第14話 三つ巴の激戦
大観衆の熱狂
「残ったのは三人だ!」
その叫びが響いた瞬間、大神殿の広間は割れんばかりの歓声に揺れた。
「うぉぉぉぉおおおおお!!」
舞台に立つのは――
光を纏う戦士、ソウマ。
銀髪の冷徹剣士、ユウマ。
そして、鎌を携えた無言の男。
「すごい……! 本当にソウマ様が……!」
リアナは胸の前で手を握りしめ、瞳を潤ませる。
「……けれど、ここからが本当の戦いよ」
ルミナスは涼しい顔を崩さぬまま、銀の瞳を細めた。
(光、氷、そしてあの鎌……。ただの候補者同士の戦いじゃない。特にあの男は……)
俺は胸の奥のざわめきを抑えきれず、舞台を凝視していた。
⸻
「行くぞォッ!」
ソウマが雄叫びを上げ、一直線に踏み込む。
「俺はただ冷静に……斬る」
ユウマが低く呟き、氷刃が唸りを上げた。
「烈斬!」
「氷刃零閃!」
光の閃撃と氷の一閃が正面から衝突する。
轟音と爆ぜる火花が広間を覆い、床石が砕けた。
観客「すげぇっ!」
観客「正面から斬り結んだぞ!」
⸻
ソウマは笑っていた。
「いいなぁ……! お前、かなりやるじゃねぇか!」
ユウマの瞳は冷たいままだった。
「……お前の剣は単純で直線的すぎる」
「うるせぇ! 勇者ってのはいつもまっすぐ突っ込むもんだろうが!」
ソウマが烈斬を連打する。光の軌跡が残像となり、ユウマに迫る。
だがユウマは後退せず、踏み込む。
「……氷華乱舞!」
氷片が無数の刃となって降り注いだ。
ソウマは剣で必死に弾き落とすが、頬を裂かれ血を滲ませた。
「ぐっ……だが、止まらねぇッ!」
「互角だ!」
「一歩も引かねぇ!」
観客達も固唾を飲んで見守った。
⸻
ソウマの一撃を氷の壁が受け止めた。砕け散る氷片が白い靄を生み出す。
視界を遮られた一瞬、ソウマがまた踏み込む。
「もらったァッ!」
だが、足元が氷で滑る。刃が逸れた。
「……甘い」
ユウマが囁き、逆袈裟に斬り下ろす。
「ちぃっ……!」
ソウマは咄嗟に受けるが、肩口を裂かれて血が滲んだ。
リアナ「ソウマ様っ!」
ルミナス「……」
⸻
「終わりだ……氷葬斬!」
ユウマの剣が銀光を放ち、氷結晶が花のように咲き乱れる。
「負けるかよォッ! 光劍!」
ソウマの剣が白光を纏い、氷を押し返す。
光と氷が正面から激突し、広間全体を轟音と爆光が包んだ。
観客が悲鳴と歓声を同時に上げる。
「すげぇ……! どっちも退かねぇ!」
「ソウマが押してる……いや、互角だ!」
床が砕け、壁が凍りつき、爆風で観客席の幕がはためいた。
⸻
二人は吹き飛ばされ、膝を沈めながらも立ち上がる。
ソウマは血を拭いながら笑った。
「お前……最高にやべぇな! 今までで一番だ!」
ユウマは氷の剣を握り直し、息を整える。
「……お前もな。光を背負う者としての強さ……認めざるを得ない」
互いに認め合った、その瞬間――
⸻
影の乱入者
「……」
低い音が広間を震わせた。
鎌の男が、ゆっくりと二人の間に歩み出ていた。
影が伸びるたび、光も氷も歪んで見える。
「な、なんだ……あいつ……」
「影が……広がってる……!」
観客席のざわめきが恐怖に変わる。
男は無言で鎌を振り抜いた。
「――冥断」
黒い弧が舞台を走り、光も氷も呑み込む。
ソウマの肩口が裂かれ、ユウマの氷刃が粉々に砕けた。
「ぐっ……!」
「……化け物か」
鎌の男は声ひとつ発さず、影の中に佇んでいる。
――
(……今の斬撃は……世界の理を逸脱しているな)
胸の奥が冷たく痺れる。
光も氷も否定する闇の一閃。
俺の“世界”としての意識が、本能的に警鐘を鳴らしていた。
(ふむ...やはりただの人間じゃないな...)
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