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世界に転生した俺は、勇者たちを導く  作者: 鈴木泉
第2章 勇者選別

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第14話 三つ巴の激戦



大観衆の熱狂


「残ったのは三人だ!」


その叫びが響いた瞬間、大神殿の広間は割れんばかりの歓声に揺れた。


「うぉぉぉぉおおおおお!!」


舞台に立つのは――

光を纏う戦士、ソウマ。

銀髪の冷徹剣士、ユウマ。

そして、鎌を携えた無言の男。


「すごい……! 本当にソウマ様が……!」

リアナは胸の前で手を握りしめ、瞳を潤ませる。


「……けれど、ここからが本当の戦いよ」

ルミナスは涼しい顔を崩さぬまま、銀の瞳を細めた。


(光、氷、そしてあの鎌……。ただの候補者同士の戦いじゃない。特にあの男は……)

俺は胸の奥のざわめきを抑えきれず、舞台を凝視していた。




「行くぞォッ!」

ソウマが雄叫びを上げ、一直線に踏み込む。


「俺はただ冷静に……斬る」

ユウマが低く呟き、氷刃が唸りを上げた。


烈斬(レツザン)!」

氷刃零閃(アイス・ゼロ)!」


光の閃撃と氷の一閃が正面から衝突する。

轟音と爆ぜる火花が広間を覆い、床石が砕けた。


観客「すげぇっ!」

観客「正面から斬り結んだぞ!」




ソウマは笑っていた。

「いいなぁ……! お前、かなりやるじゃねぇか!」


ユウマの瞳は冷たいままだった。

「……お前の剣は単純で直線的すぎる」


「うるせぇ! 勇者ってのはいつもまっすぐ突っ込むもんだろうが!」


ソウマが烈斬を連打する。光の軌跡が残像となり、ユウマに迫る。

だがユウマは後退せず、踏み込む。


「……氷華乱舞(アイシクル・ダンス)!」

氷片が無数の刃となって降り注いだ。


ソウマは剣で必死に弾き落とすが、頬を裂かれ血を滲ませた。

「ぐっ……だが、止まらねぇッ!」


「互角だ!」

「一歩も引かねぇ!」

観客達も固唾を飲んで見守った。



ソウマの一撃を氷の壁が受け止めた。砕け散る氷片が白い靄を生み出す。

視界を遮られた一瞬、ソウマがまた踏み込む。


「もらったァッ!」


だが、足元が氷で滑る。刃が逸れた。


「……甘い」

ユウマが囁き、逆袈裟に斬り下ろす。


「ちぃっ……!」

ソウマは咄嗟に受けるが、肩口を裂かれて血が滲んだ。


リアナ「ソウマ様っ!」

ルミナス「……」




「終わりだ……氷葬斬(フロスト・レクイエム)!」

ユウマの剣が銀光を放ち、氷結晶が花のように咲き乱れる。


「負けるかよォッ! 光劍(ヒカリノツルギ)!」

ソウマの剣が白光を纏い、氷を押し返す。


光と氷が正面から激突し、広間全体を轟音と爆光が包んだ。

観客が悲鳴と歓声を同時に上げる。


「すげぇ……! どっちも退かねぇ!」

「ソウマが押してる……いや、互角だ!」


床が砕け、壁が凍りつき、爆風で観客席の幕がはためいた。



二人は吹き飛ばされ、膝を沈めながらも立ち上がる。


ソウマは血を拭いながら笑った。

「お前……最高にやべぇな! 今までで一番だ!」


ユウマは氷の剣を握り直し、息を整える。

「……お前もな。光を背負う者としての強さ……認めざるを得ない」


互いに認め合った、その瞬間――



影の乱入者


「……」


低い音が広間を震わせた。


鎌の男が、ゆっくりと二人の間に歩み出ていた。

影が伸びるたび、光も氷も歪んで見える。


「な、なんだ……あいつ……」

「影が……広がってる……!」


観客席のざわめきが恐怖に変わる。


男は無言で鎌を振り抜いた。


「――冥断(シャドウ・リーパー)


黒い弧が舞台を走り、光も氷も呑み込む。

ソウマの肩口が裂かれ、ユウマの氷刃が粉々に砕けた。


「ぐっ……!」

「……化け物か」


鎌の男は声ひとつ発さず、影の中に佇んでいる。


――


(……今の斬撃は……世界の理を逸脱しているな)

胸の奥が冷たく痺れる。


光も氷も否定する闇の一閃。

俺の“世界”としての意識が、本能的に警鐘を鳴らしていた。


(ふむ...やはりただの人間じゃないな...)




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