「紅白戦」
試合開始時間は夕方になり、練習場のナイターに灯りがともる。
お互いがストレッチやキャッチボールを行いこれからの試合の準備を行っていた。
「それじゃあ開始します」
審判を行う監督のマイケルから集合の合図とともに選手が整列する。
「よろしくおねがいします!!」
両チームの選手が礼を行い、ベンチと守備位置に分かれて散った。
『それでは紅白戦を行います!!』
アナウンスはいきなり現れた放送部が行う。
『まず守ります紅組は、
ピッチャー松室くん
キャッチャー柳くん
ファースト裕馬くん
セカンド橘くん
ショート青砥くん
サード黒田くん
レフト藤真くん
センター新田くん
ライト若林くん』
下関城北高校に勝利したこのチームが紅組になる。
各選手の名前を聞くのも森川たちにとっては初めてだった。
『攻撃します白組は1番ショート林くん』
森川に話かけてきた林は白組の核弾頭だ。
坊主頭で身長も170cm
ザ・野球部のイメージそのままだ。
左打席に入る林
「お願いします!」
審判のマイケル監督に挨拶をして構え始める。
ピッチャーの松室はオーソドックスな右投げ投手。
球速はMAX135kmぐらいをスピードガンは表示していた。
ゆったりとしたフォームから繰り出される直球が球速表示以上に速く感じる。
そして程よく荒れるボール。
一球も振ることができず見逃し三振。
うなだれるように林は打席からベンチに戻っていく。
『2番セカンド氷川くん』
林と二遊間を守る相方。
喜怒哀楽が表に出ずクレバーに野球をこなす。
身長は180cmの大型内野手でもある。
「くっ」
威力がある直球にバットは当たるものの前に飛ばない。
ここまでファール2つ。
もう一回直球を待っていた氷川に対して
松室は大きく曲がるカーブを投げ見逃しの三振に切って取る。
『三番センター森川くん』
ネクストバッターサークルから見る直球はそんなに速く感じなかったが、
どうやら打席に入ると違うらしい。
いつもよりバットを短く握り、打席に入る。
「ほぉ~短く持つか」
監督のマイケルが森川の姿を見て感心する。
森川は松室が投げた直球に力負けせず、
打球を前に飛ばす。
流し打ちした打球は三遊間へ。
普通のシフトなら抜けるはずだったが、
ショートの青砥はサードよりのポジションに守備位置ずらしていた。
青砥はなんなくボールをキャッチし、ファーストへ。
スリーアウトチェンジ。
打ち取られた森川は走りながら気づいていた。
一二塁間が広く空いていたことに。
相手チームは森川が松室の直球をひっぱれないとわかっているようだった。
「守備まで整備されているのかよ・・・」
森川は紅組のレベルの高さに驚いていた。
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