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私はあなたを愛していました

作者: 綾香

「ごめん」

私に悪そうに小声で言う翔太。

そうやっていうってわかってたよ。

「俺、飛鳥と付き合ってるんだ。」

わかってるよ。飛鳥は私の親友だから

翔太と付き合い始めたときまっさきに教えてくれたもん。

「前は瀬名のことが好きだったけど。」

知ってる。噂で聞いたから。

「でもいまは飛鳥が好きだから・・・・。ごめん。」

そういって立ち去る翔太。

なんども謝らないでよ。よけい悲しくなってきたじゃん。

飛鳥と翔太が付き合い始めてもう3ヶ月。

3ヶ月前までは本気で飛鳥を応援してた。

でも私も翔太が好きだってことに気づいた。

でももう遅かった。

翔太のことが好き、大好き。

失恋したってわかっててもあきらめきれない。

告白したらきっとふっきれる。そう思ったけど効果はなし。

よけい悲しくなっちゃったよ。

親友の彼氏を好きになっちゃうのが、こんなに悲しいことだったなんて・・・。

悲しい昼休み。もう誰とも会いたくないよ・・・。

「瀬名〜、次家庭科だよ!早く行こうよ〜。」

飛鳥が教科書をもって手を振っている。

飛鳥、何も知らないんだよね。

今日の昼休みのことは飛鳥には話していない。

飛鳥との関係が壊れそうで怖いから。

「ほら、翔太も来たし。」

翔太とはあれから話してない。

そうじの時間、3人とも同じ掃除場所だったけど

私は翔太に自分から話しかけなかった。

話が私にふられたときは話したけどなんとなく気まずかった。

「もう、翔太遅いよ。」

飛鳥が頬を膨らまして怒る。内心は怒ってないだろうけど。

なんだかんだ言って仲良いじゃん。

「ほら瀬名早くいこ。」

「うん・・・・。」

キーンコーンカーンコーン。

もうすべての授業が苦痛だよ。

翔太と話が出来ないなんて・・・。

飛鳥にこのことを悟られたくないのに。

告白なんてしなければ良かったのに。

しなければいままでどうり翔太とも話せたし。

こんな気持ち、胸にしまっとくべきだったんだ。

 「おはようございます。」

先生が言う。

「今日は転校生がいます。皆仲良くしてくださいね。」

転校生、どんな人だろう。

男の子かな、女の子かな・・・。

「天童篤史です。よろしくおねがいします。」

ふ〜ん、男のこか。

「席は瀬名さんのとなりね。」

え、私のとなり?

まあ、私の隣は空いてたし当たり前か。

ただでさえ翔太のことで悩んでいたのに

転校生が来てそのうえ席がとなりになるだなんて・・・。

ついてないな。

「俺のこと篤史でいいよ。だから瀬名って呼んでいい?」

「え、あ、いいけど。」

なんだろう、積極的な人だな・・・・。

 「瀬名、転校生と名前で呼び合うことになったの?」

「え、うんまあ。」

「ふ〜ん。」

飛鳥、どうしたんだろう。

授業中もずっと篤史のこと見てたし、何かあるのかな・・・。

「こんにちは、私は飛鳥っていいます。私も飛鳥でいいよ。」

「俺は翔太。翔太でいいから。」

「うん、俺も篤史でいいからな。」

こうして篤史も私たちの仲良しグループに入った。

 「飛鳥、今日デートだよね。」

ああ、飛鳥と翔太はデートか、いいな・・・。

いいかげん失恋したんだからあきらめないと、ってところだけど

どうしてもこうゆう時は傷ついちゃう。

「あ、翔太ごめん。今日無理になっちゃったの。帰りも無理だから。じゃ」

「え?飛鳥、おい!」

どうしたんだろう、飛鳥。

転校生がきて以来、なんか変だよ・・・・?

「どうしたんだろうな、飛鳥。」

「え、あ、うん。そうだね。」

「じゃあ今日どうする?どこか行く?」

「え?なんで?」

「ほら、飛鳥の誕生日プレゼント。買わなきゃ。」

「あ、うん。」

まさか嘘みたい。

向こうから誘ってくれるなんて。

まあ飛鳥の誕生日プレゼントなんだけど。

それでもうれしい!

