バッドエンドは突然に 2
食べ過ぎてしまったので食後に散歩でもしようかと思い、公園に行くことにした。
照星台公園。
この公園は県内1を誇る広さの公園で休日には家族連れや、お年寄りの方々、そして、カップルなどが訪れる公園だ。
中央広場には、多くの花が咲き誇っており、
夜になると、花と噴水と星で幻想的な空間になる。
それを見るために、多くの人たちが来るのだが、
今日は平日の夕方なので、普段と比べるとあまり人がいないようだった。
公園を一周してみようと思い歩いていると、
照星台公園の定番待ち合わせスポットである。隕石のモニュメントを発見した。
昔いろいろあったなと思い、隕石のモニュメントに近づいた。
近づくとなぜだか、隕石のモニュメントに触れたくなった。
なぜ触れたくなったのかはよくわからない。
昔の思い出のせいなのかもしれないし、人間関係が嫌になったと思いながらも
本当は友人や恋人が欲しくて定番待ち合わせスポットとして機能しているこのモニュメントにご利益を求めたかったのかもしれない。
だけと結局は何となく触れてみたかった。ただそれだけの事なのだろう。
そして、僕はそのモニュメントに触れた。
触れた瞬間、時間が止まった。そんな気がした。
実際に時間が止まった感覚なんてわからない。
だけど僕の頭で考えた、一番それっぽい感覚を表現するには、
『時間が止まった』気がする。というのが正解だと思う。
僕だけ別の空間にいるかのような、
僕だけが、この世界で活動しているような変な感覚。
通学の時もこの感覚がした。
だけと今回は、少し寒気とともに誰かに見られている。そんな気がしてきた。
誰かに見られている気がするのが気味が悪くなって僕は、公園をそそくさと出ることにした。
早く駅に着きたいと思い、近道を通ることにした。
公園を抜けて、新しくマンションができる建設現場を抜けて大通りにでるルートだ。
このルートに決めて小走り気味で、公園を抜けた。そうして、マンションを抜けようとしたその瞬間、マンションの建設現場から、大きな鳥が羽ばたいた。
それは黒い大きな鳥だった。
「大きいカラス?」そう思った。しかし、それは目を疑うような生物だった。
「違う、あの鳥は…」
鳥の下半身はまるで人間のような形をしていた。
そう。掲示板で見ていた。
人間の胴体と、鷲の頭や翼を持つ神鳥、ガルーダ。
そのガルーダの羽ばたきは、凄まじい突風を巻き起こした。
ガルーダの只の羽ばたきで、周辺に咲いていた花ば散り、木々が騒めき、
そして、僕が通っている、建設現場は崩壊した。
ガルーダが起こした突風で崩壊した建設現場の鉄柱が僕の真上に落ちてくる。
ガルーダは僕のことを殺そうとしたわけではない。
僕のことなど見てはいなかっただろう。
いや、見ていたとしても、眼中にはなかっただろう。
しかし、そんな眼中にない僕にガルーダは死を与える。ただ、運が悪かった。
ガルーダの羽ばたきに巻き込まれた僕が悪いのだ。
そう考えながら、鉄柱を避けようとした。
だが、やはりだめだった。鉄柱が一本僕の腹部を貫いた。
腹部の痛みと共に血が溢れでてくるのがわかる。
これは、もう助からないかな。
そう思った瞬間、今までの人生が走馬灯として脳裏をよぎった。
僕は、お腹に刺さった鉄柱を見て目をつぶり
今までの人生を、多くのことをを我慢し続けてきた自分の人生最後の言葉として
「やっぱむかつくなぁ」と呟き意識が途切れた。