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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
70/116

70 大田刑事、直行せよ

「何?なんだ、おまえか」




電話の向こうで、大田が迷惑そうに叫んだ。




「ああ、今どこにいる?」




「本牧だよ。仕事をやっと終って、子どもに土産を買って、やっと家路につくところだ」




「車の中なんだな?それはよかった。本牧か、それはよかった」




「何がよかったんだ。おまえに俺の携帯の番号なんか教えるべきじゃなかったなあ」




「仕事だよ、太田刑事。ハーバーホテルで、また殺しだ。現場へ直行してくれ。そこからなら、この時間、飛ばせば20分もかからないだろう」




私はかいつまんで、事情を話し出した。




大田はいった。




「おい、ちょっと待ってくれよ。ガセじゃないのか、それは。パソコンの電子メール?内田?第一俺は今、勤務時間外だよ。




やっと仕事が終って、久しぶりに親子のふれあいを求めて、家路につくところだ。もう4日も、子どもの眠る顔しか見てないんだ。




親子の会話がないんだよ。仕事の合間をぬって、息子の好きな、アクション仮面のぬいぐるみも手に入れたんだよ」




「善良な市民が、警察に協力しているんだぞ」




「ふん。殺し?誰だよ、河合ってのは」




「マリンクラブの客だ。マユミのなじみだったんだ」




「何?知らんぞそんな奴は。おまえ、また教えなかったな?そんな奴、警察は知らんぞ」




「とっくに調べていたと思ったんだ、いらぬおせっかいは、警察に失礼だと思ったんだ」




「何をいってるんだ。心配なら、おまえ、行けばいいじゃないか」




「だめだ。きっと、あのホテルのフロントが、俺を受け付けない。さっき電話した。あれじゃあ、だめだろう」




「ふん。河合さんか…」




「ひょっとすると、マユミの、ただの客という以上の関係があるかも知れない」




「何だって?」




「そこはまだ確証はない」




「いえよ。でないと行かないぞ」




「悪質な刑事になったな、おまえは。まあ、いい。ひょっとすると、河合はマユミの義理の兄だ」




「ふん、なるほど。それで?」




「おまえな、こういう情報っていうのは、全部経費がかかってる。有償のものだぞ」




「それで?」




「それで?」私はいまいましげにいった。「それでしかもだ、河合は内田の中学高校の同級生だ。」




「ふうん」




「内田が学校時代に陰湿ないじめにあっていたことは、おまえのご存じの通りだ」




・・・・つづく

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