こうして今日も、地域の平和は守られた。
ありがとう、トロワーファイブ! これからも、怪人の魔の手から人々を救い続けてくれ!




