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第48話 力攻め作戦

 夕刻。ボクは葉室光忠を呼び出した。


「よくぞ参った。内密の話がある」


 既に人払いを済ませているので二人きりでの会話になる。


「昼間に右京大夫(細川政元)と話をしたのだが、どうやら箕作山城と長光寺城を力攻めする腹づもりのようだ」


「――なんと、右京大夫殿らしからぬ考えですな」


 光忠が目を見開く。


「あの二つの城は、喉に刺さった魚の小骨のようなものだからな。早めに取り除いておきたいという気持ちは分かる」


「ふうむ、右京大夫殿は此度の近江攻めで失態が続いているので、どうにかして汚名をそそぎたいというのもあるのかもしれませぬな」


「彼奴は手始めに長光寺城へ朝駆けを仕掛けるとのことだ」


「まさか明朝にございますか?」


「さすがにそこまで急な話ではない。しかし数日のうちには行われる」


「まだ日取りは決まっていないのですか」


「決まり次第そなたには伝える。さて――」


 ボクは床に地図を広げた。そして、作戦の詳細を伝える。


「長光寺城への攻め手は安富筑後守が受け持つ。夜のうちに兵を動かして攻め込む」


「安富殿を送り出すとは並々ならぬ気合いですな」


「その間、空になってしまう金剛寺は右京大夫が入る」


「――右京大夫殿がそんな所にいて平気なのでしょうか?」


「余もそう言ったのだが、彼奴自身が前に出たがっていてな。まあ、筑後守も長光寺城攻めが終わったらすぐに戻るから短い間だけだ。大事ないであろう」


「左様にございますか」


「長光寺城を落としてしまえば、箕作山城もすぐに落ちるはずだ。あとは甲賀の山奥でどう六角と戦うかだけであるな」


「少々急いている気もしますが、当面は京兆家の働きに期待しましょう」


「そろそろ暗くなってきたからここまでにしておくか。今の話はゆめゆめ他言することなかれ。余と権大納言(葉室光忠)、右京大夫、あとは数人くらいしか知らぬことぞ」


「もちろんにございます」


 光忠が深く頭を下げた。

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