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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
71/116

71 しつこいな

「そうか」




「わかったか?」




「わかった」




「なら、早く、車を飛ばせ、ハーバーホテルだ。河合という名の男が、そこに泊ってるのは確かだ。




ガセかもしれないが、可能性が1パーセントでもあるなら、犯罪を未然に防ぐのが刑事の勤めだろう。




息子さんには、俺もいっしょにあやまってやる。おとうさんは立派な刑事だって、ほめてやるから車を飛ばせ」




「さっきから飛ばしてるよ。もう到着だ・・・。ほら、着いたぞ。」




一瞬の間があって、大田は憎らしげにいった。




「くれぐれもいっとくがな、一般人は、運転しながら、携帯電話で話すなよ。交通事故につながる。




俺みたいなプロなみのドライバーのマネをしちゃいけない。




夜の一般道を時速100キロも出して、ぶっ飛ばしながら携帯電話で事情聴取するなんてことは、俺みたいな刑事にしか許されないことだ。




ロサンゼルスのカー・チェイスじゃあるまいし。ここはヨコハマだぞ。では、行ってくる」




電話が切れた。




私は溜息をつき、それから白けた気持ちになり、タバコをもう一本吹かした。




そのとき、ドアをノックする音がした。




ノックは強く3回だった。曇りガラスの向うに背の高い男の影が映っていた。




私はしばらくだまっていた。拳銃を手にとり、デスクを盾にして身構えた。そして口を開いた。




「はい?」




ドアの鍵は閉まっていた。ドアに近づくのは危険だと思われた。ドアの向うの男がいった。




「開けてください」




ドアの向うの男は、部屋の中にみなぎる殺気に勘づいたように思えた。




私はいった。




「どちらさん?」




「私ですよ」




そういって、男の影は少し笑った。




「また、おじゃましました。お願いがあってきたんですよ」




「また例の件かい?あなたも、しつこいね」




「あなたこそ、頑固だな。どうして真紀子から手を引こうとしないんだ」




「また繰り返しだな。真紀子さんの娘の死の真相がわかるまで、僕は手をひかない」




「まだ真相がわからないのか」




「申し訳ないが、そうだ」




「とんまな探偵だ」




男の影はいって、笑った。そして、口調を変えていった。




「人を殺すのは、気持ちいいもんだ。やめられないもんだ。今日は気分がいい。のってるんだ」




そして、また笑った。




私はいった。




「帰れよ。おまえには用はないよ」




・・・・つづく





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