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その魔法学校で暮らす終末装置は救いたい  作者: くずきり
底章 厭になる程暑い夏
13/23

かくしごと

「藍ちゃんが今どこにいるか?」


「はい。あの後、ばらばらになってしまったので…」


悲しそうな少年の声。


「今はね、1度保護してからこの寮に入れるつもり。少年の部屋の隣かな」


「えっ…藍が…!?」


きらりと光を見たような笑顔になり、照れ顔になり、そして顔を顰めた。


「ここの寮って、権能のある生徒だけが入れるところなんじゃ」


ああ、その説明がまだだったか。


「おいで。市川藍ちゃんについて、君は知る必要がある」





──────────────────────────────



「おはよう、悠くん。あなたの藍さんはね、ずっと悠くんに会いたかった」


「ら、藍…」


かわいいやり取りだなあ。ああ、少年固まっちゃってる。


「ところで、藍はなんでここに…」


そうだ、それを説明しないと。


「2人に集まってもらったのはね、それぞれの事についてちゃんと知った状態であるのが大切だと思って」


「はい?それって…」


わたしは藍ちゃんの手を取る。


「藍ちゃん」


「はい」


藍ちゃんは大きく黒い翼を見せ、宙に浮く。

そのままだんだん浮いていき、やがてわたしの手を離して空に浮かび上がった。


「……えっ」


呆然とした少年の顔。

美しい藍ちゃんの姿。


「降りておいで、藍ちゃん」


はい、と発言した後降りてきた。

貸した手をしっかり握って。


「この通り、藍ちゃんの権能は烏」


「烏…」


烏…からす…と反芻して繰り返す少年。


「ね、悠くんにも権能があるんでしょう?ぜひ見せて欲しいの」


「あっ俺…!?そうだな」


「少年受け取れ!」


えっ!?と声を出す少年に閃光を当てる。

ぱしん、と少年のお腹が弾いた。


「こういうこと!…2人とも良く分かったかな?」


はい!と元気がいい子が1名。全然…と状況すら飲み込めていない子が1名。


「だって僕、鋏の彼女に1発もかませなかった…」


ずーん、と落ち込んだ顔の少年。

僕なんて…僕なんて…と言葉を繰り返している。


「あー…防衛意識の問題かな?また訓練しよっか!」


はい…と元気の無い声が聞こえた。相当応えているらしい。


「そういえば、鋏の権能の彼女は」


ああ、彼女の説明を詳しくしていなかった。


「彼女に詳しく話を聞いたらやっぱり、更生できる資格を持ち合わせていたの。今は少しずつわたしの部下たちのカウンセリングを受けて、ゆっくり立ち上がっているところだよ」


居場所も衣服もこちらが手配した。そのぐらいのことが出来ずに何が慈善事業を語れようか。


唐突にスマホが鳴る。いつもの業務連絡だろうか。


「はい。はい……はい、了解です」


表情が上手く作れない。どうしよう。こんな心情の時、普通の人間はどんな顔をするのだろう。いや、心情ではなく居合わせている場所で判断すべきだろうか。なら、なら今は…笑顔だ。


「どうかされましたか?」


藍ちゃん、ごめんね。


「なんでもないよ!続きだ続き〜!」



あなたの実の母親────一色咲さんへの指名手配が通達されました。一刻も早くの身柄確保、殺害が求められます。桜さん、貴方は身内に甘いところがありますから身を引き締めて────

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