拍手小話⑦ 「着ぐるみ戦隊チャックアルンジャー」
やってしまった……。とても後悔している。
しかも、久しぶりの更新がコレってヒドイ。
12月4日の活動報告も見てね!あっちもヒドイよ!!
あれ?7時30分じゃあ予約投稿できない!?
………仕方がないので、諦めて7時で予約しとこ☆
―――ある街には、ヒーロー達がいた。その名も、着ぐるみ戦隊チャックアルンジャー!!
「この街の平和は、私達が守る!!愛と正義の使者、着ぐるみ戦隊チャックアルンジャー、参上!!!
私は、皆のリーダー、チャックアルンジャーレッド!!!」
完璧に台本通りのセリフを元気いっぱいに言ってくれたのは、“チャックアルンジャー”の頼れないリーダーレッドだった。
気合だけは、戦隊一!
1人だけノリノリでの登場だっ!!
「……。私がブルー、ということになっていますね。設定上」
嫌そうに自己紹介してくれたのは、“残念な迷探偵”ことブルー!
さあ、今日は一体どんな迷推理で真実を闇に葬るのか!?
「わぁ、優しいですね。宰相サマ。
私は通りすがりのモブと言うことにしてください」
おおっとっ!?
いきなりメタ発言をかましてきたのは、“チャックのあるヒロイン”ことピンク!!
ちょっとメタは自重しろ。
「おいおい、お嬢さん。せっかく名前伏せてんだから、言うなよ。
あと、お嬢さんは“紅一点のピンク”だろ?」
「“紅”なのにピンクとは………何かの間違いじゃないですか?」
グリーンが話を進めようとしたにも関わらず、まさかのスルー!
どこまでもとぼける気のようだ。
ちなみに、紅一点って言うのは“大勢の男の中にただ1人いる女性”のことだよ。
“チャック”の女性キャラとか、マジ少ないから。
「…はぁ、話が進まねぇ。現実逃避は時間の無駄だぞ、ピンク」
グリーンからの冷静なツッコミ。
あなたがいてくれる安心感って半端ない。……兄貴って呼んでも良いですか?
「……………。今、イラッとしました。何だかとってもブラックを呼びたい気分です」
ピ、ピンクが、魔王を召喚しそうだ。
その人を呼ぶのはマジでやめてください。
話が終わっちゃうから。
「そうしてくれりゃ、すぐ終わるんだがな」
ああっ、グリーンのやる気がなくなっている。
開始数分で終わるのは勘弁してください。
「女神様っ!!ブラックを呼ぶなど…お止めください!
レイの始末ならば、幼馴染である私がしましょう!!!」
突然叫んだ変態はイエローだ。
この戦隊一の危険人物かもしれない。
ちなみに、カレー好きではない。好きなものはカミサマ関係だ………うん、危ない人だね!
「あなたを始末して欲しいです、切実に」
「……キミ達。戦隊モノなんだから、もっと仲良くしてよ。
それにしても、あいぼ…ピンクとグリーンって仲悪かったっけ?」
どこまでも辛辣なピンクに、常識人――いや、人ではないが――兼ツッコミのマスコットがフォローを入れる。
「きっと、チャックの噛み合わせが悪いんでしょう」
“噛み合わせが悪い”って、壊れてるってことですか?
……おい、ただの不良品じゃねえか!
今すぐ心を入れ替えて、メタ発言はやめなさい!!
「これは本編じゃねえからな。関係ぐらい変わるだろ」
あ、あなたまで“本編じゃない”とか言わないで…。
「レイっ!!女神様に対して…」
「お前はちょっと黙ってろ。話が進まん。……あと、名前で呼ぶな」
「……………」
おおっ、イエローを黙らせるなんて………やっぱり兄貴はサイコーです!!
このままサクサクッと、話を進めちゃってください。
「変態が黙った!?ボク、これからはあの人に付いていくよ!!」
兄貴の男気に、マスコットもメロメロ(?)だ!
「み、皆!!私の話も聞いてくれっ!!実は、司令官から…」
あれ?
レッド、まだいたんですか?
「今、司令官から連絡がありました。どうやら、悪の組織“悪戯し隊”が出たそうです」
…………。
…イタズラくらい、させてあげたら?
