バッドエンドは突然に
時が止まった。そんな感覚がした。
実際には時間なんて止まってはいないんだけれども、ただ突然、そんな気がしたんだ。
僕はそんなことを思いながらも、大学に行くために満員電車に乗って、電車の座席とドアの三角コーナーに寄りかかっていた。
僕ははっきり言って、太っている。だから電車の座席側に行くと、周りの人の邪魔になってしまうから、この三角コーナーが通学するときの定位置になっている。
50代くらいのおっちゃんや、今どきのギャルっぽい高校生が、僕をチラッと迷惑そうに見ていたが、こればかりは体型なのでどうしようもできない。
食欲が止まらないんだから仕方ないことだ。
こればかりは、僕に食欲を与えたもうた神様に言ってほしい。
視線に耐え、定位置をキープしながら電車に乗っていると、僕が通っている大学の最寄り駅である照星台駅に到着した。
照星台駅から少し歩くと大学に着き
、今日も今日とて平凡で退屈な授業を真面目に受けた。
一日の授業が終わると、そそくさと駅まで歩いて、ご飯を食べて帰宅する。
これが僕の大学生活のルーティーンだ。
友達はいない。友人や恋愛のような人間関係は嫌な思い出があるから。
記憶とは面倒なもので、楽しかった思い出ほど忘れ、嫌な思い出ほど記憶に残る。
ふと歩いているときに嫌な記憶がフラッシュバックして自己嫌悪に陥る。
何かご飯でも食べて忘れよう。
そう思い、駅の近くにある、ラーメン次郎長に向かった。
普段このお店は、お昼時や、夕飯時になると長蛇の列ができるのだが、夕飯時には少し早かったのですんなり入店することができた。
今日は嫌なことを思い出したのでたくさん食べようと思い、ラーメン大を2つ頼むことにした。
店主に「お好みは?」と聞かれたので
「アブラマシマシ、ニンニクカラメで」と答え、
ラーメンができるまでの間、スマートフォンで、掲示板サイトを見ながら待っていた。
僕は動物が好きなので動物の画像が貼られているサイトをよく見る。
掲示板サイトを見ていると『謎の生物』というカテゴリの掲示板があったので、
気になって見ることにした。
見たところ結局、有名なネッシーや、雪男、謎の宇宙人、あとはガルーダとかの胡散臭い写真が貼ってあっただけだった。もっと、最近発見された新種の生物とかだったらわくわくしたんだけど。
掲示板をいろいろ見てたら、お待ちかねの次郎長ラーメンの大が2杯やってきた。
麺が伸びきるまでに食べきれるかが不安だったけれど、チャーシューが肉厚で激うまだったので5分ほどで2杯を完食することができた。
量もさることながら、味も美味しかったのでとても満足することができた。
やはり、食は正義。間違いない。いつの間にか昔の思い出などは忘れていた