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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
84/116

84 新たな登場人物

「でもまあ、いい線いってるかもしれないじゃないか。こんなもんかも知れないぜ、この事件は。真相がどうでも、あの内田が何をやってもやらなくても、社会の大勢にゃあ、影響もないだろうし」




すると藤山が大田を見ていった。




「大田くん、そんないい方はないよ。あの青年を、そんな簡単にかたづけちゃあかんと僕は思う。内田くんは、前途ある青年だよ」




「あ、いや、すみません」大田は素直にあやまった。「疲れてたもんで。いや言い訳はだめですね。すみません」




藤山はそれには答えず、私のほうを見て、聞き取りを始めた。内田を発見した時のいきさつ、そのときの彼の様子、細大もらさず私にきいてきた。




それは要領を得ない聞き方で、話は、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、先へ飛んだり、後へ戻ったりした。しかし私は辛抱強く答え、話した。




私は、きのうの大田の現場検証の結果を聞くまで、内田が真犯人であると考えていたと話した。




「いやあ、そうですな。内田は真犯人に見えますわな。内田本人も、そう考えています。殺したのは自分やとね」と藤山はいい、関連する情報を私に話した。




頭が粉々に砕けて倒れていたという河合の状況は、まだ内田には話されていない。




内田によれば、自分が鉄パイプで河合の頭を殴り、河合は倒れた。死んだと確信して逃走した。鉄パイプはどこへやったか覚えていない。




それは殺人現場の近くの芝生に投げ出されたままだった。




「殺意はあったんやろうけど、とても計画的なものとは思えません」




藤山はいった。




「動機は、最初は、あんさんにいったようなこと・・・親友やったのに、裏切られて、といってましたが、いじめへの復讐だと、いい直しました。




それで、マユミのことも、あいつの妹だから、先に殺した、といいました」




「そうですか」




「難しい事件ですわ。わたしには、何がなにやら、さっぱりですわ」




藤山は、眉をよせ、口をへの字にして、天を仰いで、うめいた。それから顔を前にむけて、いった。




「でも、がんばりますわ」




私はいった。「私には、内田が、誰かの罪をかぶろうとしているように思えて仕方ないんです」




「と、いいますと?」藤山は興味を示した。




藤山にこたえ、私は、内田の恩師で、マユミの恩人でもある、永野のことをかいつまんで話した。




大田がそれを聞いて叫んだ。




「何?また新たな登場人物か。重要じゃないか、その先生は。そういうことは、もっと早く教えてくれよ」




・・・・つづく



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