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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
85/116

85 幽霊か

「重要かどうかはわからない。かなり大切とは思うがね」と私は答えた。




藤山はまたうめいた。




「永野先生?そんな関係者がおったんですか。そして行方不明?ふうむ・・・」 




また天を仰いでしまった。誰に聞くでも無く、いった。「その人もことも調べなあかん?」




私はいった。「いずれにせよ、警察の調べでも、内田が真犯人とはいえないわけですよね、マユミの件でも河合の件でも・・・」




「そうです」藤山が答えた。




私はきいた。「河合の親御さんとは、お話しされましたか」




「ああ」大田が答えた。




「河合の母親はもう2年前に亡くなっててね。離婚した父親に聞き込みにいったよ。医者だ。ここでも、おまえに先を超されてたなあ。




おまえのことも、いってたぞ。変な探偵が聞き込みに来たって、ひどく迷惑がっていた」




私はきいた。「素直に警察に会ったか?」




「素直かどうか知らないが、会ったよ」大田はいった。「だが殺された河合正利については、もう、あれは親子でも何でもないから、関係ない、と、こうだ。




にべもなかったぜ。河合は、中学生になった頃から、母子家庭だったわけだ。かなり寂しい思いをして育っている。




あの冷たい医者が父親だったんじゃ、性格は歪んでいるかもしれんな。おまえだからいうが、女性関係もだらしないな。




身辺の人間に聞き込みもしたんだが、マユミのほかにも、他の女に子供の1人や2人つくらせてるんじゃないか?」




「そうか」私はいった。「俺はあの医者は、ひどく気に入らん」




「あの医者も、おまえのことは、ひどく気にいらん、といってたよ。俺も、気に入られちゃいないだろうね」大田は笑って、いった。




「それで一体、どうなるんですかな、この事件は」藤山が口をはさんだ。「内田は全部自分が殺ったといってますが。それは、その、永野先生をかばってるんですかなあ。永野とやらいう人が犯人ですか」




私はいった。




「それは、どうだか。実は永野という人は、すでに亡くなっているという情報も得ているのですが」




藤山は、「なに?」という顔で目を丸くした。




大田が口を開けて何か抗議しようとした。




しかし私は、それらをさえぎるようにして、「しかしどこか身近なところに帰ってきているのかもしれない。実は、「永野」と名乗る男から、電話があったんです」




「ほんま?」




藤山がまた驚いていった。幽霊かよ、という顔をして大田が舌を鳴らした。




「ええ、たまたま僕が内田といっしょにいたところへの電話でした。もちろん私は、その永野という人の声は知らない。




しかし、そのとき、内田も電話にでた。内田は、その電話の声の主が、永野本人であると確認したようでした」






・・・・・・つづく

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