人は廃墟を探す
お待たせしました。言い訳を重ねてもしょうがないのですが何度見直しても書き直しても違和感がぬぐい切れませんでした。
ホーンはトークとともに食料を探すためにビルの中に入っていく。ビルに食料があるという保証は当然ないが、ホーンの経験則から行って大抵のビルには災害対策用の保存食や水が備え付けられていることが多かった。賞味期限などはとうの昔に切れているが現状で賞味期限の切れていないものなど存在するはずもないため、ホーンはいつも気にもせずに食料をあさっている。
ホーンとトークの両者はビルに足を踏み入れる、建物内は過去に漁った建物と比べてもかなりボロボロであった。床や柱にはヒビが入り、天井材の板の多くが床に散らばっている。都市中央の大穴といい、ここでは何があったのではないかと思え、何か大きな事故でもあったのではないかとホーンは考える。しかし漁るのには問題ないないのだからと結局のところ気にせずにビルの奥へはいる。
小さな受付を通りすぎ、そのままホーンは裏手の物置を探す。
一つ目の物置、掃除用具に工具箱、電球のスペア等の備品。軽く目を通し無さそうであれば別の区画や階層探索する。
トークはホーンが物置を捜索する間に別の区画や階層を一回りし物置や備蓄庫またはそれに類するものと思えるものに検討をつけておく。
物置を調べ終えたホーンがトークを呼べば、ありそうな場所のことを一言二言伝えトークは案内をする。
そうすればいくつかの物置には非常食が保管されており、それらを発見する事ができた。カサカサのクラッカーや乾パン類。食品店に転がった缶詰の類に比べれば味もなく水分を奪われるが、腹を満たすという目的で考えれば十分優れた食料だ。
三階までの複数の区画を調べそれなりの食料が手に入った。その調子でさらに上の階層へ向かうため階段を上ると踊り場に差し掛かったところでそれが容易でないとわかった、三階登る階段がやけに瓦礫が多いと思ったが、四階へ登る階段が崩れて大穴とが空いており登れなくなっていたのだ。登ろうと思えば不可能ではないが転落して怪我をしては元も子もない。
幸いにもビルはまだ他にもある、いったんアダムの背中に食料をしまってからでも遅くはない。なのだからわざわざ今無理をしてまで上のフロアに行く必要もないないとホーンは判断する。
「もう十分だろう、いったん戻ってアダムの様子でも見に行こう。」
「ウエにも食い物アルかもしれない。見に行こうか、オレなら楽に行ける」
「いやいかなくていいよ、ここ以外にも調べられる場所はある、焦る必要は無いさ。」上に何が有ろうとも結局の所、取りに行けないのであれば意味はない、とれない葡萄は酸っぱい方が都合がよいのだ。
そうして二人はコンクリートの階段をゆっくりとおりていく。
何事もなくボロボロの入り口につき、外に出るため歩みを進める瞬間、大きな揺れが唐突に起こり始める。揺れに足を取られ一歩とも動けずに膝をつくホーン。翼をはばたかせて移動するトークは揺れに足を取られることもなく、急ぎビルを抜け出す。
ホーンは一瞬自分を置いて逃げるのかと失意を感じそうになるが、そばにいたところでトークにできることなどないなら事故が起きたときに助けを呼んでくれることを期待し何も言わずに見送ろうとした。
しかし見送るまえに目の前の景色は大きく変わる。体の自由が利かなくなるような感覚とともにあたりには外から見える日差しの代わりに瓦礫や金属、岩石によって景色が塗り替えられていった。