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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
77/116

77 兄が殺された

「今日は、当番でね。おたくさん、あの女の子の亡くなりはったとき、あのホテルにお見えでしたな。」




「ええ」




「かさねがさねご苦労はんやな。大田がいつも世話になってるそうで…。今回も、ご協力ありがとさん」




藤山はいって、内田の方を見た。内田は、目を閉じたまま、黙ったまま両手を膝の上に置いていた。




「寝てはるね。またこの坊ちゃんかいな。じき、大田も帰ってくると思いますけど、時間が時間やし、今日のとこはお引き取り下さい。坊ちゃんは、こちらで預かりますさかい」




「ええ、そうして下さい」




私は藤山に頭を下げ、内田に声をかけたが、内田には何の反応もなかった。




・・・・




市警の建物を後にして、車に乗り込んだ。発車する前に、携帯電話を取り出して、マユミの母の真紀子を呼んだ。




もう仕事はひけているころだ。4回目のコールが鳴る途中で、真紀子が受話器をとった。




「夜分、申し訳ありません。玖村です」




「ああ、どうも。こんばんは。どうされましたか」




「報告です。今夜、また、あのホテルで殺人事件がありました」私は、今日あったことを手短かに話した「また、あの内田が犯人ということです。しかし、また直感をいうなら、今回は、本当に内田が殺ったという気がします」




真紀子は答えず、しばしの沈黙があった後でいった。




「マユちゃんの、兄が殺された」




彼女には、今日殺されたのが、あの篠原の実の息子だったということが衝撃だったようだ。




私はきいた。




「その、河合という男が、実は篠原の実の息子だったということを、あなたはご存じでしたか?」




「いいえ。全然知りませんでした」真紀子は強くそういった。




「マユミちゃんはどうでしょうか」




「知るはずがないと思います。私からは話したことはないし。…それとも、知ってたんでしょうか。何かの事情で…」




「わからない。しかし、お母さんの知る限りでは、そういうことはない、というわけですね」




「はい」




「実は、海の底の先生というのも調べました。内田の高校の先生でしたよ。永野さんといいます。




内田のことを、いじめから守ってやろうとしていたらしい。そのあとで、いのちの電話でマユミさんのことを知ったのです。




しかし彼はもう、いない」




「もう、いない?」




「何年も前に、亡くなったということです・・・・学校の同僚の先生の話によれば・・・」






・・・・つづく



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