「大変ダー。現場に急行しなくちゃー」
マスコット、セリフが棒読みになってるよ。
演技、演技忘れないで!
あなたは女優よ、ハリボテ!!
「それ、私も行かないといけませんか?」
「しかし、ピンク。一人で残るとブラックが来るかもしれません。一緒に行動した方が安全ですよ」
「さあ!早く“悪戯し隊”を倒しに行きましょう!!」
チャックアルンジャーの皆は“悪戯し隊”が暴れている場所へ向かった!!
◇◇◇
「ふはははっ!!!何だかとっても、悪戯しタイ!!!とりあえず、ピンポンダッシュからダ!!
僕の部下達、ノルマは一人1万ピンポンだヨっ!!!」
恐ろしい悪役笑いが、街に響き渡っている。
笑い方だけは“悪の総帥”って感じだ、笑い方だけは。内容で台無しになってるけど。
…“1万ピンポン”っていう言い方だと、なんか卓球みたいだね。
「イエッサー!へい……総帥様!!」
「いろんな意味で逆らえませんからね」
「……悪戯、しょぼい」
「いやー、何か平和的でいいよね」
悪の手先達も悪戯する気満々のようだ。
ねえ、“1万ピンポン”って地味にキツくない?
この街には、一体どれだけのチャイムがあるんだ。それとも、1つの家のチャイムを1万回押すの?
それだと、悪戯というより嫌がらせのレベルだよ。
そこにチャックアルンジャーが現れた!!頑張れ、負けるな、チャックアルンジャー!!
「待つんだっ!!“悪戯し隊”!!この街の平和は、私達が守る!!
愛と正義の使者、着ぐるみ戦隊チャックアルンジャー、参上!!!
私は、皆のリーダー、チャックアルンジャーレッド!!!」
完璧に台本通りのセリフを元気いっぱいに言ってくれたのは………いや、もう良いや。
「…………ブルーらしいです。私が」
あなたも、意外と律儀な人ですよね。
そんなに嫌なら、言わなくても良いですよ?
「ガンバッテクダサイ、レッド」
片言な上に人任せですね。
そんなにやる気がないのか………ピンクも頑張ってよ。
「いえ、めが……ピンク様!ここはでん…レッドではなく私が!!」
「よし、良いぞ、イエロー。……だが、それは死亡フラグだぞ?」
イエローは着実に調教、もとい教育されているようだ。
「……良いんじゃないですか、死んでも」
「……私もそのほうが良いと思いますよ」
仲間に嫌われ過ぎだぞ、イエロー。
少しはチームワークを考えて。
「よく来たねぇ。さすが、マーくん。良い仕事するぅ☆
あっ、レオぴょん!リーダーなんだねっ!!でも、地味なのは変わらないねっ!!!」
「………じ、地味。私はリーダーなのに地味なのか…」
おおっと、悪の総帥の口撃がレッドの心にクリティカルヒット!
なんとえげつない方法をとるんだ、さすがは悪の総帥!!
「安心してください、レッド。視覚的には一番目立っていますから」
「痛々しい感じですね」
仲間からの絶妙なフォローが入った。
愛されてるね、地味レッド。
「そうかなぁ~?僕は素敵だと思うけどなっ!!良く似合ってるよ、さすが僕の息子!!!」
まさかの親子発言!
「…っ!!実の親子が争いあうなんて!!」
「そこで泣けるのはあなたぐらいです、リック」
あまりの悲劇に、ワタクシ号泣です。
実の親子の間に一体何があったんだっ!?
「そういや、どうやって戦うんですか、そーすい?」
部下7はヤル気満々のようだ。すでに臨戦態勢に入っている。
「え~と、モノマネ対決とか?」
まさかの勝負方法!
何か、某ヒーローアニメの最終回のみたい。…サイバトロンって“ヒーロー”なのかビミョーだけど。
しかし、そんな悪の総帥に果敢にも挑んで行ったのは思わぬ人物だった。
「某宰相サマの真似“……くっ、こんなときでもポーカーフェイスとは!!”」
珍しくヤル気ですね、ピンク。
言い終わった後の笑顔が眩しいです。でも、その技(?)仲間に大ダメージ与えちゃってますよ。
「…………………………」
「わあ!相棒、そっくりだね!!」
「ブルー、気を落とすな。誰にでも間違いはある」
ブルーは再起不能のようだ。グリーンの慰めが地味にイタイ。
「それ、何のモノマネ?う~ん。…僕は分からないからなぁ。
ギルたんはどう思う?似てる?面白かった??」
悪の総帥からの追撃だ。
アナタ、そんな“何の話?”みたいな顔してブルーをピンポイントで追い詰めないで!
