表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人のいないこの星で  作者: K.タロー
一章 一人と一羽と一体と
3/19

ある者は使命を持ち旅をする

私はデータバンクのメモリーにアクセスをした。データの中から求めるものを探し出しメモリーを再生する。

 メモリーを再生すると音声が流れ始める。


「これはユーゴ博士の個人ログである。」

メモリーの記録名を無機質な人工音声が淡々と語り終えると音声と映像が流れ始めた。


 

映像の中の人間は静かに調査の報告を語り始めた。

 「数年前、蚊による感染症の被害拡大を防ぐためにレフラー研究所の開発した特殊駆除剤の広域散布が行われた。当時の期待通りに成果はすさまじく、散布の行われた地域では蚊の観測がされなくなった。良好な結果から散布地域が広げられることも決定し、現に様々な地域で散布されている。まさにこの結果は偉業と呼ぶにふさわしいだろう。」


 「だが、その広域散布からしばらくして奇妙なことが起こった。厳密には起きたのではなく生れたのだ。それはあるへき地の村で見つかった。村の周辺でとれる珍しい蝶を昆虫学者が回収しており、特徴的な模様の蝶をいくつか生きたまま研究所へ持ち帰った。するとその蝶の中に非常に長寿なものが存在したのだ。私は昆虫に詳しくはないが蝶の寿命など長くてもせいぜい1年ほどだろう。しかしその蝶は5年間昆虫学者の研究ラボで生きていた。」


 「それだけではない、他の地域では緑色の肌を持った豚や角の生えたサルなどが生れたとの報告があり、そのどちらもどこかの研究所が回収していったとの話もある。証拠はないがそのどこかの研究所とはレフラー研究所なのではと私は疑っている。」


 「もちろん特殊駆除剤とこの奇妙な生き物たちの繋がりを示す証拠はない。しかし時期的に駆除剤散布後に奇妙の生き物たちは姿を現したのだから関係がないと思うほうがおかしいだろう。だから私は特殊駆除剤の詳細な情報開示を求めたがレフラー研究所からの回答はない。こうなれば少々強引な手で進むほうが良いのかもしれない。後は準備だ。録音終了。」

録音終了の声とともに映像の後ろの録画ボタンをおし画面が暗転する。


 「以上でユーゴ博士の個人ログの再生を終了します。」

メモリ再生の冒頭の無機質な人工音声がまたも淡々と語りメモリーの再生が終了する。


 私はメモリーの音声と映像を見終えると情報を整理し自分の使命を再確認しデータバンクとの接続を解除し次の目的地へと向かう。 


 人類のために。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