バレンタインデイ撲滅委員会爆誕! 非モテ男子諸兄に捧ぐ、悪しき義理人情チョコ撃退法!
2月14日といえば何の日か?
聞くまでもなく、大概の人がバレンタインデイだと答えるであろう。
意中の人に、想いを伝える日。
最近では家族や親しい人に感謝を伝える日であるとされていることも多いが、若者を含む多くが前者のイメージを抱いているのではないだろうか。
かくいう筆者も小学生の時分、周囲の有象無象の男子よろしく、前日から尿意を催したかの如くソワソワしだし、当日ともなれば少し早めに登校して下駄箱や引き出しの中を確認し、何もないことに「ま、まあきっと休み時間に…」なんて自分自身を慰め、周囲のイケメソがチョコ沢山もらってるのを尻目に「いや、きっと照れいてなかなか僕に渡せないんだ!」とかなんとか言い訳じみたことを心の中で繰り返し、終礼の時間になっても何もないことに半ば失望感を覚えつつ、まだ希望は潰えていないと藁にも縋る思いで、用もないのにわざと放課後に居残りし、本当の最後の最後にもう一度下駄箱を確認したけれど、やっぱり「やっぱりなんもないじゃーん!」とガッカリし、帰ってから母親から憐れみの眼差しと共に某有名企業のチョコをもらうという経験をしたわけであーーる!!
もちろん、翌日に友人から「チョコいくつ貰った?」という問いに対しては、「1個(お母さんの分もカウントして)」と答えるのはもはや毎年恒例のことであーった!!
そんな非モテ期がトラウマになってこんな反バレンタインを僻み根性で書いていると思われるかも知れないが、まあそれは半分は正しい!!
これは非モテ男子に対する公開処刑と言ってもおかしくないイベントであり、ぼっちクリスマスと並ぶ「リア充爆発しろ」案件ではある!!
しかーし、筆者も下の毛も揃ってないそんな頃からだいぶ月日を経て、一応はそれなりに上の毛が抜け落ちた大人になってしまった!! 悲しいけれど、これ老化なのよね!!
あのバレンタインデイのワクワク感は薄毛の侵攻と共にとうに消え去り、もはや形骸化したこのイベントに終止符を打つべくして、今この時より立ち上がることを決意したものであーーる!
というのも、筆者が働いてきた職場は女性が非常に多い!
女性が多い職場ならば羨ましいと思われるかもだが、そのほとんどが筆者よりも年上のお姉様方である(既婚者どころか、成人したお子さんを持たれている方が大半の)!!
そして毎年、毎年、憂鬱になるのがこの2月である!!
重度の花粉症に悩まされはじめることにつけ加え、この2月14日の悪しき習慣!!
社会的儀礼もしくは義理人情で渡される貯古齢糖!!
それも「○○さんにあげたから、○○くんにもあげなきゃ悪い」とかいうよくわからん理屈で、お世話もしてないし、お世話になってもない他部署からもなぜか送られてくる!
貰えるだけ感謝すべきだろう…そう思われるかも知れない。
“貰えるだけ”なら、確かに筆者は甘党であることからしても、素直に感謝を述べて快く受け取る!!
しかしながら、このバレンタインデイというものは、対となっている儀式があーーる!!
それが3月14日のホワイトデイだ!
そう! バレンタインデイに貰った以上、返礼せねばならない!
貰ったら返すのが日本人の精神であるが故に、これはもうどうしようもない!
どこの大馬鹿三太郎が言い出したかわからないが、なにやらバレンタインデイに貰ったものの3倍の値段で返礼せねばならぬなんてルールまである模様!
まあ、実際には義理に3倍の物をお返しするのはいかんせんキツイ!
筆者は3倍速で動く赤色をしたエースパイロットではないのだからして!
「あら、3倍の物じゃないのね」と嫌味を言ってくる性格の悪い鬼婆は無視するとしても、受けたくもないのに受けた恩義としても、やっぱり返せねばならない!!
そんなに嫌なら返さねばいいだろうと思われるかもしれないが、女子たちが集まる給湯室で「あの人、お返ししないのよ」「いやね、貰うだけもらって」「貧乏くさいわね。結婚相手も見つからないわけだわ」「きっと童貞よ。ハゲ童貞よ」とか言われるのはなんともかんとも腹立たしいではないか!!