「帰りに私のしってる○○って喫茶店行かない?」

「うん、いいよ。」

翔太とは帰りもいっしょだった。

帰ったらいきなり鏡とにらめっこ。

どの服がにあうかな?これ変じゃないかな??

すごく心配なままめったにしないメイクまでして家をでた。

「あれ?なんかいつもとちがう?」

翔太と二人っきり。

すごい久しぶりだな・・。

その声、その顔、すべてが大好きなんです。

なのにどうして振り向いてくれないの?

どうして飛鳥なの・・・?

どうしてもこう考えちゃう。

そんな自分が嫌になるよ。

誕生日プレゼントも買い終わって次は喫茶店。

「じゃあいこっか。」

「うん。」

お気に入りの喫茶店。

そんなこといって実は来る前調べた素敵なお店。

「すごい綺麗な店だな。」

「でしょ?お気に入りなの。」

やっぱり好きだよ・・。

「どれにする?」

「う〜んとね、コレは?」

「飛鳥どうする?」

「ん〜私はなんでもいい。」

あれ?何か聞こえてこない?

飛鳥、って言わなかった?

「俺はこれにしようかな。」

「じゃあ私も。篤史と同じのにする。」

え?篤史?まさか・・・。

そういって後ろを振り向くと最悪。

翔太とのデートをことわった飛鳥が篤史といっしょにいた。

でも翔太を傷つけないようにしなきゃ。

私と同じ思いをさせないようにしなきゃ。

「どうした?瀬名。後ろがどうかした?」

だめ!後ろを見ちゃ駄目!!!!

「だめ翔太!」

「なんで・・・・・・・・!」

見ちゃった。翔太が見ちゃったよ・・。

ごちゃごちゃやってると向こうも気づいたかんじ。

こっちにむかってきた。

「なんで飛鳥がと篤史と一緒にいるわけ?最低!」

「怒るのはそっちだけじゃないでしょ?瀬名だって翔太といっしょじゃん。」

「それは・・・」

「まって、ここじゃ邪魔だ。場所を変えよう。」

翔太、がんばって涙をこらえてる。

声がふるえてるもん。

 「それで、さっきの続きは?」

飛鳥が言う。

「俺たちは飛鳥の誕生日プレゼントを買いに来てたんだよ。」

「え・・・・・・。ごめん。私が怒ったこと忘れて。」

飛鳥がうろたえる。ひどいよ飛鳥。

「それで・・・飛鳥たちは?」

「俺たちは・・・。」

「私が篤史に告白してたの・・・・。ふられちゃったけど。」

え・・・・・。

今なんていったの?告白?なんで?翔太がいるのに・・・。

「なんで?最低だよ飛鳥!翔太がいるのになんで!」

「そっちだって・・・・・。」

「え?」

「瀬名だって翔太に告白してたじゃん!」

え?なんで・・知っているの?

「私、見たんだよ。昼休み瀬名が翔太に告白してるところ!」 

そっか・・・。見てたんだ。

全部見てたんだね。

「それは・・・ごめん。」

「それでさ、俺からも瀬名に話があるんだよ。」

何?まだあるの?

もう私嫌だよ、何も聞きたくない。

なんでこんなことになっちゃったの?

「俺は・・・・瀬名が好きだ。」

うそ・・・・篤史が?え・・・。

「待って、でも私は篤史が好き!だから翔太・・・。

別れて・・・。」

え・・・?なにこんどは別れて?なにそれ!

「ちょっと飛鳥!」

「いいよ!・・・・いいよ、別れよう飛鳥。」

え・・・?それでいいの翔太。

私は翔太を好きだけど、それじゃ納得いかないよ!

「飛鳥!・・パンッッ!」

そういったとたん私はカウンター。

思いっき飛鳥の頬をたたいてやった。

だってひどすぎる。翔太を傷つけるなんて。

「ひ・・・ひどいよ・・・。」

そういったきり飛鳥は走り去ってしまった。

「翔太、行ってあげなよ。」

「ちがう、行くのは俺じゃない。篤史行け。」

「え・・・俺?」

え?翔太?それでいいの?

それじゃあ篤史と飛鳥が付き合っちゃうよ?

