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第8話 縁談

 ボクに縁談が舞い込んできた。将軍候補なんだし、そういう話も当然持ち込まれるよね。


 前世の知識では、ボクのお嫁さんが誰だったのかは分からない。確かなのは男子を残せなかったということだ。


 跡継ぎのことを考えると、自分でお嫁さんを選んだ方が良い気もするけど、富子伯母さんが持ってきた縁談だ。拒否できるはずがない。ボクの正室は確定してしまいました。


 富子伯母さんが薦めてきたお相手は、彼女の姪。つまり、ボクにとって従兄弟にあたる人だ。随分と血が濃い結婚のような気もするけど、ボクごときでは逆らえません。承諾しましょう。


「伯母上、相手はどのような方なのでしょうか?」


「少し年齢が離れているけど、良き夫婦になると妾は思っております」


「離れているというと、十五歳くらいの女子でしょうか?」


「いいえ、九歳にございます」


「離れすぎですよ!」


 思わず大声が出てしまった。日野家に適齢期の女性がいないのかな?


「もう少し大きくなるまで、日野のお屋敷で育てて下さいませ」


「童が大きくなるのは、あっという間ですよ」


「では、育った折に正室として迎え入れられるよう、きちんと支度しておきます」


 取りあえず、将来的にもらうと約束をしておいた。


 お嫁さんを紹介してくれたってことは、富子伯母さんはボクを支持しているということだ。年齢はさておき、ありがたいと思わなきゃ。


 世継ぎのことについては、側室を置いて何とかするしかないかな。世継ぎの男子が必要になるわけだし。これには母親の血筋も大切で、良家の娘が母親でないと将軍職を継がせるのは難しい。どこかの公家の娘さんをもらおうかなと思っている。


 ……何故か女装した政元の顔が思い浮かんできたので、全力で頭の中から消し去る。


 正室決定の話は、当然うちの親父様の耳にも届いている。富子伯母さんとの関係が相変わらず微妙なので反対してくるかと思ったが、意外にも異議を唱えてこなかった。


 ただ、親父様がこぼした一言が妙に引っかかる。


「日野の女子は大変だぞ……」


 ちょっと待ってよ。ボクの記憶の中だとお袋様は物静かな女性なんだけど? ひょっとして子供が知らない所で、夫婦間で色々あったの?


 富子伯母さんみたいに超強烈な女性を正室に迎えたら、ボクは尻に敷かれちゃいそう。ヤダー。

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