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私、転生者ではなくてよ?

「あらあら、でしたら聖女であるわたくしの審判スキルと過去視スキルで嘘偽りがないか判断いたしますわ」


わたくしの前に名乗りを上げてくれたのは、聖女様のセインティ様でした。

この方が間に入って頂けたら、言いがかりが減りますわね。


「セインティ様、宜しくお願いします」


「せ、聖女様にお手を煩わせる訳にはいきませんわ。たかが婚約破棄で、貴重なスキルをお使いにならなくても大丈夫ですわよ!ね?カルーイ様?」


エルセティ男爵令嬢のリリーナ様は何故か嫌そうにしています。


「そうかい?聖女様が、あの悪女の面の皮を剥がしてくれるなら、有難いではないか。リリーナ?」


「ふむ。聖女様が間に入って頂けるならばアケルナー公爵としても有難いですな。後から権力を使ったなどと言いがかりされても困るしな」


カルーイとレオナルド様は賛成のようね。


「では、私が、審判スキルと過去視スキルを発動致します。証人は、この場で見ている全ての方々ですわね」


聖女様のセインティ様が祈りのポーズをすると、2つのスキルが発動された。


「審判スキルと過去視スキルを発動致しましたわ。では、発言をお願いします」


「でわ、私から言わせて頂きますわね?ご紹介致しますわ。この方は私の婚約者のアルフ・アケルナー様ですわ。私の婚約者は私が12歳の頃からこのアルフ様ですのよ。何を、どう間違って私を婚約者と勘違いしたのかわかりませんが、ナルニーナ侯爵令息のカルーイ様、私は、貴方の婚約者ではなくてよ?ですので、嫉妬でエルセティ男爵令嬢を虐める根拠はありませんし、根拠が無いのだから、虐める理由もないのです。証拠はエルセティ男爵令嬢が証言したからだと言っておりますが、エルセティ男爵令嬢様、嘘偽りなく本当の事をおっしゃってくださいな?私に虐められたのですか?」


わたくしは、にっこり笑ってエルセティ男爵令嬢をみる。


「はい、キャロル・ガルシア様の言葉に嘘偽りはございません」


聖女の言葉に、エルセティ男爵令嬢の顔は真っ青になり、ナルニーナ侯爵令息様は顔を真っ赤に染めた。


「な!キャロルの婚約者は私の筈だ!」


「先程から、私の婚約者であるキャロルの名前を誰の許しを得て言っているのかな?不愉快だ。キャロルの婚約者は5年前から私だ」


「はい、ナルニーナ侯爵令息のカルーイ様は嘘偽りを申しておりますが、アルフ・アケルナー様は嘘偽りは、ございません」


「な!嘘を言うな!8歳の時に婚約者として引き合わされただろう!」


聖女様に向かって嘘つき呼ばわりとは、ナルニーナ侯爵家は両親がいますのに、礼儀知らずですわね。

どうやって育てたら、このような思い込みの激しい方(自分に都合の良い事だけ)に育つのかしら?


「はい、8歳の時に婚約者として紹介されましたが、両親が亡くなったと報告をした12歳の時に、ナルニーナ侯爵家から婚約破棄を申し渡されました」


「はい、カルーイ様もキャロル様も嘘偽りはございません」


「えっ⁈、すでに婚約破棄をしていた?」


「はい。両親を亡くした、伯爵家を確実に継げるか分からん小娘に、カルーイを婿に出すわけにはいかん、と言われましたわ。その時、カルーイ様もその場に居たではないですか。覚えておりませんの?その後直ぐ、レオナルド様にアルフ様を婚約者にと打診を受けまして、了承致しました」