最初から貰うのを断るという方法もなくはないが、「せっかく用意したのに貰ってよ。いらなきゃ捨てて」などと言われては返す言葉もなく、無難に断れたとしても、給湯室にて「俺君(筆者のこと)さんにチョコ貰ってもらえなかったわ。非モテのハゲ童貞のくせに生意気よね」などという、お局様の口コミにてそのような風評が広まることにより、筆者に淡い恋心を抱いている可能性のある新入社員の女の子 (ユカリちゃん)に「あ。俺君さんにあげても貰えないのか…クスン」などという想いをさせてしまうのは、なんとも忍びなく申し訳ないではないか!
しかしかといって、大嘘ぶっこいて「甘いの苦手なんですよね」なんて言った日にゃ、たまに上司が買ってきたバームクーヘンや、お客さんがくれた栗最中などに、筆者が二度と会社内で手を出せなくなる危険が大だ!
とくに栗最中などは甘党の筆者の大好物であるがゆえ、最大級の苦痛を味わうハメになる!!
おのれ、バレンタインデイめが!!
お返しありきで考えても、かといって安っぽいものを送ろうものなら、やっぱり陰口を叩かれるわけで、せめて同等品を送ろうと思っても、昨今のチョコレートはどーんなに安くとも324円から540円はする!
そして彼奴らは必ず購入店を探し当て、「はん。540円なのねぇ…フ〜ン」と言うに違いない! 給湯室で筆者の株は下がる一方である! そんで仕方ないからと、ちょっと包装された良い品だと、だいたい864円以上だ!
これが仮に10人からチョコを戴いたとして、864円×10で8,640円の大出費だ!!
8,640円あったら、筆者の10年履き続けている下着を取り替えることだってできる!
そしてお小遣い制のパパ諸君ならばなおそうだろう! 8,640円あったら飲みに行けるし、パチ屋にも行ける!! 短時間コースなら格安のオッ○ブも行けるじゃないか!!
年末の12月、年始の1月と出費が重なり、ようやく支出の分を取り戻しつつある3月にこれはキツイ!
いやはや育毛剤と花粉薬に散財している筆者からすれば、まさにヤバタニエンであーーる!!
と、ここまで前置きが長くなったが、とどのつまり筆者が言いたいことは、『縁もゆかりも無い人にチョコなんてやるな!』ということであーーる!!
恋人でなくとも大事な人に贈り物をする素敵な日であることは認めよう!
しかーし、1週間具合が悪くて休んで出勤して「あれ? いなかったっけ?」なんていう興味すらない相手に、行事の義理人情で猪口令糖なんて贈らないでもらいたい!
別にお返しがしたくないから言っているわけじゃない!
もちろん本音じゃ金は使いたくないが、それよりも面倒なのはお返しをするタイミングが1ヶ月後という微妙なタイミングなのだ!!
そんなもの時間経ったら忘れてしまうでしょうが!
男って生き物は、基本的に親兄弟の生没年月日どころか、下手をしたら自分の名前すら忘れてしまう危険性のある生き物なのだ!!
付け加えて言えば、いちいち貰った人の名前を何かにメモって、休みの日に返礼チョコなど買いに行くのも大変面倒である!!
さらにさらに言えば、重い思いをして千代古令糖の詰まった紙袋を職場まで運び、チョコをくれていない女子がいなくなるタイミングを計りつつ、こっそり渡さなきゃいけないのが非常に面倒である(なぜかチョコをこっそり渡されたんで、こっちも同じようにしなければならない雰囲気がある。それができないと空気が読めない男の仲間入りだ)!
うーん、すこぶる面倒!
どちゃくそすこぶる面倒!
仕事も面倒なのに、仕事以外のことに頭も金も使わなきゃいけないなんて!
男が貢ぐときなんて下心がある時に決まっている! もしくは推しのアイドルのために金を使った方がいいに決まっている!
なにが悲しくて社交儀礼や同情心で貰ったものに、こんなにも苦労して返礼しなければならないのか!!
まさに“余計なお世話”こそが、このバレンタインデイという行事に他ならなーい!!
どうせやるならクリスマスみたいにリア充だけで完結するようにしていただきたい! 嫉妬心こそ芽生えても、懐はまだ傷まない!
そしてそんなバレンタインデイを憎むがあまり、筆者はこれよりバレンタインデイ撲滅委員会を発足したい所存であーーる!!
その活動は至ってシンプルである!
義理人情バレンタインチョコが運搬されてくるのを止めることは難しい!
従って、この出費はこの際、泣く泣く諦める他ない!
しかーし、次年度からチョコが配られるのを牽制する目的、または渡す手間を省くための筆者が考案したバレンタインデイ撃退法2種類をここで披露してしんぜよう!!
これを使い、バレンタインデイの義理人情チョコを一方的に貰って咽び泣く非モテ男子が少しでも減ることを祈念するものであーる!
来る2月14日、義理人情チョコを持った方々が御出社あそばされる!
