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私は騙されただけだ!

私の名はカルーイ。

ただのカルーイになったばかりだ。

何故こんな事になってしまったのか分からないし納得できない。

全てリリーナが私を騙したからいけないのに、何故私まで罰せられなければならないのか。


あのリリーナが私を騙した事件から、ずっと自室に軟禁されていた。

父様と母様が助けてくれると信じていた。

しかし、ルーイン兄様が何かしたみたいで、ナルニーナ侯爵当主が父様ではなくなって、ルーイン兄様が当主になっていた。

ルーイン兄様は、私を嫌っている。

父様と母様の愛を独占し続けたからだ。

自分が愛されなかったから、ルーイン兄様は私に嫉妬している。

このままでは、私はどうなってしまうのかと心配し続けた結果……。

着の身着のまま、身一つで放り出された。

ナルニーナ侯爵家からは勘当と貴族籍を抜かれて…。

私が嫌いだからって、ルーイン兄様も酷い事をするものだ。


「どうしたら良いのだ?……そうだ!キャロルがいるではないか。キャロルに世話になろう」


良い案を良くぞ思いついた。

流石私だ。

元は婚約者だったのだ、助けてくれるだろう。


今は権力で無理矢理居座った婚約者のアルフ・アケルナーだが、キャロルは本当は私を好きなはずだ。

あの時、父様が勝手にキャロルとの婚約を破棄したがキャロルは悲しそうな顔をしていた。

私と別れたくなくてあんな顔をしていたに違いない。

今も私を好きに違いないんだ。

ルーイン兄様が家を追い出す時に、キャロルに近づくなとか何とか言っていたが気にする必要はない。




「な!私がだr「ええい!うるさいぞ。衛兵を呼ばれたいか⁈」


クソ!何と言う事だ!

私が門前払いだと⁈

さっきから、中へ入れてくれる気配すらない。

きっと、アルフ・アケルナーが支持しているに違いない。

キャロルを私に取られたくないのだろう。


衛兵を呼ばれたら困る。

少し離れて様子を見るしかない。


もう夜なのに誰も出て来ないし、訪ねて来ない。

キャロルは、いつ私に気がつくのだ?

今日は諦めるしかないか。


おかしい。

あれから2日たったが、誰も出かけないし、訪ねて来ない。

お腹が空いて辛いぞ。

キャロル、早く私を見つけてくれ。


何故だ!

あれから1週間、ガルシア邸を見張っていたが誰もいる様子がない。

しかも、見張っていたら衛兵に見つかった。

何とか逃げ出せたが、もう腹が減りすぎて動くのも辛い。


闇雲に走ったせいで、ここがどこかも分からなくなってしまった。

路地裏なのは確かだが……。

少し休むとするか。

そういえば、地べたに座るのを躊躇しなくなったな。

寝転がるのも慣れたものだ。


私はこれからどうしたら良いんだ?

キャロルは、私を心配しているだろうな。

早くキャロルの元へ帰ってあげなければ。


家の壁に寄り掛かりながら空を見上げる。


「何だ?オメー誰の許可を取ってここにいやがる⁈」


視界に5人くらいの男の集団が入って来た。

酷く薄汚れている。


「許可なんて必要ないだろう?あえて言うならば国王陛下ではないか?」


おかしな事を聞くものだ。

思わず笑ってしまう。


「ふふふ…がふっ」


すると、5人の内の1人が私のお腹を蹴って来た!

痛い何ものじゃない!

死んでしまう。

私は反射的に丸まりお腹をおさえた。


「気に入らねーな。ここは兄貴の縄張りだ!居たきゃ金だしな」


金…?

そういえば、生きてく上で必要な金を私は持ち合わせていない。

身一つで放り出されたのだから。

はは、どうやって生きていけば良いのだ?


「金など無い。有ったとしても渡さないが…がふっ!」


私が言い終わる前にまた、蹴られた。

痛い!イタイぞ。

今度は違う男の蹴りが脇腹に入った。

いだい!痛い!やめてくれ!

亀のように丸まった状態で耐えているが、5人組に蹴られ続けているせいで、意識が朦朧としてきた。



次に目を覚ました時には、目の前には青空が広がっていた。

街では無い場所に寝ているようだ。

背中に感じる感触?が石畳みのソレとは違う。

左右を見てみると草原のようだ。

風が身体を通り抜ける。

その感覚で何となくわかった。

下着以外は全て剥ぎ取られてるようだ。

寒い。


「はは、何でこんな事になったのだ?」


そう、言葉にしたはずなのにカスカスの空気を含んて声が出ない。

顔も蹴られたり殴られたりしたのだろう。

目元が腫れて、歯が何本か折れている。

鼻からは鼻血が出てるし、口の中も血が溢れている。

痛い感覚すらあまりない。

アツいんだ、寒いのにアツくて腫れぼったい。


何で?何故こんなことになっているのだ?

私は何処で間違えたのだ?


茫然自失気味にボーっとする。

身体が動き辛すぎて動く気にならないともいう。


視界に緑色の子供ぐらいの魔物が視界に入った。

あぁ、私は殺されるのか。

それなら仕方ない。

これからどうすれば良いのかすら分からないのだ。

死んでしまった方が楽だ。


ギー!ギギー!


ゴブリンどもか。

私を除きこんだのは、ゴブリン4体を率いたホブゴブリンだった。

ホブゴブリンは、動かない…いや、動けない私を徐に背負って何処かへ連れて行く。


待て!

私を殺さないのか?

巣へ持ち帰って食うのか?

ヤバいぞ!すぐ死ぬ事を願ったのに、生きながら食われるなんて嫌だ。


動かない身体を痛さを我慢しながら、動かそうとモガクがボブゴブリンの背中から逃れられない。

変に暴れたせいか、後ろを歩いているゴブリンにホブゴブリンが支持を出した。

すると、私の首に衝撃が襲い気が遠のいた。




身体の痛みで目が覚めた。

目の前に広がるのは土壁だ。

手が縛られている。

何故生きてるんだ⁈

食べられていない事に少しホッとした。


ホッとしたのも束の間、左右を見て私は血の気が引いた。

嘘だ!私は男だぞ!こんな所にいるなんておかしい。

周りにいたのは目が完全に死んでいる女達だ。

全裸で手は縛られて足は開いたまんま。

腹が膨らんでいる女もいる。

もう直ぐゴブリンが生まれてくるのだろう。

嫌だ!男の私は苗床にはならないのに!

なんでだ⁈

嫌だ!あんな生き地獄を味わうなら、いっその事こと食い殺された方がマシだ!

誰か助けてくれ!


父様!母様!ルーイン兄様!キャロル!助けてくれ!


縛られていない足を必死に動かそうとモガク。

クソ!5人組に蹴られたり殴られたりしなければ動けたのに。

私は逃げ出すのに必死で近くにいたホブゴブリンに気がつかなかった。






カルーイ・ナルニーナの短い人生は婚約破棄騒動から2ヶ月後に人知れず終わりをむかえた。

婚約破棄直後は丸々と太っていた身体だが、死ぬ間際はやせ細り、やつれていた。

毎日どんなに拒んでも襲い掛かられ、抵抗すればするほど酷い扱いを受けた。


死ぬ間際、カルーイは笑って逝った。

やっと、この苦痛から解放されると……。











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