第4話 自称勇者一行、旅立つ!
翌朝。
村の人々に感謝の言葉を受け、俺たちは街道へと足を踏み出した。
「ふっ……見たか? 村人たちのあの視線! 俺の勇気に感謝していたな!」
ソウマが胸を張る。
「……転んだ場面も、しっかり覚えられていたと思うけど」
ルミナスが冷ややかに返す。
「えっ!? ええと……で、でもソウマ様はとても勇敢でした!」
リアナが慌ててフォローし、三人のやり取りに思わず笑いそうになる。
……本当に、賑やかな連中だ。
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村を離れると、道は森へと続いていた。
鳥のさえずり、風に揺れる木々――自然の音が心地よい。
「なあテーレ、お前って結構剣使えるよな」
ソウマがこちらを振り返る。
「まあ、多少はな」
俺は肩をすくめる。
「多少じゃねえだろ! あの盗賊の時も、すっげぇ動きだったし!」
「そうね……少なくとも、あなたよりは冷静だったわね」ルミナスがさらりと突き刺す。
「ぐっ……」ソウマが言葉に詰まり、リアナが「け、喧嘩はダメですよ!」と仲裁する。
俺はそんなやり取りを横目に、ふと心の奥に奇妙な感覚を覚えた。
この道も、この森も……どこか「自分の中」に繋がっているような、不思議な一体感。
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「よーし! 練習だ!」
ソウマが急に剣を抜き、街道の真ん中で構える。
「いくぞ――烈斬!」
振り下ろした剣は地面に突き刺さり、土煙を上げた。
「……畑を荒らしてどうするの」ルミナスが呆れる。
「ひゃあっ!」土を浴びたリアナが慌てて髪を払っていた。
俺はため息をつきながらも、どこか心が温かくなる。
馬鹿みたいに騒がしいが……退屈はしない。
⸻
昼過ぎ。森を抜ける手前で、妙な気配を感じた。
風の流れが変わり、鳥たちが一斉に飛び立つ。
「……何か来る」俺は足を止めた。
次の瞬間。
灰色の影が木々の間から飛び出し、牙を剥いて迫ってくる。
鋭い赤い瞳。灰色の毛並み。
――ダスクウルフの群れだ。
「な、なんだ!?」ソウマが剣を握り直す。
「……下級魔獣の群れ。普通の旅人なら全滅ね」ルミナスが冷静に告げる。
「ど、どうしましょう……!」リアナが祈るように胸の前で手を組む。
俺は剣を抜き、構えを取った。
(さて……やるか)
群れが一斉に吠え、森が戦場へと変わった――。
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