表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人のいないこの星で  作者: K.タロー
二章 大穴の都市
19/19

機械と鳥は人のいた場所へ

「ホーンさんは自身でできた穴に落ちたのですよね?」

「アア、ソウだ」


アダムはトークに連れられホーンが落ちたという穴まで案内された。崩落をするような場所であったなら早期に救出を試みなければ生き埋めにされるリスクがありアダムは自らの記録収集を中断し落下現場まで来たのだが。


「穴とはこの穴で間違いないのですか?」

「アア、ソウだ」


「自力で登れたということでしょうか?」

「このアナを一人で登るのはムリだと思うゾ」


「困りましたね」

「アア、そうダナ」


ホーンがいるはずの場所には何もなく上から見た限りでは手がかりらしいものも見当たらない。


「トークさん、下におりてみて何か怪しいものがないか確認してはいただけませんか?私では落ちたら最後登るのが困難になってしまいますので」

「分かっタ」

アダムはトークが嘘を言っているなどとは当然判断しなかったが、いなくなったと言う事実に納得の行く証拠も見当たらなかったので、トークに下の調査を頼む。


これで何もないと言う事実が確認されたならいよいよホーンの蒸発という考えを視野にいれて考えなければいけない。

そこまでの考えを経てアダムの思考がわずかにストップした。協力者とはいえいなくなった場合致命的な問題は生じないはず。安否の確認が取れ合流できるならそれに越したこは当然ないが、できないならそれで大した問題はないのではないだろうか。


「おい、アナがあるぞ。」

「...そうですね、穴はありますよ。」

「ソウじゃない、穴のソコに横のアナがあるんだ。」


横に続く穴、とすればホーンは助けが来るのかわからない現状をどうにかしようと横穴に出口を求めたとでもいうのだろうか?いつ崩落するともわからない穴に入るなどと危険なことをしてしまったのだろうか。


「オレ、アナの中ススメそうだ。」


アダムは思考する、ホーンの生存や現在位置の確認のためには穴の中を探索することが必要だろう。しかし崩落の危険がある横穴の中にトークを活かせてしまってよいのだろうか。穴から上に登る方法がわからない以上下手に自分がおりるわけにもいかない。


そこまでの思考に居たりアダムは尋ねた。

「トークさん、あなたは危険を冒しても助けたいと思いますか。」

他者の命を自らの決断だけで危険な場所へ向かわせることはついに決断できず、トークに自らの決断を選ばせた。


「わからない、ケド必要なことダト思う。」

何をして必要という言葉を選んだのかはわからなかったが、トークがやる気であるのであろうと判断した。

「では、お願いします。私はここからあまり離れないようにしておきます。戻るか、あるいは出口を見つけたらそこからここに戻ってきてください。」


「行ってクル。」トークは穴の底におりるとその細い足でゆっくりと横穴に消えていく。それをアダムはただただ見守るほかなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