epilogue
「ところで、私がここに来ることをお父さんたちは賛成していたのかな?」
「貴女様は今年で十八歳になるというのに、まだ知らなかったのですか」
はい…まあ。
「大反対でしたよ。でも、そうしないとこちらが困るので、無理やり約束させたのですよ」
あ、あと、今はないんですけれど、あのブレスレット、一体何だったのでしょうか…
「貴女様のお父上が貴女様をこの国の使者から守るために、強力な魔力が閉じ込められていたのですよ。ハイ、もう行きますよ。今日から女王になるのですから」
あれから七年、か。今日は待ちに待った日…それは…。
「お母様~時間だよ‼」
三~四歳くらいの幼い少女が、金色の髪を靡かせて声をかけた。
花梨は靴を履いて、
「わかったわ」
と答えた。
「お母様のお里帰りか…二泊三日の旅行、楽しみだったんだよな~」
今度は五~六歳くらいの男の子がおなじく金髪のふわっとした髪を揺らしてにこにこしていった。
お母さん、お父さん、とうとう家に帰れます。
心配かけてごめんなさい。
ピーンポーン…
「はあい」
玄関にでたのはお母さんだった。
五十歳になっていることにびっくりしたが、それでもやっぱり嬉しい気持ちは変わらない。
「桃花だよ」
桃花と名乗った女の子は、男の子に目配せした。
「シオンだよ」
男の子も名乗る。
「はい?あなたたち、誰?あ…」
お母さん。花梨です。
「あ…良かった、花梨、生きていたのね‼子供までできて。一体五年の間、どこにいたの!?」
「そっか。シェダルにいたの。私達のせいで大変な目にあわせてごめんね」
こっちこそ。
あ、あの、学校のことなんだけど…
「風邪って言って休んでることにしてしまったわ」
ありがとう、お母さん。
「エドガーさん、うちの娘が色々迷惑かけたかしら」
「全然平気ですよ」
エドガーは淡々といった。
「おばあちゃん、遊んでくる‼」
お母さんはにこりと笑った。
「はいはい、行ってらっしゃい」
あっという間に二日過ぎて、帰る日が来ちゃった…
「またきてね」
「いつまでもいてくれていいのにな」
うん…そうね、また来るわ。
じゃあ帰るね。
「バイバイおばあちゃん」
桃花が手を振った。
花梨も、母達に別れを告げる。
そして、お互いをじっと見つめあい、花梨たちは『扉』に入っていった。
「カリン」
何?
「お前さ、この国の名前の由来、知ってたか?」
ううん、知らないよ。
「シェダルはカシオペヤ座の星なんだが、ここから一番よく見える星なんだ」
この国の名前の命名者は?
って、わかるのかな?
「命名者?ウィルだよ。ウィルの前の時は決まってなかった」
へえ。
あ、あの星か。
「カリン」
今度は何?
っ……‼‼
花梨の頬がバラ色に染まる。
やるんだったらなんかいってからやってよ。
「悪いな…」
今日の夜空はいつもより綺麗だった。
星は、宝石がばらまかれたように散らばっていた。
Fin.
これで終わりです。