「うん、わかった。俺行ってくるよ。」

そういって篤史は飛鳥を追いかけていった。

飛鳥が走り去ってから結構立っている。

でも飛鳥はもう歩いてるだろうしすぐ追いつくだろう。

嫌な私。

どうしよう、今のこの状況を喜んじゃってる。

翔太も飛鳥も悲しんでいるのに私って最低。

でもどうしよう、すごいチャンスだよ。

翔太、すっごく辛そうな顔してる。

今にもな泣き出しそうな顔。

「翔太、泣いていいよ?」

「嫌だよ、泣きたくもないし、泣いたらかっこ悪い。」

「いいんだよ?私の前では泣いても。」

「瀬名・・・・ありがとう。」

そういって翔太は私の胸のなかで静かに泣いた。

大丈夫。私ならどんな翔太でも好きになれる。

「ごめんな・・かっこ悪いところみせちゃって。」

「ううん、大丈夫。」

「ありがとうな。」

「うん。」

 「瀬名〜!瀬名起きなさい!」

「は〜い。」

嫌だな、学校行きたくない。

みんなと気まずいのは確かだし

飛鳥とが辛い。

大親友なのに。大好きなのに。

・・・がんばろう。

 「おはよう!」

・・・誰?ッて後ろを振り向くとなんと飛鳥。

どうしよう。どう反応すればいい?

「瀬名・・ごめんね昨日。

瀬名に怒られて・・・・当たり前だよね。ごめん・・ごめんね・・。

でも私、どうしても篤史が好きなの〜〜ッッ」

そういって飛鳥は泣き出してしまった。

私も人のことは言えない。

私だって翔太が飛鳥の彼氏って知ってて告白したし

昨日だって・・・。

でもこれじゃああまりにも翔太がかわいそうだよ。

ねえ神様、どうしてなの?

どうしてこんな関係になっちゃったの?

四角関係?

翔太は飛鳥が好き。飛鳥は篤史が好き。

篤史は私が好き。私は翔太が好き。

篤史のこと嫌いってわけじゃない。

むしろ好きだよ?

でも私は翔太が好き。

篤史の何倍も何倍も翔太が好き。

この答えは飛鳥と同じように、絶対に変えられないんだ。

「ね?瀬名。一緒に教室行こう。」

「うん・・・。」

ガラガラガラッッ

「おはよ〜。」

飛鳥に続いてこっそり教室にはいる私。

そっと目を泳がせると、わっ。

篤史と・・目あっちゃった。

どうしよう。こっち向かってくる。

「俺、あきらめないから。」

え?何?あきらめないって困るよ。

それに近くに飛鳥がいるのにそんなこといって・・。

飛鳥泣きそうじゃんばか。

「それじゃ」

それじゃ、じゃないよ。

もう私どうすればいいの?困るよ・・・。

「おい、瀬名。」

今度は翔太。何言われるの?怖い・・・。

「昨日は・・ありがとう・・な。」

「う、ううん。こちらこそ。」

「・・・・。私、バチが当たったのかな・・・?

翔太がいるくせに篤史に告白して。最低だもんね・・・。

だから2人とも話しかけてくれないのかな・・。」

「そんなことないよ。

きっと気まずいだけだよ。」

あのあと・・・・。

篤史と飛鳥はどうなったんだろう。

なんか気になるな・・・。

あ〜あ。

いっそ転校しちゃおうかな。

辛すぎ。もう耐えられないよ。

「ねえ瀬名私、今日の昼休みケリつける。」

え?ケリつけるってどうゆうこと?

何するつもりなんだろう・・・・・・・・。

 「やっぱり私は篤史が好き。翔太やっぱり別れよう。」

・・・・・。

「いいや、もういいよ。俺ももう飛鳥を好きになることやめた。」

そっか、やめたんだ。好きになること。

私もやめようかな・・翔太をすきになること。

どうせかなわない恋。あきらめたほうがましかも。

「俺、新しく好きな人できたし。」

え!?新しく好きな人?

誰だろう。同じクラスかな・・・。

飛鳥のこと好きになるのをやめたのは正直うれしいけど・・・

新しく好きな人できちゃったんだね・・・。

またふりだしじゃない・・。

「そっか。私、実はね、心のどこかでまだ翔太のこと好きなんだ。

でも篤史も好き。

はっきりいってどっちも・・好きなんだ。

でもどちらかというと篤史のほうが好き。・・・最低だよね。私。

でも好きになるのやめたならいいや。

もう正式に、私と翔太は他人なんだね。」

他人だなんて・・飛鳥も言いすぎだよ・・?

