表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テレフォンライン  作者: 新庄知慧
35/116

35 とんでもない奴だ

山瀬は、そんなことどうでもいいだろう、という顔をして、それには答えず、いった。




「あなた、何の用事でここに来たんです」




「宮本さんにお会いするために」




「マユミの捜査の関係ですか?」




「ええ、まあ」




「残念だったね。引っ越しちゃったからね」




「どこへ越されたか、ご存じないですか」




「わからない。宮本さんは、マユミとどういう関係なの?やっぱり、あの店の客だったのかね」




「まあ、そんなところですが。そうですか。宮本さんが引っ越されたのは、いつ頃かわかりますか」




「引っ越したっていうより、追い出されたんですよ。うちの会社で追い出したんですよ。家賃払わなかったんでね。




そうね、もう3か月前かな。ひどい奴だったよ。プータローみたいな奴のくせに、言うことはいっぱしでさ。




芸術家気取りでね。そうなのか、奴もあの店の客だったのか。とんでもないね。




そんな店にいく金があるなら、家賃を払えっていうよ、こっちはさ。あの男をこのアパートの大家に紹介したのは、うちだったからね、信用はがた落ちですよ」




「宮本さんのこと、ご存じなんですね」




「劇団にいたんでしょ。たしかに、いい男だったよね、顔だけはさ。




でも、売れない役者だったんですよ。フリーターでね。でも、いい年してフリーターはないよね。




つまり失業者みたいなもんだね」




「…実は、宮本さんは、マユミさんのお父さんだったんですよ」




「へ?どういうこと?」




「義理の父親だったんです。色々と事情があったようですが、離婚されたようです」




「家を追い出されたんだ、あの宮本は。そうか。かわいそうにね、マユミちゃん。




あの宮本が父親じゃあ、ひどいもんだね。家庭も何もあったもんじゃなかっただろうね」




「マユミさんのこと、ご存じですか」




「何ですか?」




「亡くなったんですよ」




「ええ?!」山瀬は驚いた。




「新聞にも取り上げられたんですが。扱いは小さかったです。ご存じないのは無理もありません。




ホテルの部屋で、青酸カリ入りのチョコレートを食べて亡くなりました。自殺か他殺か、まだわかりません」




「そうですか。事件ですね。かわいそうに。なんであんな子が死ぬんだ。」




山瀬の言葉は暫く途切れた。




「…で、宮本が容疑者ですか。あいつ、つくづくとんでもない奴だな」




・・・・・・・つづく



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