実は全部知っててやってるんじゃないだろうな!?
「陛下。私は急用を思い出しましたので、帰らせて頂きます」
ブルーは敵にやられてしまった!!どうする、チャックアルンジャー!!
「あーあ。……あの人も大変だよなあ」
哀愁漂うブルーの背中を見送りながら呟くグリーン。
……うん、もうそっとしておいてあげよう?
「あれ?なんで帰っちゃったんだろ~。まあ、いっか☆
じゃあ、他の人~。次はダレがやるの~??」
不思議そうな顔をしてるけど、アナタの所為ですよ。
しかも、“まあ、いっか☆”て………何それ、鬼畜。さすが悪の総帥だ!!
「じゃあ、俺が!でん……レッドの真似します!
“愛と正義の使者、着ぐるみ戦隊チャックアルンジャー、参上!!!私は、皆のリーダー、チャックアルンジャーレッド!!!”」
今度は、部下1が先制攻撃を仕掛けた。
悪の組織なのにヒーローの物真似するってどうなの?
「おおぉ~!?上手い!!座布団1枚!!!ビミョーに地味っぽいところが、そっくりだったよっ!!!」
悪の総帥も大ウケだ。
まあ、レッドと部下1って“不憫(笑)”なところが似てるしね。
「マジっすか!?ちょっと地味さを意識してみたんです!分かってもらえて良かった~」
「うん!モブっぽい地味さが全開だったよ☆」
「……地味…。モブっぽい………」
悪の総帥達のコンボ技の前ではレッドも瞬殺のようだ。
とっても息の合ったコンビプレーですね。“地味”って3回も言ってるし。
「まあ、元気出せよ。今、ある意味目立ってんぞ?」
「………どうせ、私は地味な虫王子だ……」
グリーンのフォローも地の底まで落ち込み、根暗モードを発動したレッドには効果はないようだ。
トボトボと歩いて行く後ろ姿が涙を誘うね!
ああ!とうとう、レッドまでやられてしまった!!本当にどうする、チャックアルンジャー!!
「あれ?レオぴょんまでどっか行っちゃった…。どうしたんだろ?お腹痛かったのかな??
でも、気にしな~い!!じゃあ、次行くよ~☆」
悪の総帥はブルーとレッドを倒しても、まだ攻撃の手を緩めない。さすが悪!
「では、私が。某騎士団長の物真似“ふははっ、女神は頂いていく!!”」
そんな強敵に果敢にも勝負を挑んだのはイエローだ。
……………。
えっ、それ誰?
「それはお前の妄想だ」
グリーンの的確なツッコミ。
うん、イエローのセリフって8割くらい妄想な気がする。
「あはははっ!!!面白かった!!20点!!
でも、全然似てなかったねぇ~。ハイ、退場!!」
しかし、悪の総帥には効かなかったようだ。
さっきは“座布団”だったのに。…いつ点数制になったの?
イエローもやられてしまった!!グリーンはイエローに付き添っていく!!
それでいいのか、チャックアルンジャー!!
「オレもやりまーす。某騎士団長のモノマネ。“この剣と魂にかけて、お前への永遠の愛を誓おう。愛している、ハルカ”
……どーですか、ピンクさん~。オレ、似てたっしょ?」
おおっ、ここでその禁断のネタをしてしまうのか部下7よ!
それをピンクに聞くとか……お前はほんとに“勇者”だな。
「……………。エエ、トテモ似テイマシタヨ。本人ダト思ッテ、トキメキソウニナリマシタ」
ピンクに大ダメージ!
さすがの彼女もこれはスルーできなかったようだ。セリフが片言を通り越して電報みたいになってるよ。
「いやー、マジっすか!?これから、オレもこういうキャラで行こっかな~」
「ほう?どんなキャラで行くんだ?……まあ、お前に“これから”はないがな」
いきなりブラックが現れた!!何だか黒いオーラを出しているぞ!!
