第15話 光と氷の共闘
緊張の幕開け
大神殿の広間は、まだ先ほどの余韻を引きずっていた。
砕けた床石から白い霜が立ち昇り、光と闇の名残が空気に混ざる。
観客席の群衆は言葉を失い、ただ静まり返って舞台を見つめていた。
ソウマは剣を肩に担ぎ、血を拭って立ち上がる。
ユウマは氷刃を握り直し、鋭い眼光を影の男へ注いだ。
「なぁ……お前もわかってんだろ?」
ソウマが息を荒げながら笑う。
「ハハッ...こいつ、一人じゃどうにもなんねぇ」
「残念だが……同感だ」
ユウマの答えは短いが、声音に迷いはなかった。
二人が並んで立つ。
広間が再びざわめいた。
観客「ソウマとユウマが……共闘だと!?」
観客「まさか、あの二人が並び立つとは……!」
リアナは手を胸に当てて祈るように見守り、
ルミナスは細めた瞳の奥にかすかな興味を宿していた。
⸻
「行くぞ、氷野郎!」
「お前が合わせろ、熱血バカ」
二人が同時に駆け出す。
「烈斬!」
ソウマの剣が閃光をまとい、鋭い斬撃を放つ。
「氷葬斬!」
ユウマの氷刃が白き閃光を撒き散らし、空気そのものを凍りつかせた。
光と氷の奔流が重なり、鎌の男へ殺到する。
舞台全体が白と蒼の輝きに飲まれた。
「おおおおお!」観客の歓声が轟く。
「これで決まったか?」
⸻
しかし、その中心に立つ影の男は、表情ひとつ変えない。
ただ無言で鎌を地に突き立てた。
「闇影縫》」
床に広がった影が触手のように伸び、二人の足を絡め取る。
「なにっ!?」
ソウマが必死に足を振りほどこうとするが、闇の鎖は肉体ではなく“存在そのもの”を縛る。
ユウマが低く呟いた。
「影で……魂ごと....縛っている……!」
「くそっ、そんなの知るかよッ!」
ソウマは全身に光を纏わせ、影を断ち切った。
その一瞬の力でユウマも自由を得る。
「……強引すぎる」
だがユウマの口元にはかすかな笑みが浮かんでいた。
⸻
「もう一度だ!」
「わかっている」
「光劍!!」
ソウマの剣が白光に包まれ、影を裂く。
「終わらせる!氷刃零閃―終式》!」
ユウマの氷刃が蒼き稲妻のごとく走り、闇を切り裂いた。
二人の力が重なった瞬間、影の男の足がわずかに後退する。
観客「押してる! 押してるぞ!」
リアナ「すごい……二人なら、本当に勝てるかも!」
広間全体に歓声と期待が満ちた。
⸻
影の真骨頂
「……」
影の男は一歩前に出る。
その動作だけで空気が張り詰めた。
「闇風穿」
鎌が振り抜かれ、闇の渦が巻き起こる。
螺旋状の暗黒が光を呑み込み、氷を砕いた。
「なっ――!」
ソウマの身体が弾き飛ばされ、床を転がる。
ユウマも氷壁を張ったが、闇の渦はそれすら粉砕し、胸を裂いた。
観客「ひいっ……!」
「二人でも駄目なのか!?」
俺の中の“世界”がざわめく。
(理をねじ曲げている……あれは人の力じゃない。あれは……)
⸻
ソウマが膝をつきながら、それでも立ち上がろうとする。
「俺は……まだ倒れてねぇぞ……!」
ユウマも血を吐きつつ、冷たい瞳を向けた。
「……次で....終わらせる」
二人は最後の力を振り絞り、同時に斬りかかる。
光と氷が交錯し、広間を照らす。
「うぉぉぉぉおお!!」
だが――
「冥断」
鎌が振るわれた瞬間、世界が凍り付いたように静止した。
光は飲まれ、氷は砕け、二人の剣が無力化される。
轟音と共に二人の身体が宙を舞い、床に叩きつけられた。
「ぐはっ……!」
「……っ!」
ソウマもユウマも膝をつき、剣を支えにかろうじて立っている。
観客席は沈黙し、ただその光景を見守るしかなかった。
⸻
リアナが悲鳴をあげ、ルミナスは眉をひそめた。
俺は胸の奥に怒りを覚えながら、影の男を睨む。
(あいつは――“外側”の存在……。本当に、この世界の人間なのか...?いや...怒りを抑えろ...)
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