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第11話 小川殿事件②

 親父様が暴走する前に手を打っておいて良かった。親父様ったら本当に家来衆に命じて、小川殿を破壊しに行かせたのだ。


「よくぞ、小川殿の破却を止めてくれた」


 ボクは目の前の相手にねぎらいの言葉をかけた。


「いやはや、あらかじめ手勢を置いておいて良かったです」


 そう言って返してきたのは、細川之勝ゆきかつくん。細川讃州家の当主です。年齢はボクより二つ下の二十三歳。彼が配置していた兵が、親父様の放った屋敷破壊部隊を追い返してくれたのだ。


 讃州家という名前だが、讃岐国(香川県)の守護ではなく阿波国の守護である。官位が讃岐守だから讃州家だ。ややこしいが、代々そうなっているのだから仕方がない。


 ボクの前世知識では、彼が誰なのかサッパリ分からない。阿波の守護ってことで、史実通りに進むとボクと大きく関わる存在になりそうではある。ボクは最終的に阿波に流れていくわけだから。


 現時点でも仲良くなれているし、生涯に渡って付き合っていくのかな? この子、ボクのことを慕ってくれるので、弟分ができたみたいで嬉しい。徹底的に可愛がってあげたい。


 どんどん贔屓して政元の対抗馬にしようかな、ってことまで考えていたりする。あの女装男子を追い落として、之勝くんを細川家のトップにしてしまう。我ながらなかなかに素晴らしい案だと思っている。


 ただ、分家筋ということで周囲の反発も予想される。この辺りは将軍様の力で押し切りたい。之勝くんを持ち上げておけば、明応の政変は起こらないだろうし、幕府の運営に細川家の力を借りることが容易になる。まさに良いことずくめ。


 話を戻して小川殿を巡る揉めごとだけど、取りあえずは収まりそうだ。之勝くんと政元が交代で小川殿を守ることになったからである。政元は動かないかもと思っていたけど、小川殿は京兆家の所有物だったわけだしさすがに無視はできなかったか。


 こうなると親父様も屋敷の破壊を諦めざるを得ないだろう。


 心配なのは、このままだとうちの家来衆が父親派と息子派に分かれてしまうかもしれないということだ。早いところ親子仲直りをして家中分裂を回避しておきたい。ボクたち親子は仲良くやってきたわけだし、そんなに難しくないだろうけどね。

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