「わたしは妹の字が好き。」
◙この作品はひだまりのねこ様主催企画『集まれエッセイ企画』参加作品です。
唐突ですが、わたしは妹の書道の字がとても好きです。
そんなわたしの妹との思い出エッセイを書こうと思います。
書道。
皆さんも学校の授業や習い事で一度はやったことがあるという代物だと思います。
わたしの書道に対する感想と言えば「利き手が左なのでとてもやりにくい」というものでした。
小学校では書道の時間が苦痛で苦痛で仕方が無かったです。
利き手とは逆の右手で書いた字はそれはそれは他の子に比べて下手でした。
書道の時間中に「林」という課題が出たことがあったのですが、その漢字一文字すら上手く書けず感情が高ぶって大泣きしたという思い出すらあります。
そんなわたしが大人になってから再び書道をやる機会が巡ってきました。
妹と書道教室に通うことになったからです。
と言っても、普通の書道教室ではありません。
障がいを持つ子だけの書道教室にわたしは妹の付き添いとして一緒に習いに行くことになったのでした。
明かすと、妹は障がい者です。
そんな妹と書道教室にはわたしが結婚する数か月前まで一緒に通っていました。
妹は現在も通っていると思います。
とにかく妹の書く字体は独特でした。
妹は書道の先生に書き順を教わりながら、一画一画筆でしたためていきます。
妹は擦れる字が嫌いなんだと思います。
なので、墨汁をそれはたっぷり付けて書きます。
半紙はびっちゃりな状態になりますが、ダイナミックな字はとっても素敵です。
いつか「恐竜」という言葉を大きな半紙に書きましたが、まさに文字が生きているみたいでした。
妹の字には、味があります。
妹にしか書けない書風です。
かくいうわたしは横でお手本をえっちらおっちらゆっくりと書いていました。
妹は逆に書き始めたら早かったです。
そして妹はよく「笑」という字を書いていた時があった。
先生に書いて、と言われた事もあるのだが、妹の「笑」という字は本当に文字が笑っているようだった。
小さな画用紙に書かれた「笑」という作品はおそらく今でも額に入れて実家に飾ってあるだろう。
その書道教室では半紙に詩を書くという時もあった。
書道の小筆で妹が書いた宮沢賢治の「雨ニモマケズ」という作品が一番のわたしのお気に入りだった。
近々、わたしは今の家にこの作品を飾る許可を妹に得たいと思っている。
かくして初めに戻る。
わたしは妹の書道の字がとても好きだ。
家に飾りたいくらい。
素敵な字を書く妹はそれを除いても大好きな妹だ。
正直言えば、妹の事で苦労の方が多い。
でも、自慢の妹である。
お読みくださり、本当にありがとうございました!