違和感
トクンッという音が体全体に響き渡った。
どうやら大量の出血をしているが、まだ一応は生きているらしい。
しかし、死ぬのも時間の問題だろう。段々と体が熱くなっていくのを感じる。心臓の鼓動も段々と早くなってきた。
ふと、自分の体の状態を分析していると違和感を感じた。
死ぬときってこんな感じだったっけ?
前回死にかけた時との違和感が無性に気持ち悪く感じた。
形容するとしたら、体に何かが駆け巡っているかのような感覚。
それは血液とは違う流れだった。
その流れが体の隅々まで届くと、先ほどまで動かせずにいた、手や足に力が入った。
この流れの源を言い表すとすれば、それは『魔力』。
死の際で発現したこの魔力が自身の体を巡り
僕の体を癒していったのだった。
「死んだかな?」
安心をしていると、大和の声が聞こえてきた。
まずい。このまま生きているのがバレたらまた殺されてしまう。
大和はこちらを見て、僕が地面に倒れていることを確認すると。
「じゃあ、帰ろうか。」
大和はガルーダの攻撃に自信を持っているのだろう。こちらに近づいては来ないで、そのまま帰ろうとした。
よし、このまま僕が死んだと思って帰ってくれ。
大和が歩き始めると、ガルーダ以外の召喚された者たちがその影に溶けるように入っていった。
しかし、僕に攻撃を与えたガルーダだけは僕がもしかしたら息があるかもしれないと思っていた。僕が爪を食いちぎった時に少し怯みガルーダが思ったよりも浅く攻撃が入ったからだ。もちろんそれでも致命傷となるようなダメージにはなるのだが、ガルーダにとって少し不安な要素であったのだ。
ガルーダが行かない。僕はこの時点で確信した。このままだといずれ僕が生きていることがばれてしまうと。
なんとかしなければこのまま死ぬ。
その時チャンスが訪れた。
「どうした、ガルーダ?」
影に入ろうとしないガルーダが気になり、大和は足を止めた。
そして、大和の掛け声に反応しガルーダは大和のほうに向いた。
その瞬間、僕は立ち上がってガルーダに攻撃を仕掛けた。パンチでもキックでもなく、先ほど唯一ガルーダにダメージを与えられた攻撃。そう、僕はガルーダの足を食いちぎろうとした。
「何!?」
大和は僕が生きていたことに気づいた。だがもう遅い。僕はガルーダの片足を食いちぎり倒れたところに回り込んだ。ガルーダ起き上がろうとした瞬間、ガルーダの喉元を噛みちぎった。
ガルーダの目から光が消えていくのが分かった。完全に光が消えた瞬間、ガルーダは影となり霧散した。
「まずは一匹。」
僕はつかの間の勝利を感じた瞬間、背後から凄まじい斬撃を受けた。
「あがっっっ!!!」
その斬撃で半壊したプラネタリウムの壁へとたたきつけられ周囲に砂煙が舞った。
「まさか、あの一瞬でガルーダが殺されるとは思わなかったなぁ。だけど、これでもおしま...っな!?」
砂煙がおさまったとたん大和が驚愕の声を上げた。
大和は予想をしていなかった。
先ほどのガルーダを倒したのは完全なる油断によるものだった。だから|反神の影騎士による背後からの一撃で死なないまでも致命的なダメージを与えていたと思っていた。
「なのに、なんでだ!!兄ちゃん、あんたの能力は一体なんだ!!なんで無傷なんだ!!!!」
すいません。最近書いてませんでした。
頑張って更新ペース上げます