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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
72/116

72 第二の殺人

男は答えた。




「今日は、さすがに防戦準備をしてるだろう。机の影に隠れて、ときどき顔を出しながら話してるな。みじめだね。手には何か持ってるかい?」




「帰れ!」私はどなった。




電話のベルが鳴った。




1回、2回、3回…。電話をとろうとすれば、ドアの向うからの射撃の的に入る。目茶苦茶にでも乱射されれば、当たらないとも限らない。




「おい、電話だよ。どうしたんだ、出ないのか。大事なお客さんかもしれないぞ。どうしたんですか、探偵さん。マユミの死の真相がわかるかもしれないですよ」




電話のベルは鳴り続けた。




「大丈夫だ。ほら、それじゃあ両手をあげよう」




ドアの向うのシルエットは両手を上げて見せた。




「これでも駄目か?じゃあ、僕は帰る。気分は上々だよ。ははは」




男のシルエットが曇りガラスから消えてなくなり、廊下を走り去ってゆく靴音がした。




私は少し迷ったが、やはり電話をとった。受話器にかじりついた。大田だった。




「なんだ、出るのが遅いぞ。人を働かせといて失礼だぞ」




「すまん。取り込み中だったんだ」




「トイレにでも行ってたのか」




「まあ、そんなところだ。それで、河合はいたか」




「部屋にはいなかったが、ホテルの裏庭にいたよ」




「無事か?」




「無事じゃない。茂みに隠れて、芝生の上に倒れて、こときれてた。まだ死後硬直は始まってないようだがな」




私は言葉を失った。




「死因は、頭部への強打だ。ハンマーか何かだろう。すごい強打だ。まるでスイカ割りのスイカだよ、これじゃあ。ひでえことをしやがる」




私はいった。「…これでまた、親子の会話がパーか」




大田は意外にあっさりと答えた。




「おかげさまでね。とりあえず、通報者への報告は終わりだ」




電話は切れた。




私は銃を手にしてドアに向かい、それを開けて廊下を見た。暗緑色の床と白い壁が見えるだけで、男の姿は無かった。




私は銃を持ち、廊下へ踊り出て、駆け出した。一目散にガレージへの階段を駆け下りた。男の姿はどこにも見えなかった。




そのまま私は自分の車に乗り、河合の殺人現場へと直行した。






・・・・・




ハーバーホテルへと向かう道の交差点にさしかかったとき、後ろの方からサイレンの音がぐんぐん近づいてきた。




私の車は交差点の赤信号で止まった。




信号待ちをしていると、サイレンが耳障りに大きく鳴りながら近づき、パトロール・カーが3台、あわただしく私の車を追い越していった。




それをやり過ごした直後、信号はまだ赤だったが、私は車をスタートさせた。




・・・つづく



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