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娘は悪くない!

私…いや、俺はユーリッヒ。

エセルティ男爵家の私兵をまとめる副団長の地位に長い間いた。

前ご当主様から仕えてかれこれ20年…。

そろそろ定年を考えていた。

若い者達に託すと言うのも年長者の務めだ。

そう…そう思っていた矢先にアノ事件が起きた。


俺が仕えている男爵家には傲慢な娘が1人いる。

罵声を浴びせるのは当たり前、暴力も日常茶飯事な男爵令嬢のリリーナ・エセルティ様だ。

家庭教師や私兵、侍従、侍女を何人傷物にしクビにしたか。

前ご当主様ならすぐに対処したのに、今のご当主様は何故か静観を貫いていた。


リリーナ様が8歳の頃から侍女をしていたサリナは、リリーナ様が12歳の時に、私に口煩い事を言う、ただそれだけの理由でクビになった。

しかしサリナは、暴力をふられなかっただけマシな方だ。

2人目の侍女の時は、何処から買ったのか鞭を振るう様になっていた。

2人目の侍女はすぐに辞めてしまった。

当たり前だ、何も悪事をしていないのに鞭打ちだ、誰だって嫌だろう。


3番目の侍女は、悪い噂もあり中々決まらない。

エセルティ男爵家は不当な罰を与えられる場所として有名になりつつあった。

その間にもリリーナ付きの私兵が、イケメンとやらでは無い、と言う理由で鞭打ちしクビにし、侍従が気に入らない、で鞭打ちしクビにし、庭師もソメイヨシノという品種のサクラなる木を見つけられなかった理由で鞭打ちしクビにしていた。

流石に今ご当主様が苦言を言うが、リリーナ様は耳を貸さず、私はヒロインだから何をしても許される、そうのたまった。

反省の色がないのでご当主様が部屋から出さない罰を与えたが、その苛立ちをぶつけられたのは俺の娘だった。


ご当主様に頭を下げられた為、仕方なく、本当に仕方なく俺の娘をリリーナ様付きの侍女にした。

本当は嫌だった。

しかし、俺もエセルティ男爵家に仕える身だ。

ご当主様が頭を下げたのに嫌とは言えなかったのだ。

今の私なら間違いなく嫌だとハッキリ言っていただろう。もう、過ぎたことだがな…。


娘が日に日に窶れていくのを見て失敗を悟った。

直ぐ、娘の所に行くと既に手遅れであった。

背中には無数の鞭痕…。

血が滲み出て入れところもあった。

俺は娘に縋って泣いて謝った。

そんな事で済むわけがないのは分かっていた。

娘が気丈にリリーナ様に振る舞っていたのは俺が副団長と言う地位にいた為、リリーナの機嫌を損ねれば父に迷惑がかかると思っていたのだ。


あぁ、なんと情け無い父親だ。

娘1人守れず、何がエセルティ男爵家私兵副団長だ。

ご当主に直ぐ娘を辞めさせる事を報告し、家で養生させた。

ご当主にはすまぬと謝られたが、ご当主様が悪いのでは無い。

俺が娘をこんな目に合わせたのだ、私の判断だったのだ。

妻からは引っ叩かれるどころか離縁を申し込まれた。

私の大切な娘になんて事をしたのか…と。


しかも、娘の婚約者だった商人の跡取り息子から、背中の鞭傷が理由で婚約を破棄された。

傷物を寄越すなんて恥知らずな事をするなと、娘がいる前で罵られた。

俺は別に罵られても屁でもないが、娘がその言葉にショックを受けてしまった。

仮にも幼い頃からの婚約者に、そのような暴言を吐くとは、俺の人を見る目のなさに殆、呆れ返った。


娘は、離婚した妻の実家で部屋に閉じこもる様になってしまった。

妻が声をかけても俺が声をかけても反応が無い。

食べ物を部屋の前に置いて置くと数時間後に空の食器だけが部屋前に出されている。

取り敢えず、食べてくれている事にホッとした。


俺はリリーナに復讐を誓った。

今に見ていろ、お前をどん底に突き落としてやる…と。


今になって、妻と離婚していて良かったと思った。

仮にも貴族を害するのだ、一家縛り首だってあり得るのだから。

今なら俺1人ですむからな。


俺は副団長を続けながら、今か今かと手ぐすね引いてリリーナが落ちるのを待っていた。

そんな状態で約3年の月日がたったある日…。

私が待ちに待った日だ!


リリーナがアケルナー公爵家、ナルニーナ侯爵家、ガルシア伯爵家の不況をかったのだ。

ご当主がリリーナを修道院に入れる決断を下した。

しかも縁切りし、平民に下すと言う。


俺は嬉しくなり、その事を娘に報告しに行った。

この時、俺は既に狂っていたのだろう。

久しぶりに娘が、私の前に姿を現してくれた事も相まって酷く興奮していた。

だから娘の言葉に頷いた。

それで、娘が元気になるのなら…。

それで、娘の気が少しでも晴れるなら…。

それで、娘が笑顔になるのなら…。


「父様。私に悪いと思っているのでしたら、リリーナ様を修道院ではなく娼館にでも売って来て下さいな。出来ますか?父様……?」


俺は娘の為なら何でもするよ。

久しぶりに見た娘が俺に微笑んでくれるから…。

リリーナを地獄に引きずり落とす。


手筈は整えてあった。

俺は、リリーナを修道院に護送し終わると共に、副団長の…いや、エセルティ男爵家に仕えるのを辞める事をご当主に話した。

リリーナの護送が最後の仕事だと。

ご当主は、俺に負い目がある為に了承してくれた。


さぁ、後は修道院に届けるだけ。

修道院に届ける途中で娘の傷跡と同じ所に鞭を振ってやった。

やめて?痛い?

お前は、その言葉を言った娘に鞭打ちを辞めたのか?

お前は、その言葉を言った侍女や侍従、庭師や私兵に鞭打ちをば辞めたのか?

俺は笑いながらリリーナに鞭を振るった。


グッタリしたリリーナを修道院に届けると、直ぐに団長に、お礼と詫びを言い隊を離れた。

団長は、惜しんでくれたが俺の心に響く事はない。

団長達が男爵家に向かって帰るのを見送った。


隊から離れて直ぐ、手配してあった手筈で裏からリリーナを修道院から連れ出した。


痛みで気を失っていたのは騒がれずにすみ助かった。

妓楼が建ち並ぶ区域に行き、1番汚くて1番ボロい妓楼に売っ払った。

リリーナは教養はないが、初物で容姿も良いので白金貨5枚にもなった。

この白金貨5枚は何に使おうか?











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