第四話
先程出会ったばかりの謎の少女―晧。
晧の予言を・・・僕は、信じるか、信じないか・・・。
・・・待てよ?
こんなに悩むぐらいなら行ったほうが損にはならないんじゃ?
僕がここで信じず、行かないとして、本当だったら誰かが死ぬのか・・・。
これは確実に行った方がいいな。
気がつくと、もう走り出していた。
分からないけれど何故だか急がなくてはいけない気がして。
でも、その時僕は鬼の存在に気づかなかったんだ。
「・・・・。」
冷たい眼差しのあの瞳に。
しばらく走ると街中に出た。
あれから八分経った。
間に合っている・・・はず。
周りを見回していると一人の男の人影があった。
こんな時間に・・・人影。
アレが殺人犯か、殺される前の誰かか・・・。
・・・その人影は間違いなくこちらにゆったりと歩いてくる。
空気が・・・重い。
あんたは、誰だ?
光を背にした姿は黒く写りよく分からない。
男が足り止まり、こちらに話しかけてきた。
「アレ・・・ッ?妖花さん・・・っ!??」
この声は・・・間違うはずがない。
「・・・英輔・・・か?」
見えずらい英輔の姿を目を細めて見る。
やはり見えない。
いや、正確には見えているが反射でよく見えない・・・といった感じだ。
「どうして病室から抜け出したんですか?もう、大丈夫なんですね??」
英輔は僕に近づくと不安そうな顔を向ける。
そこでやっと英輔ということが確信した。
不器用そうで、優しい瞳、長い前髪、真っ黒な黒髪・・・。
どこからどう見ても英輔だ。
僕の容態を何度も確認する英輔に適当に返事をする。
ふと、嫌な予感がした。
腕時計に目をやる。
「・・・・しまったッ!!!!!」
思わず声が大きくなる。
くそっ・・・・!!
もう三十分も経っている・・・。
・・・手遅れか。
嫌な予感を吹き飛ばすかのように必死になって辺りを見回す。
「?どうしたんですか??」
不思議なものを見るように英輔は僕を見ている。
「話は後だ・・・。人だ・・・、倒れている人や、負傷している人がいないか探せッッ!」
「は、はいっ」
フラフラした足取りで走り出す。
英輔は僕より少し後を走っていく。
なんなんだよっ!!!!
くそっ・・・・、間に合わなかったのか!?
それとも、あの少女の嘘だったのか・・・・!!!!??
なんでもいい・・・・っ!
嘘でもいい、これ以上は誰も・・・死なせるものか・・・。