三者は砂の道を行く
久しぶりの投稿をしておいてなんですが。しばらく個人的な用事で忙しくなりまたしばらく投稿できそうにありません。続きの方を見てもいいという方は気長にお待ちいただけると幸いです
三者は冷凍保存施設での真実を目にした人類は生きているとはいいがたくもまだ死んでいなかった。三者は三者別々の考えをうちには秘めていたものの人類を救うための旅という目的を共通のものとした。そうした決意をもとに三者は施設を離れ長い旅路につくこととなる。
冷凍保存施設を発って数日、三者は砂の中をさまようようにして歩いていた。少なくともホーンはそのように感じていた。
しかしアダムが言うにはそのようなことはなく目的の座標に向けて着々と歩みを進めているという。
そう言われても当然そのような実感がわくはずもなく、終わりの見えない長旅にホーンは早くも疲れを感じていた。
一方でトークはホーンの心情とは違いこの当てのなく見える旅を楽しんでいた。トークの視点はホーンの遥か上空でありその景色をトークはいつも心底楽しんでいた。そのうえ飼い主のいなかった時とは違い目的を持った移動にとても充実感を感じていた。たとえそれがただの移動であっても、心には充足感があったのだ。
ホーンは歩みを進める中時々空を見上げていた、それは空にいるトークを確認するためではない。太陽の位置を確認していた。太陽を見上げること自体に意味があったのではない、彼はまっていた。太陽の位置は時間を確認するのに最適だったのだ。
そう、彼は自身の定めた食事の時間のことばかり考えていたのである。疲れ果てた足を休めるに最適の時間である。休む事ばかりを考えているようにも感じるが休みをホーンが求めてしまうのも無理のないことかもしれない。機械の足は疲れを知らず、羽は足で歩くよりも多くの距離を少ない労力で進むことができたのだから。
太陽が一番高くなった時ホーンはついに声を出した。
「太陽が高くなったそろそろ食事にしよう。」
「そうですねかなりの距離を歩きました食事のついでに体を休めるのもよいでしょう。」アダムはホーンの心情を察してか同意する。単純に数日の間の食事のタイミングを認識していただけの可能性もあったが。
「ココから近くに日かげがある、そこなら休みやすいんじゃナイか?」次にはトークが休息に適した場所を伝える。
トークの話を聞いたホーンとアダムはトークの飛ぶ先についてゆく。
それほど歩きもせずに目的の地点に到達した。錆付きボロボロになった大型のバスの残骸の下に腰を下ろす、ひどい見た目ではあるがうまい具合に直射日光を避けることのできる状態になっていた。
ホーンはアダムの背中の食料品の入った袋をを取り出す。残っていたランチョンミートと水の容器を開け、それを切り分けトークと分けて食べる、当然ながら機械であるアダムには必要なくアダムはこの時間をただ待つのみであった。
ランチョンミートを二人で切り分けホーンは手づかみでかじり、トークは砂がつかないように剥がした缶詰の蓋の上にのせられたランチョンミートをついばむ。のどが渇けば水を飲む。
しばらくしてささやかな昼食を終えるとホーンは袋の中身を確認する、まだ数日は持たせることができる量ではあった。しかしアダムの背中にはまだまだ多くの食料品と飲料物を入れることが可能であった。となればいくら積み込んでも自身の身体には負担はないため可能な限り積み込みたいと思うのが人情だろう。
「食料に余裕を持たせたいんだが、あんたの地図には近くの街の情報とかはないのか」ホーンはアダムにそう尋ねた。この質問の裏には数日歩き詰めでしばらくは距離を歩きたくないという心情もあったことも想像に難くないだろう。
「それでしたらここから少しの距離に都市があります。本来のルートからはそれますがそれが致命的な状況にもならないと思いますのでそちらに行きましょうか?」アダムは頭脳の中にある地図を参照して候補地を伝える。
「ああ、そうしよう」ホーンはアダムの返答に内心少し長く休む事ができるかもしれないと喜びながら同意をした。
「もう少し休んだら出発しよう」食料の入った袋をアダムの背中に押し込み、ホーンはもう少しの羽休めを味わうのだった。