第12話 美と力の証明
大神殿への到着
王都エルディオンの中心にそびえる大神殿は、まさに神話の舞台だった。
石造りの柱が林立し、天井は空を支えるかのように高い。
ステンドグラスから射し込む光が床を染め、荘厳な気配が辺りを包む。
「おおおお……! なんだこれ、すげぇ……!」
ソウマが思わず声を漏らす。
「王都の中心、神の座に最も近い場所よ。――当然ね」
ルミナスは涼しい顔を崩さず、銀髪を揺らした。
リアナは両手を胸に当て、目を潤ませる。
「本当に……神様に見守られているみたいです……」
俺は静かに一歩を踏み出し、大理石の床に靴音を響かせた。
(……荘厳すぎて息が詰まるな。ここで勇者が選ばれるというのも頷ける)
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強者たちの影
舞台に勇者候補たちが並ぶと、会場は熱気で揺れた。
ざわめく群衆の中、ルミナスが指を折りながら淡々と続ける。
「銀髪の剣士――ユウマ。冷静さが際立ってる。
筋肉の塊――グレイル。力押しだけど、実力は本物。
あのエルフ、フェイン。自信家だけど弓の腕は確か。
あの派手なローブは……フレイル。火を好む魔法使いね。
……そして鎌を持つ無言の男。あれは……不気味」
リアナが小さく息を呑む。
「すごい……みんな有名なんですね……」
「名が知れているってことは、それだけ実力があるってことよ」
ルミナスの声音は冷ややかだった。
ソウマは胸を張り、豪快に笑う。
「いいな! つまり俺が勝てば一気に有名ってことだよな!」
(……あの五人か...ユウマあと鎌を持ったやつが最後まで残るのは間違いない。
そしてソウマがそこに食い込めるかどうか――見ものだな)
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大乱闘の幕開け
「始めッ!」
導師の声と同時に、広間が咆哮に包まれた。
候補者たちが一斉に飛び出し、剣と魔法の光が交錯する。
「うおおおっ!」
「燃えろッ! 《ファイア・ボルト》!」
「邪魔だッ!」
火球が炸裂し、矢が舞い、剣がぶつかる。
舞台は一瞬で修羅場と化した。
ソウマは雑魚候補二人に同時に狙われた。
「へっ、まとめて来い!」
剣を振り抜き、一人を弾き飛ばす。
もう一人は受け流して柄で鳩尾を突き倒した。
観客「おおっ!」
リアナ「すごいです、ソウマ様!」
ルミナス「……荒っぽいけど、それなりにはやるわね」
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美と力 ― フェイン vs グレイル
混戦の中、ひときわ目を引く二人がぶつかる。
「この至高の美で、戦場を支配する!」
弓を構えたのは金髪のエルフ、フェイン。
「美だぁ? 戦場じゃ力がすべてだ!」
大剣を担ぐ巨体の戦士、グレイルが吠える。
「君、モテないでしょ?」
「飛翔せよ―― 蒼翔之矢!」
青い光矢が一直線に走る。
「ふんッ!そんなもんかよ!」
グレイルは大剣を盾のように振りかざし、火花を散らして弾き飛ばした。
「美しくないね。ならば――鏡華連射!」
無数の矢が分裂し、舞台を埋め尽くす。
観客「すげぇ……雨のようだ!」
「エルフの矢の嵐だ!」
「洒落せえ!!砕け散れッ! 剛絶連打!」
グレイルの剛腕が連続で振り下ろされ、大剣の衝撃波が矢の雨を粉砕する。
砕け散った矢の破片が光の粉となって舞台に降り注いだ。
「なかなかやるね。穿て――奥義 穿光之一射!」
鋭い光矢が真芯を貫き、グレイルの頬を裂いた。血が飛び散る。
観客「入ったぞ!」
「フェインが優勢か!?」
しかし、巨漢は止まらない。
「効かねぇぇぇなぁぁあ!雷轟断」
大剣が地を叩き割り、轟音と衝撃が場を揺らす。
「うわぁっ!」
フェインは衝撃波に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられて崩れ落ちた。
「ぐっ……! この僕が……!」
膝をついたまま、悔しげに歯を食いしばる。
「終わったか!」
グレイルは鼻で笑い、大剣を担ぎ直す。
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勇者 vs 豪腕 ― ソウマとグレイル
「次は……お前か!」
フェインを沈めたグレイルの目がソウマに向いた。
「望むところだ!」
ソウマが剣を構え、突進する。
大剣と剣が正面からぶつかる。
衝撃が床を砕き、ソウマの足がめり込んだ。
「重っ……! これが……!」
歯を食いしばるソウマの額に汗が滲む。
「押し潰すッ!」
グレイルが力任せに剣を振り下ろす。
ソウマは半身で受け流し、すかさず斬り返す。
「まだだッ――烈斬!」
閃光の斬撃が走り、グレイルの肩を裂いた。血が飛ぶ。
「やるじゃねぇか!」
グレイルは傷をものともせず笑い、大剣を振り上げる。
「雷轟断!」
大地を裂く一撃。
雷鳴のごとき衝撃が広間に響き、ソウマは床を転がった。
「ソウマ様っ!」
リアナが叫ぶ。
「……無茶するわね」ルミナスは冷ややかに呟く。
ソウマは血を拭い、震える手で剣を握り直した。
「まだだ……俺は勇者だ!」
低い姿勢から地を蹴る。
「喰らえ――閃牙!」
光の牙のような突きが走り、グレイルの脇腹を掠めた。
観客「入った! ソウマが押してるぞ!」
「ほぉ……! いい突きだな!」
グレイルは目を細め、笑った。
「だが戦場とは、力が支配するッ!」
「岩砕豪衝!!」
大剣が地を抉り、石片が爆風と共に飛び散る。
ソウマは咄嗟に腕で顔をかばい、血を滲ませながら突っ込んだ。
「まだ……俺は負けねぇ!」
再び剣が光を帯びる。
刃に白銀の輝きが宿り、広間を照らした。
「これが……俺の剣だッ!
「光劍!!」
閃光が爆ぜ、大剣を弾き飛ばす。
グレイルの巨体が床に叩きつけられ、衝撃が広間を揺るがした。
観客「おおおおおっ!」
⸻
終わりなき戦いへ
ソウマが息を切らせながら剣を掲げたとき、
舞台に残っていたのは――ソウマ、ユウマ、フレイル、そして無言の鎌の男。
観客席の熱狂はさらに高まり、
大乱闘は、次なる激突を迎えようとしていた
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