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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
94/116

94 捜査に何も進展がない

私が前回、永野とマユミの関係を話さなかったことについて、別に非難もせず、藤山はいった。




「あんさんから何でもかんでも教えてもらおうというのは、虫が良すぎますさかいね。あんさんも商売なんやからね。




で、こっちは警察なんやからね。警察は警察で調べますよ。わては大田みたいなことはいいません。




で、この手紙の通りとすると、永野先生は悪魔や、何ちゅう先生や、ということになりますな。




しかし、こんなワープロの手紙、本人の書いたものかどうか、わからへん。ひょっとして、篠原のさしがねか何かで書かれたとにらんだわけで


すか?」




「ええ。なぜ篠原がそんなことをしなければならないのか、そこのところの詰めはないんですがね。その可能性を考えたわけです」




私は続けた。




「実は、私は、殺し屋と名乗る男から、この事件から手をひけといって、何度か脅迫されています。




その殺し屋が現れたタイミングから見て、篠原がそいつを雇ったとしか思えないんですね。それで、篠原がこの事件の黒幕ではないか、と私は考えた」




「殺し屋?」




「ええ。昨日も、そいつらしい男に出くわしました。篠原の病院で。私はますます、この殺し屋と篠原には、何らかの関係ありと感じた」




「なるほど」




「しかし、ご承知の通り、この手紙の予告とは異なり、マユミに続いて殺されたのは、河合でした。河合は、実は篠原の息子です。




この手紙が篠原によるものだったとして、結果は食い違った。予定が何か狂って、そうなったのか?




篠原が、いくら冷酷な人間で、息子と絶縁状態だったとはいえ、実の息子を殺せるものかどうか。仮に殺せるなら、一体その動機は何か」




「そこらへんを知ろうとして、篠原のとこへ行ったわけですか」




「そうですね。勘に基づく調査に過ぎませんが。というかまず、篠原という人間をもっと見極めようとした、ということでしょうか。




そして、今度は、その篠原が殺された。これは全く予想外でした。さすがに、今度は内田は自分の仕業だとはいいませんね。




警察にいたんですから。警察が立派なアリバイを証明できてしまう」




「困ったもんや」藤山はため息をついて、いった。




私はきいた。




「内田はその後、何かいいましたか。いえ、もちろん、差し支えのない範囲で結構ですが。何もいえないなら、何もききません」




「何もいえまへんな。いえ、何も隠すわけやなしに、何も捜査の進展がないんです。恥ずかしい話ですが」




藤山は実に正直に、捜査のことをべらべらと喋った。




こんなに正直に、何もかも喋ってはまずいのではないかと私は思った。




・・・・つづく

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