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世界に転生した俺は、勇者たちを導く  作者: 鈴木泉
第2章 勇者選別

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第17話 魔界の代弁者 




広間が一瞬にして闇に呑まれた。

大聖堂の大理石の床は影に覆われ、光はすべて吸い込まれるように消えている。

空間は歪み、壁も天井も見えない。ただ冷たい風だけが吹き抜けている。


その中心に、鎌を携えた黒影の男が立っていた。

影の揺らめきが床から這い上がり、彼の足元を蠢かせている。


(……あいつの気配、前にもどこかで感じたことがあるな)


仮面の奥で俺は眉をひそめた。

「お前、ソウマがゼインと戦ってた時……見てたろ」


黒影の男はかすかに口元を歪める。

「観測していただけダ。……ダガ今日は、それ以上のものを見せてもらおう」



鎌がうなりを上げた。黒い残光が閃き、影が槍のように突き出される。


冥影葬槍(シャドウ・ジャベリン)!」


鋭い影の槍が俺の胸を狙う。

俺は足を叩きつけ、大地を突き上げた。


大地震槍(クエイク・スピア)!」


石の槍が床を割って飛び出し、影の槍を打ち砕く。破片が宙に舞い、闇と光の衝突音が空間を震わせた。


「……ほう。やはりオマエ、ただのニンゲンではないな」


「お前には言われたくないけど」



「ナラバ動きを封じる。虚無連鎖(ヴォイド・チェイン)!」


漆黒の鎖が虚空から現れ、俺の腕と足を絡め取ろうと迫る。

俺は剣を振り抜き、風を裂いた。


「効かねえな――嵐断裂(ストーム・ディバイド)!」


暴風が吹き荒れ、鎖を粉砕する。風圧に煽られ、ザガドのローブがはためいた。


「ツヨい……ダガ」


鎌に死の波動が収束する。

「シュウエンを喰らえ――黒葬刀(ラスパーダ)!」


虚無の光を帯びた斬撃が、空間そのものを断ち切りながら迫る。

骨まで冷えるような殺意。だが俺は両手を広げてから手を近づけて、空気を震わせた。


天地咆哮(ワールド・ロア)!!」


天地が同時に咆哮するような轟音。大地が揺れ、空気が爆ぜる。

死の波動は掻き消され、影の男が後方へ吹き飛んだ。



テーレは煽るように言った

「どーよ?」


影の男はよろめきながら

「なかナカ....やるナ...」



影が崩れ落ちる――そう思ったが、まだ立っていた。

その顔には笑みが浮かんでいる。


「……驚いた。我を、ここまで圧する者がいようとは」


黒い霧がその身を覆い、鮮明に形を表し始めた。

だが全身は黒に覆われ姿は見えない。


「我は魔界の代弁者、ザガド。勇者誕生が近いと聞き其の者を見にきた……が思わぬ収穫を得た。お前という存在だ」


「代弁者?」


「いずれわかる。その時まで……また観測を続けよう」


そう言い残し、ザガドは影に溶け、空間から消え去った。



静寂が訪れる。

俺は剣を下ろし鞘に納め、深く息を吐いた。


(魔の世界の代弁者……勇者だけじゃない。俺にまで興味を持ったか……)


―――



ザガドが影に消えた後、黒い霧は少しずつ薄れていった。



観客たちが声をあげる。

「おい!霧が晴れてきたぞ!」

「仮面の男が立ってる!勝ったのか?」


ソウマそしてユウマはまだ倒れていたが苦しそうに言った

「やったのか?」

「すげえな...はあはぁ..」


俺は拳を空に掲げピースして答えた。


会場からは歓声と安堵で泣いてる人で埋め尽くしていた



(バレてないことだしこの際、あの2人治してってやるか)


大地命風(アース・オブ・ブレス)


ソウマとユウマに優しい風が流れ込み、生命力を吹き込む。直後に俺はスッとその場を立ち去った。



元気になったソウマがハツラツな声で

「お?あれ、なんか力が漲ってくるぞ!!

おい!ユウマ決着つけようぜ!!」


「あれ?そういえば仮面のあいつどこいった?強さの秘訣聞こうと思ったのに!」


ユウマはため息を吐きながら

「仕方ない。俺も急に力が戻ったからな。つけてやるよ決着」


――――



???「さてさて、私この話のナレーターのコマドと申します。影の男と仮面の男によって勇者候補の戦いが

途中で終わってしまいましたが、ここから1対1の真の勇者を決める戦いが幕をあけ...」


観客席にいるルミナスが大声で割って入ってきた。


「ちょっとまったぁぁぁあ!バカなの?会場もボロボロあんた達もボロボロなのにまだやるつもり!!?」

「また後日にしなさあああい!」


リアナが慌てた顔をしてルミナスを宥める。

「ま、まぁまぁリアナさん落ち着いてください!無事に終わったんですから!」


それを聞いた会場は笑いに包まれた。


その時テーレは...

(さて、どうやって戻ろうかな...)


こうして死の世界の代弁者ザガドとの戦いは一旦幕を閉じた――



読んで頂いてありがとうございます!!


毎日更新したいと考えていますが仕事の都合上、深夜に更新することが多いです!ぜひページ左上にあるブックマーク機能使ってみてください!


また、連載のモチベーション向上にもなるので面白いなと思ったらすぐ下にありますので☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


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