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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
91/116

91 しかし癪だ

私は病院の駐車場まで急いで戻った。




未来派の建物に明かりが灯りはじめているのを睨むような目で見上げた。篠原の部屋のある辺りを見て、ばか野郎、とつぶやいた。




副医院長室があるのは、ビルの最上階に近い。周囲でこのビルに匹敵するのは、病院に少し遅れて建ったすぐ近くのホテルくらいなものだ。




篠原の部屋は、そのホテルのスイートルームがあるだろう階と同じくらいの高さのところにあった。




2つの建物を見比べて、どちらがホテルでどちらが病院なのか、見分けがつかなかった。ふざけた病院だ、と私は思った。




これが市民病院だって?




こんなホテルみたいな病院を市民の誰が望むもんか。税金の無駄使いをしやがって、おまけにあの、冷酷人間が副医院長だ。




私は考えるうちに、腹がたってきた。そして、あのかまきり顔のキラーのことが頭に浮かんだ。さらに腹がたった。




車に乗り込み、周囲を注意しながら車をスタートさせ、オフィスへの道をまっしぐらに走った。




・・・・




オフィスに辿り着き、机の引き出しの護身用の武器をポケットに入れて、キチンへ行き、コーヒーをブラックで入れた。




留守電の録音を聞き、パソコンの電子メールを覗いてチェックした。パソコンには、彼あてに一枚の写真が電送されていた。




山手情報商会から送られたものだった。




それは、光聖学園高校の卒業写真だった。200人が一同に集まって、あの校舎の前で整然と並んでいた。




モニター画面の画像は、かなり鮮明だった。金のかかっている写真なのだろう。内田の顔を発見した。ひときわ目立つ美少年ぶりだった。そして、河合の顔も判定できた。




生徒たちを挟むようにして教師たちも写真に写っていた。高校の教会で聞き取りをした教師の顔が見えた。




問題の永野は、どの教師だろうか。




今まで聞いた話を総合して、永野らしい人物を判定しようとしたが、それらしい人間が3人はいた。




学校の教会室で会った教師の隣に、そのうちの一人が立っていた。これが永野だろうか?




永野周辺について、警察にももっと動いてもらって調査を進める必要があると私は思った。




そう考えながら、写真の顔たちの上に、視線を滑らせていった。すると、どこかで見たような顔を発見した。




似ている、と私は思った。しかし、他人の空似かもしれない。






私は再びキチンへ行き、コーヒーをもう一杯いれた。




ソファに座って、コーヒーを飲みながら、やはり、篠原をもっと追及する必要があると考えた。




大田には癪だが、今日の事件を含めて、再三に渡って命をねらわれたことを話して、警察の力で、その線から篠原をねじ上げて行くしかないかも知れない。




しかし癪だ。真紀子にも申し訳ない。




・・・・・つづく

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