「キャロル様に嘘偽りはございません」


聖女様が私の話を固定すると、周りが騒ついた。

「酷い事を言うものだ」や「子供がああなら親も親か」など、ひそひそと言っております。

まぁ、12歳の少女、しかも両親を亡くしたばかりの子供に言っていい言葉ではないですわ。

カルーイ様は、呆然と私を見ておりますが、まだ、私の決着はついていませんわ。


「さて、カルーイ様の誤解が解けた今、エルセティ男爵令嬢様が私にかけた、虐めの罪という冤罪はどうなさるおつもりですの?エルセティ男爵令嬢のリリーナ様?」


「そ、その、…」


言い淀み、何も言わず、いえ、言えないリリーナ様の代わりにカルーイ様が出てきた。


「リリーナよ、学園で教科書を破かれたり、靴を隠されたり、ぶつかって転ばされたり、足をかけて転ばされたり、階段から突き落とされたり、街では巨漢に襲われそうになったりしたのだろう?キャロルが犯人だと言っていたではないか。姿を見たと」


「カルーイ様の話は嘘偽りです。ただ、学園で靴を隠された事はあるようですが、キャロル様は何の虐めにも加担しておりません」


わたくしの姿を見た?それは無理ではないかしら?学園にいませんから、それに、先程は、私が取り巻き?に頼んで虐められたと、言っていましたわ。いったいどういうことなのでしょうね?」


「そ、そんな。リリーナ?私に嘘を言ったのか?」


カルーイ様がエルセティ男爵令嬢に詰め寄る。

真っ青な顔で後ずさるエルセティ男爵令嬢。


「だって、キャロルが悪いんじゃない!私を虐めないから、自作自演するしかなくなったの。カルーイを攻略しないと、ルーイン様に会えないじゃない!」


カルーイ様のお兄様はルーイン様と言い、とても優秀な方ですわね。

駄目な両親と弟に挟まれながらも、領地経営をキチンとこなし、利益をあげ、どうにか侯爵家を持ち直した手腕は有名だ。

成る程、エルセティ男爵令嬢は、ルーイン様目当てでカルーイ様に近寄ったということなのね。


「あんたが、悪役令嬢をちゃんとやれば良かったのよ。私はヒロインなの!私が主人公なのに!何で上手くいかないの⁈、あ!あんた、転生者なんでしょう?だから、ザマァされないようにしたんでしょ⁈卑怯者!私はルーイン様と結婚する運命だったのに!」


私が悪役令嬢?転生者?何を言っているのかしら?

思わず首を傾げそうになりましたわ。


「悪役令嬢?転生者とはなんの事でしょうか?」


「知らないふりしなくていいわよ!転生者なんでしょ⁈じゃなきゃ、上手く行かないなんて可笑しいわ。フラグも全部回収したもの!」


エルセティ男爵令嬢は、キーッと叫びながら、地団駄を踏んでいます。

幼児でもないのに、はしたないですわ。


「フラグ?何のことですの?」


もはや私は、いえ、この会場で騒ぎを聞いている全ての人が、エルセティ男爵令嬢が何を言ってるのかわかりません。


「いったいリリーナは、何を言っているんだ?私を攻略とは?私を愛してくれているんじゃないのか?」


「誰が、あんたなんか好きになるか!私は最初からルーイン様狙いよ。気持ち悪い!そもそも、あんた女に好かれる努力してるわけ?口臭いし、ニキビ面だし、脂ぎってるし、腹出てるし、体臭臭いし、鼻くそ食べてるし!それでよく、女に好かれると思えるわね?頭腐ってるんじゃない⁈」


「なっ……」


カルーイ様がエルセティ男爵令嬢の言葉にショックを受けて呆然と立ち尽くしてしまいました。

今までイチャイチャしていましたのに、エルセティ男爵令嬢のカルーイ様に向ける汚物を見るような目は、驚きですわ。

しかし、エルセティ男爵令嬢は暴走気味に、カルーイ様を罵っていますが大丈夫でしょうか?

あれでも一応、侯爵家の一員ですのに。

報復されますわよ?

侯爵家にとって男爵家は、簡単に消せる程の権力を持ってますわ。


「その辺に致しなさい。」


ピシャリと言い放ったのはスキルを解いて見ていた聖女のセインティ様でした。








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