お局様は特にブランド物のデッケーマイバックに、男子社員諸兄に送るチョコをしこたま詰め込み、そんなものより空っぽの頭に夢でも詰め込んだ方がいいんじゃないかという筆者の思いも虚しく、女子ロッカーで「もう! この時期になると物欲しそうな男子にあげなきゃいけなくなっちゃうからイヤになっちゃうわよね! ギャハハハ!」とかかんとか、若い女の子に向かってポジショントークかましているに相違ない!!
そして仕事開始早々、筆者を見つける。
そしてさり気なく渡すフリをしつつ、ちゃんと自分の好感度アップする角度(例えば部長や課長などの視界に入る様に)、嫌味にならない程度の気楽さで……
これが何よりも腹が立つ!
わざと人目に付かない様にするなら、机の影に隠れて渡すな!
部長や課長、イケメソの山形くんに目配せして反応を確かめるな!
これはつまり筆者を当て馬にして、試金石にしているのだ(昨年に筆者に低価格帯のチョコを渡し、山形くんに2ランク上の1,080円超えの高級チョコを渡したことは調べがついている)!
「はい。俺君くん。これ、義理だけどぉ〜」
と、渡してくる!
それが嫌なら2月14日に休みを取ればいいじゃないかと思われるかもしれないが、バレンタインが嫌だからと休みを取るのはどうかと思うし、もしかしたら筆者に真の好意をもってチョコを渡したいと思っている今年度新入社員のユカリちゃんの告白の機会を奪ってしまうやも知れぬ……それはまっこと忍びない!
それにお局様たちは、『ディスクの上にミニメッセージカードとチョコを置く』という必殺技がある! 筆者が休みであろうがなかろうが、彼女たちには関係がないのだ! 1週間の傷病休暇後の出社で「あれ? 俺君いたの?」なんて言われるわけであーーる!!
これの恐るべきところは、直接チョコを渡す以上の被害をもたらすことだ!!
そう! 口頭ではなかなか言い辛い、「お返しは3倍返しね♡」をメッセージカードならば気楽に発信できるのであーーる!!
もしこれを貰った筆者が「お局様。あのメッセージの内容ですが…」と追求した暁にゃ、「いやねぇ、冗談だからぁ♡」というトラップカードが発動できる上、後々で「俺君の野郎、さり気なく伝えた3倍返しの件をわざわざ聞いてくるだなんてケ○アナ小さいの確定ね! だからハゲ童貞なのよ!」と給湯器前で悪口を言われ、それがユカリちゃんの耳に入ったら幻滅されてしまう危険性が高い! これは由々しき事態!!
しっかーし、かといって今差し出されたチョコをここで断ろうものなら、お局様の逆鱗に触れ、「私のチョコが受け取れないっていうのね! 非モテ男子に対する施しを無碍にするのね!」と罵られ、『若い女からのチョコ以外は拒否するクズ男』のレッテルを貼られた上、課長や部長からのウケもよろしくなく、筆者の出世の道が寸断されることとなる!
これはいかん! ユカリちゃんと郊外の赤い屋根の小さな白壁の家に住むという筆者の10年計画が水泡に帰してしまうではないか!!
迫りくるお局様チョコ!
断りたい…けど、断れない!
どうする!? 筆者!?
頭の中で転職サイトのCMが過ぎるが、チョコが貰いたくないから転職だなんて面接で言えるもんか!
「さあ、受け取りなさい(憐れな非モテ男子)!!」
なにやら幻聴まで聞こえるが、これは間違いなくお局様の思考がダダ漏れしててテレパス能力なんてなくても察せる!
……と、去年の筆者であれば「ひーん(´;ω;`)」と泣きながら、チョコを受け取っただろう(もちろん嬉し泣きと誤解された上で)。
しかし今年は違う!!
2023年の筆者は、2022年の時から頭髪が著しく後退しただけではない成長を遂げているのだ!
華麗にその場で1ターン半し、レシートまみれの鞄に手を突っ込む!
そして硬質の物に指先が当たり、クシャクシャなレシートを散らばせながらそれを取り出す!
「ありがとうございます! では、はい! お返しです!!」
一瞬時が『ザ・ワールド』したみたいに止まる!
「な…に…」
「なにってお返しです! このバレンタインチョコの!!」
「なん……だと」
─秘技・専守防衛チョコ反撃─
ここで名刺交換の早業が役立ち、お局様の持つチョコと物々交換を実施し終える!!
ここでのポイントは、お局様の540円のチョコより若干高い648円のチョコであるところだ!!
当然、“未だ貰っていない”チョコに対して3倍返しなどできるはずもなく、そこはケアレスミスで押し通すことができる!