「でも最後に教えて。

新しく出来た好きな人・・・・て誰なの?」

そこを聞かないでよ飛鳥・・・。

せっかく嬉しい気分なのにまた失恋になっちゃうじゃん。

「新しく出来た好きな人は・・・・瀬名。瀬名だよ・・・。」

え!?私!?うそ?

うれしい!うれしいよ!

「ちょっと待って。それじゃあ、俺の気持ちはどうなるの?」

・・・・・。篤史。

どうしたらいいかな・・・・。


「篤史・・・・。」

あ・・・また飛鳥が泣きそう。

私はどうするべきなんだろう。

この際・・・翔太と付き合うべきなのかもしれない。

私と翔太は今両思い。

だから・・付き合うべきなんかな?

そしたら飛鳥も喜ぶはず。

でも篤史は?篤史の気持ちは・・・・・・?

「私・・・・私は・・・篤史とつきあう。」

『えっ』

「知ってるよ、私。翔太、まだ飛鳥のことすきなんでしょ?

本当は好きになることやめたくないんでしょ?

私は・・・・篤史が好きだから。

それに、やっぱり、翔太と飛鳥でいてほしいの。

飛鳥だって翔太のこと・・・嫌いじゃないんでしょ?」

「・・・・・・・・・・瀬名・・・。」

「俺は・・・まだ・・・飛鳥を好き・・だ・・・。」

ほら、やっぱりね。

嘘だったんだ、さっきのは。

でもいいんだ。私も篤史のコト好きだしこれからもっと好きになる。

「私は・・・・・飛鳥は・・・翔太を好きだよ。」

・・・・・そうだったんだよね。やっぱり。

「本当はずっとずっと翔太のことすきだった。

でも昼休み瀬名が翔太に告白してるところ見ちゃって・・・。

私と付き合う前に翔太が瀬名のこと好きだったって知ってたから

もうだめだって思って・・・・。

最後まで見ないで教室に戻ったの。

もうだめだ、って思って

転校生に恋したふりしてたの。

それで翔太とのデート断った日、翔太と瀬名が二人でいるのにあったから

やっぱりもうだめだって思ったの。

だけど私の誕生日プレゼント・・・買いに・・来てくれてて、

でももういいや、・・て思って・・・・・。」

もう飛鳥は泣いちゃってそれ以上一言もしゃべれなかった。

でも飛鳥、最低だよ。

いくら嫌になったからって人の気持ちを・・・・。

人のこと好きなふりするなんて許せない。

どれほど翔太が傷ついたかしらないくせに・・・・。

・・・・・。でも・・これでいいんだよね。

2人は両思いだったんだし、このままで。

「じゃあ・・・・翔太と飛鳥。私と篤史だね・・。」

「うん・・・そう・・だね・・・。」

「ほら!みんな静かにならないでってば。これで・・いいんだから。

2組とも両思いでしょ?

じゃあ私は篤史と帰るから!じゃあね。」

「うん・・・、瀬名、ありがとう。」

・・よかった。二人とも笑ってる。

これでよかったんだ。私も篤史を好き。それでいい。

 「ふ〜、今日はつかれたね!篤史。」

「・・そうだな。」

「何?何か怒ってるの?」

「お前、本当は翔太のこと好きなんだろ!」

「・・うん、たしかにさっきまでは。

でも今は正真証明篤史がすきだよ!」

「本当?」

「本当。」

本当だよ。これでいいんだもん。

「じゃあここで。ばいばい。」

「ばいばい!」

よかった、篤史もうれしそうだし。

これが1番良い結果。いい結果だけど・・・

私はその夜静かに泣いた。

誰にもばれないようにまくらに顔を押し付けて。

でもそれでふっきれた。

これから篤史のこともっともっと好きになっていくと思う。

もっと篤史にはいいところがあると思うから。

だから明日もがんばろう。 

             

                    END


ここで小説を書くのはこれで4本目になります。

下手ながらもゆっくり腕を上げていきますので、

そのアドバイスとしてコメントいただけるとうれしいです。

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