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Broken Utopia〜狂った理想郷の探索者〜  作者: 盛々
0章 壊れた世界で産声を上げて
9/11

緊急クエストと■■■■

レベル10?特殊職業?その程度で神と戦いになるとでも?

「トウヤ!レベル10ってどういうこと!?」


 そう言いながら慌ただしくドアを開けアカネが部屋に飛び込んで来る。


「どうもこうも、何が起こったのかさっぱりだ。アカネの杖を作る時に試しに色々やってみたらこんなものが出来上がってな?」


 そう言って、【魔力統べる命樹杖】を取り出し性能を説明する。


「えぇ、何それ…流石に今の私のレベルに合ってないわよ。そんなヤバイ杖」


「とは言え受け取って貰わないとアカネの杖が無くなるぞ?杖無しでも魔術は使えるみたいだが効率は悪くなるようだし、持っておかないか?」


「うーん、ひとまず考えさせて?それと服の方も作って欲しいんだけど」


「そうか、じゃあひとまず服を錬金してからこの杖の処遇を考えるとしよう」


「うん、よろしくね」


 そうして、アカネは部屋から出て行った。


「とは言っても、服に使える素材は今のところムシネズミの皮しか無いんだよなぁ。もうそれで良いか」


 既に一度やったことのある作業の為パパッと準備して【初心者の服】と『ムシネズミの皮』を合成する。魔力感知と魔力操作を取得したからかマナの操作が今までよりも格段にやり易く、前回の同じ合成をした時の半分程の時間で陣が光り、完成した。


【虫鼠の皮殻服+4】

 ムシネズミの毛皮を服に仕立てた装備

 急所や関節を守るように甲殻が配置されている

 作成に成功しており性能が上昇している


 ・装備効果

 DEF+5(+4)

 着心地上昇

 耐久上昇

 斬撃耐性(微)

 急所耐性(弱)


 こうして俺の装備よりも良い物が出来上がった。そして、アカネを呼ぼうと思って立ち上がった瞬間、聞いたことの無いアラームの様な音が鳴り響く。


[緊急クエスト『神火は天より降りて人世を焼く』が開始されます!クエストのクリア条件は“■■神■ フ■■テ■ア”の討伐です!]


「は!?緊急クエスト!?いい加減休ませてくれよ……。とにかくアカネと合流しないとな…」


「トウヤ!今のアナウンス聞いた!?」


「あぁ、聞いたさ。とりあえず、ホレ。防具」


「あ、ありがとう。それにしても緊急クエストってなんだと思う?」


「さあな。ただ緊急と付くぐらいなんだから急いで対処しないと不味い事になるんじゃないか?」


「そうね……ってなんだか外が騒がしくない?」


「ん?言われてみればそうだな。窓から覗いてみるか」


 そうして、外を見てみると上から火の粉が降り注ぎ、他のプレイヤー達が逃げ惑っているのが分かった。


「これは…ヤバイぞ、アカネ。多分俺達も逃げた方が良い。恐らく直にこの街は火の海になるぞ」


「え!?それなら早くここから出ないと!行くわよ、トウヤ!」


「ああ!確かここの近くに河が流れていたはずだ。ひとまずはそこを目的地としよう」


「そうね。そうと決まれば行きましょう!」


 そう言ってドアから逃げようとするアカネを抱きかかえる。


「へ?な、何するの、こんな事してる場合じゃ…」


「窓から飛び降りるぞ。しっかり捕まってろ、舌噛むぞ」


「え?ちょっと待、キャアアアーーー!」


 アカネを抱えたまま先程開けた窓を飛び越え、地面に落下していく。そして両足でしっかりと着地し、そのまま駆け出す。


「そういう事をするなら、もっと早く言っ、て……」


「?どうしたアカネ。急に黙って」


「なに、アレ」


「は?アレってなんの…」


「アレよ!アレ!空に居るあの化け物!怖い、燃えてる、焼ける、皆アレに焼き殺される…」


「お、おい、本当にどうしたアカネ!皆焼き殺されるってどういう…」


 アカネが突然支離滅裂な事を言い出した為、俺は一度止まって上空を見た、アレを見てしまった。

 …其れは炎の塊だった。遥か上空から燃え盛りながらこの街に向かって落下して来ているのだと理解した。周囲に炎を撒き散らしながら圧倒的熱量が近づいて来ている。あんなモノを前に、たかが河程度で防げるとは到底思えなかった。恐ろしい、畏ろしい、怖ろしい。アレは自分達、人間ごときにはどうしようも無いと本能に訴えかけて来る。


[精神対抗判定:対象の持つ“伝承 ダイクウシュウ”により“隠れ特性『日本人』”の所持者にペナルティが発生します。精神対抗判定:失敗。状態異常:原初の恐怖『火』が発生します]


「か、『鑑定』」


 怖いモノ見たさとでも言うのだろうか、本来なら届かないという事も忘れて俺はアレを咄嗟に鑑定した。


『集■■秘 ファ■テ■■』


H? ■■%■?/?■ァ漣■ MP ???

弱ェ:■使、混?ァ、鉄

見るな 聞くな 語ルな 知るナ スベて ワスレロ


 そこからはもう無我夢中で走った。初日にゴブリンの群れに追いかけられた事なんてあの化け物に比べれば何百倍もマシだった。とにかく走って、走って、気が付けば河のほとりにアカネと共に居た。


 街の方を見るとアレが大地に落下しようとする直前だった。猛烈に嫌な予感がした俺はアカネを抱きしめ、河に飛び込んだ。



[………神秘との邂逅を確認。条件達成。メインクエスト『伝説再現・天より齎されしは文明と破壊』が開始されました]

TIPS 緊急クエスト『神火は天より降りて人世を焼く』


発生条件:10人以上のプレイヤーが一箇所のセーフティエリアに連続で24時間以上留まる。


攻略情報:“集合神秘 ファイティア”は“伝承 ダイクウシュウ”、“伝承 ソドムゴモラ”、“伝承 クトゥグア”等の集合体である。

戦闘中は一定時間毎に[精神対抗判定]、[生命対抗判定]が発生し、失敗すると戦闘が続行不可能になる。

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