いや、それどころか、現品がそこにあることで、「お局様より高いチョコをこっちは事前に用意してたんですが…」というマウントを取ることが可能なのであーる!!
手痛い出費! しかし、来年返礼チョコがなくなる可能性や、3倍返しをしなくてもよくなることを考えれば、妥当な先行投資と言っても過言ではない、まったくもって有意義な出費であーーる!
よーし! 宿敵お局様はここで倒した!
あとの問題はこの件を知らん有象無象ばかり!
「俺君さん。はい、チョコあげるよ」
「はい! ありがとうございます! 返礼チョコは給湯室にありますので、勝手に持って行って下さい!」
「は?」
「返礼チョコは給湯室にありますので、勝手に持って行って下さい!」
「は?」
毎年義理チョコを戴いている身、2023年に何個の義理チョコを貰えるかなど、筆者が苦心して身に付けた統計学を用いれば簡単に算出できる!
そしてホワイトデイに気を遣って返す必要のない、これぞ……
─秘技・設置型チョコ反撃─
で、あーーる!!
もちろん、「なんだ、コイツ…」という顔をされるのは仕方ない!
しかし、その場合にはこの手がある!
「え? いま、男からチョコあげるってのもあるんですよ〜」
「友チョコとかご存知ない? あっらー、SNSとかやらない人なんですかぁ?」
「人から物貰って1ヶ月後に返す…人としてどうかと思うオイラです」
論破! 圧倒的論破!!
そしてなおかつこれの素晴らしい点は、「バレンタインデイ反対!」とか言うと、世の中の商戦期待している製菓業界にご迷惑をお掛けしてしまう!
迷惑系なろうエッセイとして営業妨害も甚だしいと危惧するものである!
経済とはお金を回してなんぼである!
健全な経済消費を滞らさせるのはバレンタインデイ撲滅委員会の本意ではない!
しかし、これだとチョコを買うことで、むしろ製菓業界に貢献していることになるのであーーる!
余ったチョコは自分で食べればいい!!
甘党の筆者はチョコレートが好きだ!!
嫌いなのは、恩着せがましい“義理人情チョコ”なのであーーる!!
バレンタインだから、ホワイトデイだから…そんなとってつけた理由でチョコを買うな!
毎月買え!
ケーキだってそうだ! 誕生日だからクリスマスだからといってイベントのために買うんじゃない!
下手な理由などつけず、甘いもんが好きなら買え!
健康被害がでない範囲で健全に購入することを推奨する!
そして義理人情チョコに終焉を!!
恩着せがましく、見返りを求めるチョコは不健全以外のなにものでもない!!
さーて、これで後顧の憂いは断った!
本題へと参ろうではないか!!
「さあ、ユカリ氏! 私に健全なチョコをプリーズ!」
「え? 俺君さんに? いや、用意してないんですけど…」
「え?」
「逆に聞きますけど、なんで好きでもない人にあげなきゃいけないんですか?」
「……」
「あ! 山形さーん♡ チョコ受け取ってくださーい♡」
「……(´;ω;`)」
☆☆☆
「よし! これで今年のバレンタインデイは完璧だ! エッセイも書いた! 多くの賛同者を得て、拙者もインフルエンサー、時代のパイオニアになるでござるよ! デュフフフッ!!」
「バカなこと言ってんじゃないわよ!」
「は、母上!?」
「仕事もしてないくせに、バレンタインデイの対策なんて考えて何になんのよ!! この親の脛齧り野郎が! 甘い汁(チョコ味)吸うのはもうおしまいだよ!!」
「そ、そんな…も、もっと甘く! 息子に愛情を!! バレンタインデイ間近なんでござるからして(´;ω;`)!!」
「2月14日までに仕事を探してきな!」
「そんな殺生な(´;ω;`)!!」
「これが母ちゃんからのバレンタインデイのプレゼントだよ! ホワイトデイには自分の初給から3倍返しでなんか母ちゃんのために買ってきな!!」
「……うっうっ(´;ω;`)」
─完─
念の為に申し上げますと、これは筆者の実体験を面白おかしく創作を加えて脚色したものです。
お局様もユカリちゃんも実在しませんし、モデルとなった人物もおりません。
しかしバレンタインデイ撃退法の内容は実は本当に試したことがあり(お返しというより、先手を取ってこっちからチョコを配るって感じでしたが)、やったことで白い目で見られたのでオススメはしません。やるならば自己責任でお願いします♡
義理チョコでも貰ったら感謝して、ちゃんとホワイトデーにお返ししましょう♡ それが人間関係を円滑に保つ秘訣です!