…えっ、どこから現れたんですか?
というか、ブラックって一応ヒーロー側ですよね。悪役全開なんですけど……。
「あれ~?ジーくんじゃん!!どうしたの~?遅刻??
今、モノマネ対決してるんだよっ!!ジーくんもやる?」
ブラックの突然の出現にも動じることなく話し掛ける悪の総帥。
「………………。“呼ばれて、飛び出て、パンパカパーン!!国王のアレクサンダーでぇす☆イェーイ!!!”………これで、良いだろう」
…っ、む、無表情でやるなよ!余計怖いよっ!!
どこから声出してんの!?
「「「「………………っ!?」」」」
思いもよらないブラックの行動に一同唖然。
パロならではの暴挙です。キャラ崩壊とかいうレベルじゃありません。
「あははははっ!!!!ジーくん、サイコー☆僕にそっくりだったよ!!たぶん、ダレもやると思わなかっただろうねぇ~」
「やっべ!!マジ、ウケる~!!は、腹痛ぇ」
悪の総帥と部下7は大爆笑だ。
「さあ、義務は果たした。俺はハルカと帰るぞ。陛下、良いな。
………そこの“部下7”、パロだから死なないとでも思っているのか?この話どころか、過去にさかのぼって存在を抹消してやろう」
“義務”……意外と律儀なこと言いますね。
できれば、“パロ”っていうメタ発言も自重して欲しかったな~。
「あっ、ジーくん帰っちゃうの?ええぇ~。来たばっかりじゃない!!
ジーくんは、絶対“悪の組織”の方が似合ってるよっ!!!僕と一緒に悪を極めようよ!!!」
まさかの悪の総帥からの引き抜き!
確かに、ブラックは“悪”の方が似合うと思う。極めるまでもなく、すでに完全な“魔王”だけど。
「………………。俺は、家族を養わないといけない。残念だが、他を充たってくれ」
残念なのかよ!?…悪からヒーローへのジョブチェンジはあるけど、その逆はナシだろ!!
裏切るなら重い過去か、シリアスな設定を用意してからにしろ。
しかも、誘いを断る理由が意味不明だ。悪の組織だって給料出ると思うよ。……ブラック企業じゃなければ。
「別に行って来ても良いですよ」
「ハルカ、強がることはないぞ。安心しろ、俺に必要なのはお前だけだ」
「そうですか。でも、私にはブラックは必要ありませんよ?」
「お前は、相変わらず恥ずかしがり屋だな。…素直になれるように、2人っきりになれるところに行くぞ」
「むしろ、あなたが恥です」
いつも通りな2人。
夫婦仲が良くて何よりです。…温度差が半端ない気がするけど、それも“チャック仕様”ということで。
ピンクはブラックに連れ去られてしまった!!チャックアルンジャーは負けてしまったようだ!!
「ああぁ~、行っちゃった…。皆、帰っちゃったし、僕らも帰ろうか。
モノマネ対決はジーくんの勝ちかなぁ~。意外と楽しめたよね☆」
この惨劇に対して“意外と楽しめた”とか、鬼畜ですね総帥。
街のヒーロー達があなたの所為でボロボロだよ。
「ええ、見ていてとても楽しかったです。また、機会があればしましょう、陛下」
ここでなぜか司令官の登場だ。
え?一体どこから見ていたんですか?
「うんっ!!今度は一緒に遊ぼ~。でも、さすがマーくんだよ!!
ジーくんの登場のタイミング、バッチリだったよ☆」
「ありがとうございます。次はどうしましょうか?」
「う~ん。パロの方が、皆イロイロ面白いし、今度もそうしたいね!!!」
あれ、何この会話?
正義の司令官と悪の総帥が癒着しているだと!?ヤラセだ!!
これで良いのか、チャックアルンジャー!!
―――こうして、街の平和は守られたのだった。
キャストロール
レッド:レオンハルト
ブルー:ギルバート
イエロー:アレン
ピンク:ハルカ
グリーン:レイナルド
ブラック:ジークフリート
マスコット:着ぐるみ
司令官:マーリン
悪の総帥:アレクサンダー
部下1:リック
部下2:カイル
部下3:クート
部下7:ジルド




