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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
9/116

9 魅惑の青年

「はじめまして。玖村と申します」




私は名刺を差し出し、お辞儀した。




「探偵?」




名刺の肩書きを見て、相手の男は声をあげた。




男、というよりも少年と言った方がいい、幼い顔つき。美少年だった。




ここは横浜理科大学のキャンパスのすぐ近くの喫茶店。窓からは大学の正門へと続く並木道が見える。




それを背景にして、彼の差し出した名刺に見入るその少年がいる。




私と向かい合って、喫茶店のテーブルに腰掛けたその美少年は、名前を内田久といった。




「実は、影山マユミさんが行方不明で、その調査をしているんです」




「マユミ。マリンクラブの」




「ええ。1か月ほど前からです」




「そうですね。ふっとやめてしまったんですよね、お店」




「お店には、よくいらっしゃってたときいてまして、何かご存じじゃないかと思って」




「いやあ、それは、こっちが聞きたいです。どうしてやめてしまったのか」




「何か深刻に悩んでいたとか」




「ええ」




内田は黙って窓の外を見た。




「内田さん、学生さんですよね、大学院の」




「そうです。へえ、さすがは探偵さんだ、調べはついてるんだ」




「海洋生物がご専攻ですね」




「ええ」内田は少しいやそうな顔をした。




いやそうな顔をしても、また別の魅力を感じさせる美しい顔だった。女性なら、こんな男にはきっと一目惚れしてしまうだろう。




体つきはどちらかというと、痩せ型だが、テニスやボクシングといった瞬発力を要求されるスポーツにはうってつけな感じの体格だった。




大学院生というだけあって、表情には利発さが感じられる。馬鹿な二枚目というのとは違う。




「マユミさんのことは、僕も心配してたんです」




「と言いますと?」




「店には何度か行ったんですよ、復帰してないかと思って」




「いつも指名されてたそうですね」




「ええ。趣味が合ったんで」




「海の関係」




「まあ」




「海の詩とか」




「海のイメージの店でしたからね。最初は社会人の友達といっしょに、シャレで行ったんですが、あのマユミに会ってからは、一人で通っちゃった」






・・・・・つづく

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