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二面性

「ささ、ある程度はわかってきた?」


ぜえ、はあ、と息をする。

分かってきた…けど…こんなきつい稽古いくらなんでも…。


「はい復習!怒りを思い描いてはパンチ!キック!なにか宿った感覚がしたらそれが正解〜!」


「はい……でも……ちょっと休ませて……」


べた、とベンチに座り込む。


「あれ?桜?」


ふと、斜め左から声がした。

ああ、桜さんを探す人の声かな。あの人待ち人が絶えない人気者だから。

ふとさっきの光景を思い出す。待ち人が来ては要望や要件を伝えてくるからすこし気まずそうな顔で桜さんに場所を変えようと言われた。あの人でも困ることってあるんだな。


「あっ…!宙…!」


なんだ、知り合いなのか。

そりゃそうか、こんな隠れ蓑のようなところにまで桜さんを見つけに来れる人なかなかいないや。


「元気かい?持病は?最近は治癒の魔法をありったけ市民のために使っては疲労困憊になることが多いって蓮から聞いたよ、よければ僕も君の_____」


「わーストップ!いやわたしは大丈夫だからさ?治療のしすぎでもないから大丈夫!天才はやれる量が皆とは違うのだ」


宙と呼ばれた人は少し考え、そっかあ…と息を吐いた。


「桜は無理をしすぎるところがあるからさ、少し心配だっただけなんだ。気にしないで?」


桜さんはすこし目を開いて、数秒固まり、そしてへたくそな笑顔をした。

なんと形容したらいいのやら、とにかく不器用で下手くそな笑みだったのだ。

へへ、というか、ふにゃあ、というか。

愛嬌がある微笑み、と形容したらいいのかもしれない。さっきまでの天才肌かつ完璧な桜さんじゃない。


「じゃあまたね、桜。無理はするなよ」


「うん、またね」


ばいばい、と手を降っている桜さんはなんだか愛らしく、可愛いな、とほんの少し思った。

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