表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界に転生した俺は、勇者たちを導く  作者: 鈴木泉
第3章 黒龍討伐

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/31

第25話 山岳への道


グラナートを後にした俺たちは、地図を頼りに西の山岳地帯へと歩みを進めていた。地図はルミナスが持っている。

街道を抜けると、やがて岩場と木々が入り混じる険しい道へと変わっていく。


「へへっ! ようやく冒険らしくなってきたな!」

ソウマは胸を張り、剣の柄を叩きながら先頭を歩く。


「はぁ……ほんとに調査のつもりあるのかしら」

ルミナスは呆れたように吐き捨てるが、ソウマは気にも留めない。


「黒龍がいるなら俺がぶっ倒す! そんだけだろ!」

「……調査って言葉、もう一度勉強したほうがいい」

俺はため息をつきながら後ろから突っ込んだ。


リアナは少し緊張した面持ちで、胸元に下げた小さなペンダントを握りしめている。

「でも……本当に黒龍がいるなら、私たちだけで大丈夫でしょうか」


「心配するな! 勇者ソウマ様がいるんだからよ!」

ソウマが振り返って笑顔を見せると、リアナは苦笑いで小さく頷いた。



しばらく歩いたところで、ソウマが立ち止まった。

「おおっ! 見ろよ! こっちに近道っぽい道があるぞ!」


「またそれ?地図では真っ直ぐよ。」

ルミナスが眉をひそめる。


「勇者の勘がそう言ってるんだ!」

ソウマは得意げに胸を叩き、そのまま茂みをかき分けて突き進んでいく。


俺は頭を抱えた。

(またかよ……この前も散々迷ったのに)


結局、茂みの奥は崖っぷちだった。

「うおおおっ!?」

ソウマが足を滑らせて転がり落ちかけ、俺が慌てて腕を掴んで引き戻す。


「お、危なっ……!」

ソウマは息を荒げながらも、「へ、平気平気! 俺がわざと確認したんだ!」と強がった。


「……ほんとに、死ぬ気で確認する馬鹿がどこにいるのよ」

ルミナスの冷たいツッコミをいれた。



昼前、俺たちは少し開けた岩場で腰を下ろし、昼食をとることにした。

パンと干し肉をかじりながら、ソウマが口を開く。


「なぁ……黒龍って本当にいるのかな」


「おや? 珍しいわね。あんたが弱気になるなんて」

ルミナスが半目で見やる。


「弱気じゃねえよ! ただ……あの銀髪野郎も動いてるって聞いたからな。負けてられねぇだろ!」

ソウマは拳を握りしめ、悔しそうに唸る。


「……やっぱり、そこが気になってるのね」

ルミナスは小さくため息をついた。


リアナはそんな二人を見ながら、柔らかく笑う。

「でも、どちらが先に黒龍を見つけるかより……大事なのは、みんなで無事に戻ることですよ」


俺は頷き、パンを噛みちぎった。

(そうだな……だが黒龍の背後に“魔の影”があるなら、無事に済む保証はない。だからこそその時は俺が……)



昼食を終え、再び歩き出す。

ソウマは元気を取り戻したのか、剣を肩に担いで歌を歌い始めた。


「♪黒龍なんて〜ぶった斬る〜俺は勇者〜最強だ〜!」


「……調子に乗るとまた転ぶわよ」

ルミナスが釘を刺すと、案の定ソウマは石につまずいて前のめりに倒れた。


「うげっ!?」

「……ほらね」

冷たく言い放つルミナス。リアナは慌てて駆け寄り、俺は小さく肩をすくめた。



夕刻。山道の入り口に差しかかったところで、ルミナスが足を止めた。

「ここから先が山岳地帯。黒龍が現れたとされる場所よ」


ソウマは剣を握りしめ、真剣な顔になった。

「ようやく来たか……! 待ってろよ、黒龍!」


俺は静かに頷き、険しい山の影を見上げた。

(ここからが本番だ……何が待っていようと、避けられない)


こうして、俺たちは黒龍の影が潜む山岳地帯へと足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