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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
79/116

79 犯行はスーパーマンの仕業

「…そうですか。すみません。いやなことを聞いて。ただ、僕はあの脅しが、ひょっとしてマユミさん殺しの真犯人が真相の発覚を恐れてやったことじゃないか、という線もあると思いまして」




「そうですね。わかります。考えてみます。そんな奴がいるかもしれない…」




「夜分遅く、すみませんでした」私はそういって、電話をきった。






丁度そのとき、パトロールカーと普通乗用車がそれぞれ1台ずつ、警察の前にすべりこんできた。




普通乗用車は私の車の前で止まり、中から男が降り立ち、私の方へやってきた。大田刑事だった。車の窓を開けて私はいった。




「ご苦労。もう犯人もつかまえてやったぞ」




大田は疲れた表情でいった。




「電話できいたよ。またあの学生か。内田君は、また警察を馬鹿にする気かな」




続けて、一気に言葉を流した。




「まだ詳しくはわからんがな。ホテルの裏庭で喧嘩らしい騒ぎを聞いたというホテルの客をつかまえたよ。そいつは、走り去る若い男を目撃している。




証言内容からすると、おそらく内田だ。内田の去ったあとには、男が倒れていた。何かで頭を殴られたらしいんだが、息はあった。




よろよろ立ち上がって、歩き出したそうだ。関わりになるのをいやがって、その目撃者は窓のカーテンを閉めた。




俺が河合の死体を発見したのは、それから30分後だ。近くに、鉄パイプが落ちてた。小さな鉄パイプだったよ。




内田は、あれで河合を殺したといってるそうだな。信じられない。




河合の頭にあれだけの損傷を、あのパイプで与えることができるのは、スーパーマンかゴードンフラッシュかアクション仮面か、とにかく人間わざではない。




…今日はこれまでだ。また明日、出頭を命ずるかもしれん。今日の通報には感謝する。あばよ」




そういうと、私の返事を待とうともせず、大田は後ろを向いて立去った。私もすぐにエンジンをかけ、その場を去った。








・・・・・






翌朝。つい寝過ごした私がオフィスに着いたのは午前10時に近かった。




留守電のスイッチを入れるとテープから中年男の声が聞こえた。




どこかの居酒屋から電話しているらしく、声の後ろで酒の注文をとる声や、食器のぶつかり合う音や、がやがやした話し声がしていた。




その騒音に負けまいとして、中年男の声も大きく張り上げられていた。その声は少し酔っ払って、焼け気味だった。




「山瀬です。宮本が見つかりましたよ。黄金町こがねちょうの愛生病院に入院していました。家賃は取りたてられそうもないですが。ひどい奴です。




畜生。マユミちゃんのことで、ききたいことがあるなら、行ってみたらどうですか。病室は303号です。僕も何度でもおしかけるつもりです」




テープはまわり続けたが、あとは何も出てこなかった。スイッチを切り、私は警察に電話して、大田を呼び出した。






・・・・つづく



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